Sep
6,
2021
宮田穣著「組織に効くコミュニケーション」を読んで(Day4)「リアルな場のコミュニケーション(1)」
昨日に引き続いて、宮田穣著「組織に効くコミュニケーション」を読み進めて行きます。今日のテーマは、
リアルな場のコミュニケーション
今日は、企業現場での様々な取り組みを、リアルなコミュニケーションという切り口で見て行きます。
具体的には一般的な組織の日常をイメージして、一日の流れに沿ってリアルな場面を挙げて行きます。
章立て
1.朝:朝礼
2.昼:社員食堂
3.夜:社員寮・独身寮
4.社内行事
5.リアルなコミュニケーションにしか生み出せない関係
1.朝:朝礼
(1)朝と言えば「朝礼」。朝礼と聞くと、退屈でエライ人からどうでも良いことを聞かされ、ひたすら時間が過ぎるのを耐える場だと否定的な想いを持つ人も多い。
(2)しかし、朝礼をというコミュニケーションの場を、意味のあるものとして位置づけ、継承している企業は少なく無い。2つの実例を挙げる。
①自社の「企業フィロソフィー」を使った話し合いをする:
- 社長から提示されたテーマをチームごとに討議して発表する。
- 発表に対して別チームから意見を出してもらう。
- 「対話」を通じて社員に考える力や「聴く力」を養ってもらう場でもある。
- 毎朝、職場の仲間と質の高いコミュニケーションを繰り返すことで、朝からリッチネスを高いレベルに底上げて、仕事をスタートさせる。
②日本一長い朝礼:
- 平均して60分、最長は3時間。
- 朝礼は毎日するが、週二回は「全社朝礼」で、全事業部の社員が全員集合する。
- 内容はお客様の声の紹介や社員同士の感謝の共有、体操、社員個人の思い出話の共有。
- 最後に自社の経営理念を共有して終わる。
- 社長によると「朝礼はスイッチオンの場。朝出社して、さあ、これから仕事するぞ!というモチベーションを高める場」とのこと。
(3)上記から期待される「朝礼」の目的・効果
- 朝礼は作業を「仕事」に変える場
- ES(従業員満足)がCS(顧客満足)を高める
- 従業員のための理念教育の一環
- パートタイマーも含めた全従業員への学びの場
- コミュニティ意識の向上
- フォーマルな要素とインフォーマルな要素の両方が組み込める場
続きはまた明日!
「働くあなたを元気にする」プロコーチ、砂村よしお
Sep
5,
2021
宮田穣著「組織に効くコミュニケーション」を読んで(Day3)「コミュニケーションの豊かさ」
昨日に引き続いて、宮田穣著の「組織に効くコミュニケーション」を読み進めながら、私がポイントだと感じる部分を記述していきます。
今日のテーマは、
コミュニケーションの豊かさ
章立て
1.コミュニケーションの豊かさとは
2.「対面」でのコミュニケーション
3.「メディア・リッチネス」という概念
4.等身大のコミュニケーション
1.コミュニケーションの豊かさとは
(1)コミュニケーションに関して「豊かさ」を定義・測定するのは簡単ではない。
しかし、「話が上手い」「話しぶりに独特な雰囲気を感じる」「あの人にはついつい何でも話してしまう」など、定性的は表現することは出来る。
(2)一つ言えるのは、コミュニケーションの前後で、自分が何かしら「変化」していることを実感できること。
(3)コミュニケーションの豊かさには、そのコミュニケーションに関する様々な要素(手がかり)が多様に含まれていて、そのブレンド具合によって決まる。
(4)その多様な手がかりは、話し手のイメージと聴き手のイメージのずれを小さくし、互いに共有できる部分を大きくする。
共感や感動が生まれるのは、共有された部分の内容に伴う魅力に依存する。
(5)経営危機に陥った企業が、社員の自主的な判断と行動によって危機を乗り越える姿の根底には、社員全員が議論を重ねて明文化した「企業理念」が、お題目ではなく社員一人一人の心の中に息づているからである。
