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神戸:ファルコンの散歩メモ

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今年の読書(71)『鎌倉署・小笠原亜澄の事件簿 稲村ヶ崎の落日』鳴神響一【文春文庫】

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今年の読書(71)『鎌倉署・小...
本書『鎌倉署・小笠原亜澄の事件簿 稲村ヶ崎の落日』は、『偽りの捜査線 警察小説アンソロジー』(文春文庫)にも収録されています『虚飾の代償』の主人公「小笠原亜澄」と「吉川元哉」の刑事コンビが登場、2022年10月10日に文庫本書下ろしとして発売されています。

鎌倉山にある豪邸で95歳の文豪の変死体が自宅の密室状態の書斎で発見されます。捜査一課の「吉川元哉」巡査長は、鎌倉署の2歳年下で階級は上の「小笠原亜澄」巡査部長とコンビを組んで事件の解決に奔走します。

捜査の過程で、完成しているはずの『稲村ヶ崎の落日』の原稿が無くなっているところから物語は、鎌倉を舞台に進んでいきますし、「吉川元哉」と「小笠原亜澄」は鎌倉にある商店街での幼馴染という設定です。幼なじみの「小笠原亜澄」は年下なのに小生意気で口うるさいのですが、抜群の推理力の持ち主です。

『脳科学捜査官 真田夏希』(角川文庫)シリーズの<鳴神響一>の、警察小説の新シリーズが登場のようです。
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今年の読書(70)『神域』真山仁(文春文庫)

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今年の読書(70)『神域』真山...
本書『神域』は、2018年4月から2019年11月まで『サンデー毎日』にて連載され、2020年2月に毎日新聞出版より上下2冊の単行本で刊行、2022年10月10日に文春文庫本1冊(519ページ)として発売されています。

アルツハイマー病の特効薬と期待される奇跡の細胞「フェニックス7」が、世界的なIT企業を一代で築き上げた「氷川」の助力を得ることに成功した「篠塚」と「秋吉」の2人の日本人研究者によって開発されつつありました。それは、不可能とされた脳細胞を再生させる画期的な発明となるはずだでしたが、高血圧や糖尿病などの疾患で起きる副作用がネックとなり、実用化はまだ無理な段階でした。

そんな折に、認知症を患った高齢者が相次いで行方不明となる「事件」が発生。2・3カ月後に遺棄死体で発見される事例が相次ぎ、所轄の警察は捜査に乗り出しますが、思いもよらぬ事実が浮かび上がってきます。

綿密な取材に基づいたリアルな描写と、巧妙なストーリーテリングは、いま正に起きている問題の核心に迫ります。

最先端の再生医療につきまとう倫理問題、超高齢化社会の深刻な現実を突きつける介護問題、新薬開発をめぐる巨大な利権問題、それを奪い合う国際間の熾烈な競争。図らずも、新型コロナウイルスの感染拡大と治療法をめぐって浮き彫りになった課題や医学界の構造的な障壁ともリンクする内容となっているのに驚きます。

「再生医療は救世主か。悪魔か。」と帯にも書かれていますが、もしも、副作用や未知のリスクなどのマイナス要因があったとしても、そこに一類の望みを期待する患者や家族に対して「ノー」とつきつけられるのか? この小説が提示するのは、まさに生命に対する究極かつ苦渋の選択です。「氷川」は自らのアルツハイマーを治すべく巨万の資金を提供、「篠塚」はアルツハイマーを患った祖母の現状を子供心に目撃、何もできない医療学者の父を軽蔑して臨床医となり新薬の開発に情熱を傾けています。

医薬品としての開発は「スピード」か「安全」かの問題も興味深く読めました。物語の中では、せっかく日本人が開発した「フェニックス7」について、日本での認可のスピードが遅いために「実用化の甘い汁」をアメリカに奪われそうになります。研究者としては治験許可がすぐ出るアメリカに研究を移すのもうなづけます。

人類として脳科学の探求と治療は、神の領域と割り切れるものではなく、尽きることのない研究とジレンマの両輪で我々の目の前を疾走し続ける問題を考えさせられる519ページでした。
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今年の読書(69)『女副署長 祭礼』松嶋智左(新潮文庫)

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<松嶋智左>の「女副署長」シリーズとして、『女副署長』『女副署長 緊急配備』に続く3作目の『女副署長 祭礼』は、2022年10発1日に文庫本書下ろしとして発売されています。

