『馬三家からの手紙』@<レオン・リー>監督
Mar
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カメラが向けられているのは、北京のエンジニア<孫毅(スン・イ)>。1997年に法輪功を修め始め、1999年の中国共産党政権による「法輪功の禁止」によって、過酷な弾圧を受けるようになります。当局によるプロパガンダに関する情報を伝えようとしていたところを拘束され、北京五輪の期間中には、悪名高い「馬三家労働教養所」に送り込まれました。拷問を受け生死をさまよった<孫毅>は、2年半の刑期の後に釈放されています。本作のキーとなるのは、<孫毅>が収監中に書いた「SOS手紙」です。
米オレゴン州に住む女性<ジュリー・キース>がスーパーで購入した中国製のハロウィン飾りの箱に、その「SOSの手紙」は入っていました。8000キロ以上の旅を経て届いた手紙には、信念のために収監された<孫毅>が、拷問・洗脳をされている状況が詳細に書かれていました。このメッセージが次々と広まり、中国の労働教養所制度を閉鎖させるまでに至るのですが、このストーリーは意外な方向へと舵を切っていきます。
監督は、中国系カナダ人監督の<レオン・リー>が務めています。この事件に関心を抱き、中国の活動家たちとのネットワークを通じて、<孫毅>との接触に成功。2人はSkypeで連絡を取り合い、中国当局の圧力に苦しみながらも、本作を製作しました。劇中では、拷問や強制労働の実態を精密なアニメ画に描くだけでなく、妻や家族の苦しみにもフォーカスを当てています。「私を殺さないでください」という「孫毅」の思いがひしひしと伝わってきます。