(6)組織でのコミュニケーションの豊かさは、基本的な事柄が組織文化として共有出来ていれば、多くを語り合わなくとも、お互い共有したイメージの下で一体感のある行動が取れることからも窺い知ることができる。
2.「対面」でのコミュニケーション
(1)「対面」でのコミュニケーションが豊かだと感じるのは、人間そのものが「情報の宝庫」だからである。身振りや手振りはもちろん、「目は口程に物を言う」などの表情から多くの事が伝わる。
(2)しかし対面でのコミュニケーションは、①手間と時間がかかる、②相手から多くの情報を引き出すためには、場数とそれなりのトレーニングが必要。
3.「メディア・リッチネス」という概念
(1)組織でのコミュニケーション研究の分野で、1980年代のアメリカで考え出された「メディア・リッチネス」理論というものがある。
(2)メディア・リッチネスは、色々なメディアが本来持つ「潜在的な伝達力」に基づいている。
伝達力は、①迅速なフィードバックの入手可能性、②多様な手がかりを同時に運ぶ能力、③個人にどの程度焦点を当てているか、の3つの視点で判断する。
(3)主要な下記伝達メディアのリッチネス度合いは以下の通り。
高いから低いの順に並べると(カッコ内はリッチネス度合いの相対評価レベル)、
対面関係(100)ーテレビ電話(60)ー電話(30)ーボイスメール
ー電子メール(10)ー私信(手紙・メモ)ー文書(報告書・書籍)
(4)リッチネスを高める工夫は、対面の機会を増やしていくことは当然。一方、それが難しい場合は、リッチネスの低いメディアを複数組み合わせることで可能となる。
(5)相手によっては効果的なメディアは異なり、また、利用するメディアによってコミュニケーションの質も異なってくる。
4.等身大のコミュニケーション
(1)コミュニケーションの定義を「相手との関係を築き、お互いを変えていく行為」とするならば、相対評価レベル(50)を越えたコミュニケーションを「等身大のコミュニケーション」としたい。
(2)これを実現するためには「対面」の半分以上のリッチネス(即ちレベル50)になるように、いくつかのコミュニケーションを組み合わせていくことが必要である。
ではまた明日!
「働くあなたを元気にする」コーチ、砂村よしお
Sep
5,
2021
宮田穣著「組織に効くコミュニケーション」を読んで(Day2)「組織とコミュニケーション」
昨日に続いて、宮田穣氏の著書
「組織に効くコミュニケーション」
を読み進めて行きます。今日のテーマは
組織とコミュニケーション
章立て
1.組織にとってコミュニケーションとは
2.コミュニケーション不全はなぜ発生?
3.広がる心の病
4.コミュニティ意識とコミュニケーション
5.組織も「断片化」する
1.組織にとってコミュニケーションとは
(1)そもそも組織とは、「2人またはそれ以上の人々の、意識的に調整された諸活動または諸力のシステム」即ち「協働システム」と定義される。
そしてその成立条件は、①コミュニケーション、②貢献意識、③共通目的、である。
(2)仕事の仕方の変化によって、コミュニケーションの仕方も変化する。
(3)組織においてはコミュニケーションがしっかり成立しているかどうかが重要。
(4)組織でのコミュニケーションには、①フォーマル・コミュニケーション、と②インフォーマル・コミュニケーションがある。
①は「報連相」に代表されるもの。②は仕事や役割というより、職場での人間関係に直接関わるもの。例えば「ランチ仲間」間の情報交換のようなもの。
(5)どんな組織においても①フォーマル、と②インフォーマルの両方が必要である。
2.コミュニケーション不全はなぜ発生?