『女副署長』では、主人公の「田添杏美」は、警視になり日美坂署に赴任、大型台風が接近の中、署内で殺人事件が発生。犯人は警察官でしかありえないという事件を解決、さっそうと登場しました。
『女副署長 緊急配備』では、署内の不始末で佐紋署に左遷、穏やかな町で女性の他殺死体が発見され、警察官が殴打されるという事件が発生します。本庁の「花野」警部と対立しながらも、事件を解決します。

本書『女副署長 祭礼』では、旭中央署に赴任、女性署長「俵貴美佳」がキャリアとして着任してきます。タイトルにありますように主軸は、6年前の神社の祭りで幼い女の子が突然姿を消した事件が未解決のままでした。新たにキャリアの女性署長「俵貴美佳」が、本部の監察から目を付けられていることが判明。女同士ということで解決に向けて奔走する中、手配犯が管轄区域内に舞い戻った情報が入り、手配犯の交際相手の女性の不審な転落死が発生します。
本庁より剛腕の捜査一課長「花野」指揮のもと、事件は異様な展開にもつれこんでいきます。

文中、妙に「田添杏美」の警察官としての経歴や矜持の描写が多いのが気になりましたが、1,2作目を読んでいない人のための補助的な解説かなと考えていましたが、最後に犯人と対峙して「田添杏美」が亡くなる結末でシリーズが3作目で終わるとは予想外の結末でした。

押しの強い「花野」警部と共に登場人物として気になる「野上麻希」巡査長の刑事としての今後の成長も楽しみだっただけに、シリーズが終わるというのは残念でなりません。女刑事として成長した「野上麻希」を主人公にした物語を期待したいところです。
#ブログ #文庫本 #読書

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今年の読書(68)『高熱隧道』吉村昭(新潮社)

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今年の読書(68)『高熱隧道』...
デイケアで仲良くしている方から「ファルコンさん、黒部ダム関連の本ありませんかね?」と問われ、思い出したのがこの『高熱隧道』です。なんでもテレビ番組『サンドイッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん』にて黒部ダムが取り上げられていて興味を持たれたそうです

古い文庫本(1975年7月発売)ですので、山積みの文庫本の中から見つけ出すのに苦労しました。<今年の読書>に登場していませんので、記録として差し上げる前にもう一度読み直しました。

黒部第三発電所は、昭和11年8月着工、昭和15年11月に完工しています。人間の侵入を拒み続けた嶮岨な峡谷において、ダイナマイトの自然発火温度をはるかに超える岩盤最高温度165度という高熱地帯に、隧道(トンネル)を掘鑿する難工事で、ダイナマイトの熱による発火、泡雪崩という驚異的な突風での破戒、寄宿舎の火事などで犠牲者は300余名を数える難工事でした。

トンネル貫通への情熱にとり憑かれた土木会社の技師と作業員たちの対立、隧道内の灼熱、予測もつかぬ大自然の猛威の泡雪崩事故などの異様な工事工程を、綿密な取材と調査で再現して、極限状況における人間の姿を描いた見事な記録文学です。
#ブログ #文庫本 #映画

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今年の読書(67)『名残の花』澤田瞳子(新潮文庫)

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今年の読書(67)『名残の花』...
『星落ちて、なお』以来になります、<澤田瞳子>の『名残の花』は、2015年から2018年にかけて『小説新潮』に断続的に発表された6つの短編連作に加筆修正を行い2019年11月に刊行、2022年9月25日に文庫本が発売されています。

時代背景はご一新から5年経った明治5年。主人公は、当年とって77歳のかつて南町奉行を務め、「妖怪」と庶民から嫌われた「鳥居胖庵(耀蔵)」です。失脚し丸亀藩に23年間幽閉された末に胖庵(耀蔵)が目にしたのは変わり果てた江戸の姿でした。明治を、「東京」を恨み、孤独の裡に置き去られていた男の人生は、能の金春座の修行中の16歳の若役者「滝井豊太郎」とその88歳になるその師匠「中村平蔵」に出会ったことで動き始めます。時代の流れに翻弄されながらも懸命に生きる市井の人々を描く感動の時代小説でした。

蛮社の獄で「渡辺崋山」、「高野長英」ら蘭学者を弾圧し、能・歌舞伎など奢侈を禁じる厳しい取り締まりなどで庶民から「妖怪」と呼ばれ嫌われた因業な隠居「鳥居胖庵」が、時代の転換期だからこそ起きる人々のもつれあった心のわだかまりを解きほぐしていきます。相方に配したのは、16歳の能役者の見習いという異色の取り合わせです。

