だらしなく歌っても 誰からも文句は言われない 土手沿いには自分がいて ひとりに帰ってきた 孤独は遠いところ 寂しさはもっと遠いところに 懐かしさは涙をこぼすけど 理由なんてわからない まだ冷たい風が 今、生きている実感を 教えては通り過ぎる 久しぶりだったね とっても心地よい自分よ
送られてきた同人の詩誌やご自身の詩集を拝読することが多くなった。皆さん、送料等をご負担され贈呈してくれる。私など超無名の詩書きにとっては、もう申し訳ない気がしてならない。しかし、来るものは拒まずきっちり拝読し、感想等を述べられれば送るようにしている。私も詩集を作り、今まで作品を送ってくださった方々に恩返しするのが一番良いのかもしれない(迷惑作品かもしれないけど……)。 そうか、詩集を手作りしようかなあ、なんて思っちゃうわけで。とは言っても、そう簡単に詩集を形には出来ないだろう。この作業には時間とエネルギーがかなり必要なわけで、今の自分のやる気と体調からするとすぐには動けそうにない。悔しいが無理は出来ない、持病と上手に向き合っていかないと、日常が崩れてしまいそうだから。 倒れねほどに 頑張れば良いじゃないか 進むことが大事で 諦めることはすぐにでも出来る 今、出来る充実があればそれで良い 焦って生きてきた人生が 今までの失敗を教えてくれたじゃないか 大事にしよう時間も自分もひととの繋がりも
先週の雪は道端に積まれ 回収を忘れたゴミのように 未練ばかりを回想して なるべくひとが少ない道を選び 図書館へ向かう 混んでいるのだろう 図書館へは時間をずらそうと 献血センターを覗いてみた 常連の私にとって 一時間待ち程の賑わいと感じた いつもは閑散としているのに 陽気がこの街を今日は変えている やはり図書館かと向かう 座るところがない程に混んでいる しかし詩集が並んだ棚には 誰ひとりとして興味を示していない ここがなんとも落ち着く場所だ 今の気持ちに合う詩集を探すが 見つかるわけもなく 二月三日ということで 上から二番目の棚 右から三冊目の中原中也の詩集を抜く 座る場所を確保して詩集を読まず タブレットを取り出し 詩を書き始めている いつもの私は今日も変わらない
この足元から臭う 茶色に広がる世界はどこですか 足を止めた瞬間に 僕は僕じゃないかと思いました どこから来たのでしょう これからどこへ行くのでしょう 歩き出すとまた記憶がなくなってしまう だから今は進む気がしないのです でもきついのです 動かないってとっても 我慢って言葉は知っています 誰に教わったのでしょうか 我慢を繰り返したら 解放されたのでしょうか 忘れてしまいました 僕の存在以外の僕のことなど また繰り返してしまいました 僕は僕の日々を捨てて 歩き出してしまうのです この足元から臭う 茶色に広がる世界は…………
言葉が続かない 何か語りたいあなた そんな気持ち 僕にもよくわかる 面白くもない自分を 感じてしまったら 最悪な気持ちになって どこにも進めない そして、焦る 言葉と戯れる安心を 僕もあなたと同じように 表現から得ている
語り尽くした空を見上げ 視線をスクロールした青は 無いものばかりを欲しがる色 成りたい欲望を埋めるには 現実が動いていない 指を滑らしては 埋まっていく時間の焦燥 想像がデバイスに収まったまま 私の空は9インチ未満の世界 まだ放熱する色を知らない
俺のこの廃墟な気分から 君へ贈る歌は 涙が渦になって飛ぶくらいに それがなんだって そう、笑い吹っ飛ばしてやるぜ ロッケンローなハウリング 燃え上がる前の合図に 君は乗り遅れちゃいけない それがなんだって そう、蹴飛ばしてやるぜ今夜 ああ、ベイベべ、ベイベ ああ、始めなきゃすべて無くて プチュプチュと消える刹那に 溺れている場合じゃないだろ おう、ベイベべ、ベイベ 俺のこの廃墟な気分から 君へ贈る歌は 涙が渦になって飛ぶくらいに それがなんだって そう、笑い吹っ飛ばしてやるぜ 君がこれから叩く泡の人形 中に入っているのは 今までの歌ってない自分さ それがなんだって そう、泡人間の壊滅状況なのさ ああ、ベイベべ、ベイベ ああ、始めなきゃすべて無くて プチュプチュと消える刹那に 溺れている場合じゃないだろ おう、ベイベべ、ベイベ
動けない朝はすでに日が暮れる 私の疲れた塊に薬が流れ 久しぶりの眠りの後は焦燥感 いつか何処かの回想に現実が濁る 消費する時間に慄いて 何も無かった休日の虚しさを 埋めるために実家へ急ぐ 母の為と言い訳をしながら 流しの食器を洗う手が速まる 歩道の端に積まれた雪 柔軟な心を忘れて固まった塊 溶けて無くなるのを待つだけの轍 カタチは時間を想像させ 苦笑いのように反射する光の鈍さ 揺れる電車には能面が並ぶ 私が心を動かさなければ 世間は隙間から冷たさを吐き出す 開いたドアは閉じる往復を忘れ 終着駅からも追い出される 年老いた母が雪を掻く 玄関までの三十センチ幅の小道 目の高さにある蝋梅から 過ぎた時間を埋める香りがした
顰(しか)めっ面されるより もっと怖いものは つまらないオヤジになることだ 時として潔く 弾け飛ぶバカをしなくては 自分が保たれないわけで ひとの話にすべて頷いていたら 俺って誰なんだよ、いったい 誰でもいい自分なのか、って やる、やらない 現状を捨てる、捨てれない 未来を変える、変えない 成功する、失敗する 生きている、ただ生きている 笑う、泣く、飛び跳ねる、佇む すべて俺の中に 選択の自由があって 博打しない人生も否定できないし 生きた証などあの世への 切符にもならないだろうし ああ、俺は岐路に立たされて 両方の景色を観ているんだ 納得の炎が燃え上がって ぽっと消える火と日を想像しながら