(1)コミュニケーション不全が起こる原因の一つは、コミュニケーション・ギャップ。
(2)組織を人間の身体に喩えられることがよくあるが、血液の流れに該当するのが情報の「風通しの良さ」。自律神経に当たるものは様々な「バランス感覚」と言える。
(3)コミュニケーション・ギャップに代表されるのは、①分かり合えない世代間ギャップ、②仕事のスピード化・効率化で中間管理職が消失、③一方的に通告するメールで、コミュニケーション不足。
つまり、仕事の余裕の無さがコミュニケーション不足を生み、コミュニケーション不全が起きてしまっている。
3.広がる心の病
心の病が起こる原因は様々考えられるが、以下の事象との相関関係が高いと想像される。
(1)個人で仕事をする機会が増えた
(2)職場での助け合いが少なくった
(3)職場でコミュニケーション機会の減少
4.コミュニティ意識とコミュニケーション
(1)「人はどのような時に、組織に属しているという実感、つまり組織人としての実感を持つのか?」
(2)組織の2つの側面:①目標を達成するための「機能的」な集団という側面、②精神的なつながりが強い共同体、すなわち「コミュニティ」としての側面
(3)組織の2つの側面の両面において一体感は重要ではある。しかしコミュニティ意識を高めることにつながるコミュニケーションという観点では、場を共有し、深くお互いが関わりながら協働で何かに取り組むことでより深い関係が構築され、コミュニティ意識は強くなる。
5.組織も「断片化」する
(1)情報が断片化してきているだけではなく、組織も断片化してきている。職場作業における「従業員の孤立化」など、人と人と関わりが希薄な仕事の進め方が組織の断片化を生む。
(2)「断片化」しがちな仕事環境で、機能面だけを重視した仕事をひたすら推し進めていった先にあるものは、組織そのものの存続を脅かしかねない。
ではまた明日!
「働くあなたを元気にする」コーチ、砂村よしお
Sep
4,
2021
宮田穣著「組織に効くコミュニケーション」を読んで(Day1)「断片化するコミュニケーション」
今日からまたまた新しいシリーズ。
お気に入りの本や、これは皆さんと共有したいという書籍を読み進めて行きます。
そして私の「独断と偏見」でキーポイントを列挙していく、名付けて「書籍読み進めブログ」。
今回読み進める著書は、
宮田穣著「組織に効くコミュニケーション」
です。
宮田氏はサラリーマンから社会人大学院を経て、学者になられた方です。
ご専門は、コーポレートコミュニケーション、企業広報、行政広報、組織内コミュニケーション論など、とのこと。
私もサラリーマンを早めに卒業して大学院へ進んだので、何となく共感するものがあったこと、そして、本のタイトルが「組織に効くコミュニケーション」。読まずにおられず思わず購入、通読。
著者が、この著書で追究しようとしている大きな題目は「心地よいコミュニケーションとは何か」また「相手との心地よい距離とは何か」。
そしてその答えの一つが「等身大のコミュニケーション」としています。この点については、読み進めていくうちに必ずや出くわすものと思います。
さて今日、Day1のテーマは、
断片化するコミュニケーション
章立て
1.情報の断片化
2.断片化されるもの、されないもの
3.失われていく非言語コミュニケーション
1.情報の断片化
(1)テレビの登場によるマス・メディアの普及に加えて、その後の1990年代中頃から始まる「インターネット」の拡大が、情報の洪水、そして断片化を生んだ。
(2)一人一人の個人が情報を取り扱うことが容易になり、個人が発信・受信する情報が量・質とともに拡大、いわゆる情報爆発が起こった。
(3)2つの情報の「断片化」
①個人であれ組織であれ、送り手の元を離れてしまえば、その情報はコピーされ、加工され、編集され、様々な形に変えられ、様々な受け手に届けられる。
②送り手の出す情報そのものが最初から「断片化」している。
例えば、LINEやTwitter、Instagramでやり取りされる言葉やフレーズ、コメントなどは、情報を「断片化」させることで出来るだけリアルタイムでスピーディーに情報を届けるという特質を持つ。
2.断片化されるもの、されないもの
(1)逆に「断片化」されないものは、言葉に関わるものとしては書籍や手紙、会話や対話。いづれもアナログ的なもの。
(2)一方、言葉に関わらないものでは、身振りや手振り、表情やしぐさ、場の雰囲気など。
(3)会話や対話は、身振りや手振り、場の雰囲気などと切っては切れないもの。つまり「断片化」されないものは、全体と不可分で存在し、一定のまとまりがどこまでも伴っているものだと言える。
(4)従って、現代社会は「断片化」されないものを、どんどん失い続けていくことになってしまう。特に、言葉を使わない(非言語)コミュニケーションが失われてしまうことを意味している。
(5)そしてこの「断片化」を情報の受け手が理解していくためには、全体を埋めていく必要がある、ということ。
3.失われていく非言語コミュニケーション
(1)非言語コミュニケーションは、相手との対面でいる時に多く行われるため、一緒にいる機会があまりない相手とは成立しずらいコミュニケーションである。
(2)また非言語コミュニケーションは「経験的」に身に付け、磨かれるものである。
(3)インターネットでのコミュニケーションが日常化すると、結果的に対面のコミュニケーション機会が減少する。
同時に、非言語コミュニケーションを体得する機会も減少してしまう。
(4)情報の断片化はある意味で膨大な情報を何とか取り扱おうとする工夫である一方、物事の理解の「単純化」を進めてしまう。
(5)日常生活すべてにわたって「単純化」された思考に基づく、紋切り型の言葉が拡散する社会。
スマホで頻繁に交わされる「断片化」な言葉に、安らぎや心地よさは入り込むことが出来るのだろうか?
