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- 今年の読書(35)『MRエムアール(下)』久坂部羊(幻冬舎文庫)
(34)『MRエムアール(上)』に続く『MRエムアール(下)』です。
追いつめられた天保薬品酒井営業所長の「紀尾中」とその部下たちは、韓国に出向きライバル社タウロス・ジャパンの新薬「グリンガ」への反転攻勢のため死力を尽くします。
ようやくガイドラインの行方に決着が見えたころ、かねてより「紀尾中」が大学と共同で進めていたがんワクチンの「安富ワクチン」研究を邪魔する新たな敵が今度は社内に現れます。出世欲に燃える上司の妨害に過去の醜聞まで調べられ絶体絶命の「紀尾中」でした。さらに「万代社長」までが、会社利益優先の行動を見せます。常に「患者ファスト」の信念で仕事をこなしてきた「紀尾中」と会社組織との対立を頂点に、医療分野の影の存在の〈MR〉の世界が楽しめ読み応えのある経済小説でした。
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