「胖庵」は「水野忠邦」によって改易され二十余年の牢獄暮らしの末、久しぶりの江戸というか東京、上野の桜を見にやってきます。酔漢に絡まれた能役者の卵「滝井豊太郎」を助けたのですが、二人とも女掏摸の被害に遭ってしまいます。こうして始まる掏摸の女との因縁を描いたのが表題作『名残の花』です。勧進能に犬の死骸が投げ込まれた騒動の真相を解く『鳥は古巣に』、士分を捨てた子と父の間を取り持つ『しゃが父に似ず』、おしどり夫婦と思われた叔母にまつわる香合の行く末の『清経の妻』など6編を収録。事件というほどではない日常のもめごとやささいな謎が多彩に続きます。

特に金春流の「能」修行の若者が準主人公的な役割だけに、「能」関係の描写が多く、著者の造詣の深さに感心して読み終えましたが、あとがきで大学時代に能楽部に所属していたとあり、さもありなんと感じた作品でした。
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今年の読書(65)『桃源』黒川博行(集英社文庫)

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今年の読書(65)『桃源』黒川...
前回(64)の『やがて警官は微睡る』では、タフガイ刑事「武本」とお坊ちゃま上司「潮崎」が主人公でしたが、本書では、イケメン刑事「新垣遼太郎」とグルメで映画オタクで痛風の「上坂勤」がバディを組む二人が主人公の物語です。

多々読んできています<今野敏>や<堂場瞬一>・<誉田哲也>・<浜嘉之>といった作家たちに登場する王道の刑事物とは路線が違うのですが、面白く読み終えれました。

2019年11月に単行本が刊行され、2022年8月25日に文庫本が発売されています。千円を超える文庫本に、星一つ50円の岩波文庫時代を知っている世代として、また、長年文庫本愛読者として、ついに千円を超える定価の時代到来に驚かざるを得ません。

毎月集まって金を出し合い、グループの欲しい人間から順に落札するこの制度で集めた、沖縄の互助組織(模合)仲間の金六百万円を持ち逃げした「比嘉」が模合仲間からの告訴を受け、行方を追うこととなった大阪府警泉尾署の刑事、「新垣」と「上坂」です。

「比嘉」は沖縄に向かったらしいという情報をつかんだ二人は、沖縄・宮古島・石垣・奄美と跡を追い、辿り着いたのは沖縄近海に沈む中国船から美術品を引き上げるという大掛かりなトレジャーハントへの出資詐欺事件でした。

古代景徳鎮の焼き物、クルーザーチャーター。様々な情報と思惑が錯綜するなか、「上坂」と「新垣」は、捜査活動の息抜きを要領よくしながらも刑事としての本分は忘れずに捜査に専念、異色の刑事コンビが事件の謎に迫ります。

大阪府警泉尾署ということで、大阪周辺のグルメめぐりや幹線道路名や地名など馴染みの場面が多く、特に「上坂」の〈映画〉に関する描写は、映画ファンとして嬉しく読めました。

1050円で585ページ、納得できる一冊でした。
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今年の読書(64)『やがて警官は微睡る』日明恩(双葉文庫)

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今年の読書(64)『やがて警官...
本書『やがて警官は微睡る』は、タフガイ刑事「武本」とお坊ちゃま上司「潮崎」の活躍が堪能できる人気警察シリーズ第3弾として、2016年2月に発行されていますが、〈新装版〉として2022年9月12日に発売されています。

横浜みなとみらいに新規オープンしたホテル「ハーヴェイ・インターナショナル横浜」で立て籠もり事件が発生します。犯人は、ナチスが行った美術品などを奪回するのが目的の謎の多国籍グループです。

周辺の携帯基地局も爆破され、異常な事件の連続に大混乱に陥る神奈川県警でした。非番でホテルで警察官の娘「磯谷はるか」と見合いをしていた警視庁蒲田署の刑事「武本」は、早々と見合いを切り上げられてしまいますが、偶然不審な電話の場面に立ち会い、新人ホテルマンの「西島」と共に館内を逃げ回りながらも、かつての上司で神奈川県警に所属する「潮崎警視」と一味から奪った無線で連絡を取り合い、「警官としての職務」を追行するために負傷しながらも、37人の人質を救い出すために孤独な戦いを開始します。

読者には、途中で犯人グループの一人である「文田」の存在が分かり、「武本」や「西島」と行動が一緒となる場面が続きハラハラする展開もある508ページ、面白く読み終えれました。

人質となってしまう見合い相手の「磯谷はるか」と「武本」のその後も気になる終わり方でしたが、第4弾の『ゆえに、警官は見護る』が10月の新刊文庫として発売されているようですので、また読みつなぎたいと思います。
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今年の読書(62)『スクイズ・プレー』ポール・ベンジャミン(新潮文庫)