ではまた明日!
「働くあなたを元気にする」コーチ、砂村よしお
Sep
3,
2021
中小企業が「SDGs」をどう活用するか?
先般、参加したセミナーで興味深いお話をお聞きしたので、今日はこの場で共有をしたいと思います。
内容は最近メディアで目にする、耳にする「SDGs」ですが、テーマは
中小企業が「SDGs」をどう活用するか?
実は中小企業診断士として私は、中小企業を応援するミッションを持っています。そのような私の視点も交えながら、少し綴っていきたいと考えております。
章立て
1.SDGsとは?
2.実はこれは、ビジネスチャンス!
3.中小企業としてどう取り組むのか?
1.SDGsとは?
既に各種websiteやその他のメディアなどにて、多くの解説がなされているので、今さらここで「SDGs」の詳しい説明は省かせて頂きます。
が、一言で説明すると、
「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」 の略称で、全ての国連加盟国が2030年までの達成を目指す、貧困や教育、環境などの17分野にわたる目標のこと。
つまり、国連が掲げた、地球規模で取り組んでいる達成目標です。
17分野の詳細は別の情報ソースをご参照頂きたいですが、因みに目標への達成・進捗度合いに関しては、
日本は立ち遅れている!
特に17分野の内、下記の4分野で送れているとのこと。
5 ジェンダー平等を実現しよう
12 つくる責任 つかう責任
13 気候変動に具体的な対策を
17 パートナーシップで目標を達成しよう
そうだよね!という声が、あちらこちらから聞こえてくるように感じます。
2.実はこれは、ビジネスチャンス!
この17分野の目標を企業として、どう捉えるか? 特に中小企業としてこれをどう対応するのか?
ここから本論です。
- そんなこと言ったって無理だよ!
- 国連が決めたのだから仕方が無い。難しいけど達成しなきゃならないでしょ!
- そうか、これからは17分野のことを重視する世の中になる。これを念頭に色々な取り組みや方向性を検討するのがいいんだ!
上記はどれも想定される反応ですが、皆さんご自身はいかがでしょうか?
因みにこの「SDGs」は単なる努力目標ではありません。地球に住む我々にとっては「必達事項」と捉えるべき内容です。
つまり、裏を返すと、
取り組まない企業は存在できなくなる。
そして中小企業も例外ではない!
3.中小企業としてどう取り組むのか?
では実際問題として、どう取り組んだら良いのか?
ここで、最も卑近な例を考えてみてください。
皆さんは「コロナウィルス」の感染リスクに、企業として現在、どのように対応していますでしょうか?
目に見えないほど小さいウィルスに翻弄されている我々ですが、何とか知恵を絞って、手探りではありますが、対応している。
困った、困った。無理無理、では前に進めません。
つまり、この良い意味での環境変化を逆手に取って、考え方を変えたり、新しい取り組みをしてみる。
この発想が重要。
そして、ネガティブな面ではなく、ポジティブな面に焦点を当てて、知恵を絞る、工夫する、考えを巡らせる。
中小企業は規模は小さいものの、機動力がある。そして、人数が少ないので採算レベルが大企業に比べて低いはず。
このような逆転の発想で、イノベーションを起こすことは出来るはずです。事実、発想の転換で新しい商品やサービスを創発している中小企業は多いです。
そして達成時期に設定されている2030年を見据えて、この機会に自社の「10年後のありたい姿」を、SDGsの17分野に基づいて描いてみる。
ぜひ、こんな取り組みから始めたいですね!
