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- 今年の読書(78)『ゆえに警官は見護る』日明恩(双葉文庫)
<日明恩>の文庫本としての前作『やがて警官は微睡る〈新装版〉』が、日本版『ダイハード』的で面白く読めましたので、2022年10月16日発売のシリーズ4作目の本書『ゆえに警官は見護る』に続きました。
『やがて警官は微睡る〈新装版〉』では、場面展開も早く、落ち着きどころを先読みしながらテンポよく読めましたが、本書はじっくりと刑事の仕事を読み解く(571ページ)の長編でした。
明け方の港区芝浦のマンション前で焼死体が発見されます。5本のタイヤの中に立たせた人体を燃やすという残忍な手口でした。だが検視の結果、燃焼時には既に死亡していたことが判明します。一方、新宿署留置管理課の「武本」は、深夜の歌舞伎町での泥酔での喧嘩で暴行生涯で逮捕、勾留された「柏木」という男の静かな佇まいが、刑事として気になっていました。
そんな中、西新宿のビル前で同様の手口の殺人放火事件が発生。「武本」は、新宿署の捜査本部に応援にきた警視庁刑事総務課刑事企画第一係の「潮崎警視」と再会します。
シリーズとしては、タフガイ刑事「武本」とお坊ちゃま上司「潮崎」の活躍が主体となるのですが、本書では、本庁捜査一課の24歳の女性刑事「正木星里花」が、捜査員としてお荷物の〈治外法権〉の「潮崎警視」と〈屁理屈大臣〉の「宇佐見」の監視役として新宿署の合同捜査本部に出向させられ、「武本」と接触するという立場でのキャラクターとして描かれています。
特に「武本」が配置されている警察署の留置所内の描写が秀逸で、定年まじかの「豊本」もいい脇役で描かれていました。
前作のような派手なアクションシーンはありませんが、刑事ミステリーが好きな読者にとっては、じっくりと読み応えのある一冊だと思います。
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