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今年の読書(62)『スクイズ・...
久しぶりに私立探偵が主人公の海外作品の『スクイズ・プレー』ですが、<ポール・ベンジャミン=ポールオースター>の40年前の幻のデビュー作品で、2022年9月1日に本邦初訳(訳:田口俊樹)として文庫本が発売されています。

学生時代に良く読んだ<レイモンド・チャンドラー>の「フイリップ・マーロウ」、<ダシール・ハメット>の「コンチネンタル・オプ」、<ロス・マクドナルド>の「リュー・アーチャー」、<ミッキー・スピレーン>の「マイク・ハマー」、<ロバート・B・パーカー>の「スペンサー」などの私立探偵の主人公たちには、早川書房の「ハヤカワ・ポケットミステリー」シリーズなどで随分と楽しませてもらいました。

本書の主人公である私立探偵「マックス・クライン」もまさに正統派のハードボイルド探偵で、楽しめる一冊でした。

私立探偵「マックス」が受けた依頼は、元大リーガー「チャップマン」からの依頼でした。メジャーリーガーの絶頂時に交通事故で片脚を失い、今は上院議員候補と目される彼に脅迫状が送られてきたのです。殺意を匂わす文面から、5年前の交通事故に疑いを抱いた「マックス」は、事故の調査を始めますが、マフィアが関連しているところを瑠希止めたあたりから「マックス」自身も危険な立場に立たされ、挙句に依頼人自身が毒殺され、依頼人の妻「ジュディース」とも関係を持ってしまいます。

タイトルの『スクイズ・プレー』は、文中別れた妻と暮らす9歳の息子と野球観戦する場面があり、ホームラン以上にスクイズが有効な場面の描写がでてきます、「マックス」の行動を暗喩させる言葉の象徴として使用されているようです。

元検事(あるいは刑事)で離婚歴がある、軽薄なセリフでタフガイで女好きというステレオタイプの主人公ですが、翻訳も軽快で40年前の正当派ハードボイルドの世界でした。
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今年の読書(60)『落日』湊かなえ(ハルキ文庫)

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今年の読書(60)『落日』湊か...
著者<湊かなえ>の作家生活10周年の節目の作品として書き下ろされたミステリー長編『落日』は、2019年9月に刊行され、2022年8月18日に文庫本が発売されています。

新進気鋭の映画監督「長谷部香」は新人脚本家「甲斐千尋」に、映画の脚本の依頼を持ち掛けます。その元となるのは、15年前、引きこもりの兄が高校生の妹を自宅で刺殺後、放火して両親も死に至らしめた『笹塚町一家殺害事件』でした。そして事件が起きた小さな町、笹塚町は「甲斐千尋」の生まれ故郷でした。

判決も確定しているこの事件を、「香」はなぜ映画として撮りたいのか。「千尋」はどう向き合うのか。生き詰まる展開が待ち受けています。

物語は、主人公「香」と「千尋」の二人の目線でそれぞれの過去が語られていき、ジグソウパズルのピースを埋めるように衝撃の真実に辿りつきます。
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今年の読書(59)『生命の略奪者』知念実希人(新潮文庫)

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今年の読書(59)『生命の略奪...
著者<知念実希人>は現役医師として活動、ベストセラーを実写化したテレビドラマ『祈りのカルテ 研修医の謎解き診察記録』が10月8日より日本テレビ系で放送が始まります。

本書『生命の略奪者』は、文庫書下ろし作品として2022年9月1日に発売され、「天久鷹央の事件カルテ」シリーズとして13作目に当たります。

シリーズ6作目の『幻影の手術室』を読んでいますが、あまりいい印象ではありませんでした。現役医師としての医学的要素のミスイェリーを求めすぎていたかもしれません。ギャグ的な作品としてみれば、それなりなのかもしれません。

東京から新横浜へと向かう新幹線の中で、移植のための心臓を運んでいたコーディネーターが襲撃され、臓器が奪われてしまいます。さらに、腎臓が盗まれるという同様の事件が天医会総合病院でも発生します。
心臓、肺、肝臓、腎臓。臓器の移動の最中、死者の臓器提供の願いを踏みにじられる事件が連続して起こりますが、いったい誰が、何の目的なのか。
天医会総合病院の副院長の「天久鷹央」は、部下である「小鳥遊優」と研修医「鴻ノ池舞」と真相解明に乗り出しますが、その背景には思いもよらぬものでした。

エジプト考古学が絡み、意外な分野での展開、評価は少し上がりました。
#ブログ #文庫本 #読書

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