ではまた明日!
「働くあなたを元気にする」コーチ、砂村よしお
Sep
1,
2021
エドガー・H・シャイン著「問いかける技術」を読み進めながら(Day9、最終回)「『謙虚に問いかける』態度を育てる」
今日も昨日に引き続き、エドガー・H・シャイン氏の著書
「問いかける技術」
を読み進めながら、私がキーポイントだと思う点を列挙して行きます。
今日はその最終回。テーマは、
「謙虚に問いかける」態度を育てる
シャイン教授から具体的な態度・姿勢や、行動・活動のアイディアを拝借しようと思います。
「謙虚に問いかける」は、以下の三つの場面で必要とされます。
- 個人の生活において
- 組織において
- リーダーや管理職としての役割において
このような三つの場面で求められる態度と行動は、既存の文化に対して少なからず抗うものです。従って、これまでに学んできたことをいったん捨て、新たに学び直す必要があります。
つまり、自分がいつどこで「話すこと」を控えて、「尋ねる」ことを増やすべきか、を見極めることが欠かせないのです。
章立て
1.学んだことを捨て、学び直す際の「二つの不安」
2.学習することへの不安を軽減するためには
(1)速度を落として、緩急をつける
(2)内省し、自分自身に対して「謙虚に問いかける」
(3)もっとマインドフルになる
(4)自分のアーティスト性を発掘し、革新的な発想を心がけよう
(5)自分の行動を振り返り、内省する
3.仕事における調整の必要性に敏感になる
4.「文化の島」を築く
1.学んだことを捨て、学び直す際の「二つの不安」
「謙虚に問いかける」という態度を新たに学ぶためには「自分が話し手になる」という古い習慣を手放なさなければならない。この時、二種類の不安がが押し寄せてくる。
(1)生き残りの不安:ある行動が出来るようにならないと、自分は不利になる、と気付いた時に抱く不安
(2)学習することへの不安:せっかく体得した新しい事柄が周りから理解されないかも知れない。この不安があると人は変わることに対して抵抗感を持ってしまう。
2.学習することへの不安を軽減するために出来ること
(1)速度を落として、緩急をつける
①「謙虚に問いかける」を学ぶことは、いかに早く走るかを学ぶのではなく、物事を慎重に見渡して、その場で現実に起きていることをきちんと評価するために減速する方法を学ぶことだ。
②「謙虚に問いかける」の実践に欠かせないのは、周りの人たちやその仕事に関わっている人たちを集め、その人たちの人となりに興味を持つことだ。
(2)内省し、自分自身に対して「謙虚に問いかける」
①「自分が動き、自分が話す」という、課題の遂行を優先するせっかちな文化を持つ人たちにとって一番重要なのは、内省することを学ぶことだ。
②内省することを学ぶ一つの方法は、「謙虚に問いかける」を自分自身に対してやってみること。すぐ行動に移す前に、自分に問いかけてみよう。
(3)もっとマインドフルになる
①内省するということは、周囲で起きていることにもっと気付くようになる、マインドフルになる、ということ。
②何かあったとき、起きたとき、「何があったのですか?」と訊くだろう。何らかの返答があった時、それで終えずにこうも訊いてみよう。「他に何があったのですか?」「他にはどんなことが起きたのですか?」
(4)自分のアーティスト性を発掘し、革新的な発想を心がけよう
①芸術的なことをやってみると、心と体がもっと動くようになる。
②全く新しいことに挑戦して自分らしさの幅を広げることが大事なのだ。
③何気ないが、本質をついた問い、例えば「そもそも、何を得ようとして始めたのですか?」
④自分の美的感覚に触れる。地元の美術館へ足を運ぶ、旅行に出かける。
⑤自分とは異なる文化を持つ人々の考え方を認識する。
(5)自分の行動を振り返り、内省する
①上司は上下関係のルールを一旦脇へ置いて、グループ内で最も地位の低い人に対しても、今の状況をどのように感じているのかについて、率直な意見を求める。
3.仕事における調整の必要性に敏感になる
①目標を共有する
②互いの仕事を理解し合う
③お互いを尊重すること
4.「文化の島」を築く
(1)人間関係を構築する場合「文化の島」をつくり出す必要がある。「文化の島」とは、権威や信頼関係についてそれぞれの文化が定めるルールは一旦脇に置く、という状況である。
(2)打ち解けた雰囲気でメンバーを集め、個人的なことを話題にする機会をつくる。
(3)身構えずに弱点をさらけ出して良いという気になれば、より親密な会話を引き出すことが出来る。
(4)そうなれば「私が間違いをおかしそうなになったら、そのことを指摘してくれますか?」という難しい質問も出来るようになる。
(5)「文化の島」という考え方は、お互いの文化の良し悪しを判断するのではなく、あくまで共通基盤を探す、ということを主眼を置いている。
いかがでしたでしょうか?
このシリーズは今日で終了です。
ではまた明日!
「働くあなたを元気にする」コーチ、砂村よしお
Aug
31,
2021
エドガー・H・シャイン著「問いかける技術」を読み進めながら(Day8)「コミュニケーション・モデルの紹介」」
昨日に続けて今日も、エドガー・H・シャイン氏の著書
「問いかける技術」
を読み進めて行きます。
今日はコミュニケーションの複雑さを単純化したり、分析のためにプロセス化するモデルを紹介します。
「謙虚に問いかける」は、良好な人間関係を構築するツールです、
しかし、この役割を十分に理解するためには、コミュニケーションの複雑さについて考察を深めておく必要があります。これを助けるツールは以下の2つである。
章立て
1.ジョハリの窓
2.知覚と判断のサイクル:ORJIサイクル
1.ジョハリの窓
この「ジョハリの窓」という考え方はつと有名なので、詳細の説明はここでは省きます。
簡単に言ってしまうと、自分と相手のそれぞれが、「見えている・知っている」、「見えていない・知らない」という切り口で合計4つの象限に分けて、コミュニケーションの内容や視点・焦点を捉える際に活用するツールです。
2.知覚と判断のサイクル:ORJI
我々の知覚と行動がどのような流れで行われているのか、を4つの段階に分けて捉えるツールである。以下の4つの段階の頭文字を連ねて「ORJI」と言います。
(1)観察し:Observation (O)
(2)そこで見たものに対して感情的に反応:Reaction (R)
(3)それを分析・処理して、判断:Judgement (J)
(4)そして何らかの行動を起こす、介入:Intervention (I)
取り急ぎ、今日はツールの紹介でした。
ではまた明日!
「働くあなたを元気にする」コーチ、砂村よしお
Aug
30,
2021
エドガー・H・シャイン著「問いかける技術」を読み進めながら(Day7)「人々の行動をためらわせるもの」
昨日に引き続いて、エドガー・H・シャイン氏の著書
「問いかける技術」
を読み進めながら、私が重要だと感じる部分を拾って、記述して行きます。
今日のテーマは昨日と少し似通っていますが
「人々に行動をためらわせるもの」
シャイン教授は具体的な例示として、地位・肩書・役割、を挙げています。
章立て
1.地位・肩書
2.役割関係のタイプ
1.地位・肩書
(1)「謙虚に問いかける」を阻むものは何か?を理解するためには、地位や肩書が異なる同士の、行動に見られるルールを考察することが重要。
(2)例えば、上司部下の関係において、部下の視点では「上位者」を立てること。
一方、上司の視点では、部下と接する時は、どうすれば自分の地位に相応しい振る舞いになるか?ということ。つまり、暗黙ではあるが明確なルールがあるように我々は理解している。
(3)しかし、これがいかなる国や文化においても同様かどうかは確かめる必要がある。あるアフリカの部族のしきたりでは、自分より身分が上の人と目を合わせることは不遜な行為とみなされることがある。
(4)様々な環境下で色々な人々と関わっていくことが求められる現代社会では、暗黙の理解を今一度、探ってみる必要がある。その際に「謙虚に問いかける」という姿勢が重要である。
(5)しかし現実的には、上司から部下に助けを求めるような環境に慣れていない上司は、心の中で葛藤を感じるだろう。
2.役割関係のタイプ
(1)課題の遂行を優先するか、個人のつながりを優先するか
関係する人たち同士の関係性に着目する。簡潔に区分すると「課題指向の関係」なのか「人間指向」の関係なのか。
(2)課題指向の関係は、個人的な関わりが排除され、感情的に中立なもの。
(3)人間指向の関係には、もっと感情が入り込んでくる。どちらかが、または両方が、相手に対して興味を持って付き合いを続けて行きたいと思うから。
(4)ますます仕事に複雑さが増し、文化的多様性が広がっている昨今、従来のように地位や立場によって、人と人の境界を定めたり、関係を規定してしまうやり方を維持できるのだろうか?
相互に依存する関係を上手くやっていくためには、何らかの形で個人的な関わりを持つことが鍵になるのではないだろうか?
(5)個人的な繋がりを持つ、というのは、相手を役職だけで判断するのではなく、一人の人間として認めるというプロセスである。
(6)「謙虚に問いかける」は、個人的なつながりを持つことを含んでいる。それはなぜかというと、「謙虚に問いかける」は、相手に対して興味や関心を抱くことを基本としているからである。
ではまた明日!
「働くあなたを元気にする」コーチ、砂村よしお
Aug
30,
2021
エドガー・H・シャイン著「問いかける技術」を読み進めながら(Day6)「『謙虚に問いかける』を阻むもの」
昨日に引き続き、エドガー・H・シャイン氏の著書
「問いかける技術」
を今日も読み進めて参ります。
今日の焦点は、ちょっと「衝撃的」な以下の下りです。
「謙虚に問いかける」を困難にする最大の要因は、実は私たちが育った文化そのものだ!
今日の章立て
1.人間関係の構築よりも、課題の遂行に価値を置く文化
2.自分が話す文化
3.これからの仕事では求められるものが変わる
4.リーダーにとっての特別な挑戦課題
1.人間関係の構築よりも、課題の遂行に価値を置く文化
(1)米国の文化は個人主義に根差していて競争が激しく、実用を重んじる。また起業家的な気質を持っていているので、個人の成し遂げたことを高く評価する。(注:著者は米国人)
(2)従って、人間関係の構築よりも課題の遂行のほうに、私たちは価値を置く傾向がある。
(3)人とうまく付き合うことよりも、個人が競争力を発揮することのほうが大事にされ評価される。勝つために競い合い、話し合いでは相手を論破し、巧みに相手の弱みに付け込もうとする。
(4)米国では、人は課題を遂行することによって地位と名声を獲得し、ひとたび部下を持つようになると指示を与える資格を手にする。
(5)病院などで、医師が看護師や技師に対して、さらには患者に対しても、敬意を持たずに接する様子が散見される。
2.自分が話す文化
(1)相手に訊くよりも自分から話す方が大事だと当たり前のように思っている。人に訊くことは、無知と弱みを見せることになると感じる。
(2)ゲームズマンシップ(勝つための駆け引き)やワン・アップマンシップ(相手を出し抜くこと)とが重視される文化
(3)相手と自分の、どちらも勝利できる双方向の協力関係、という考え方が私たちの視界に入ることは稀である。
3.これからの仕事では求められるものが変わる
(1)世界は今、技術がますます複雑化し、人々が互いに依存するようになり、社会が文化的に多様化している。
(2)このことは、人間関係の構築が仕事を進めるうえで、ますます重要になっていることを意味すると同時に、人間関係を築くこと自体が、以前よりも難しくなっていることも意味する。
(3)円滑なコミュニケーションを行うためには、人間関係が重要な役割を果たす。課題を遂行するためには、コミュニケーションが円滑に行われていることが肝要だ。
(4)良好な人間関係を維持するためには「今ここで必要な謙虚さ」を軸として、相手に「謙虚に問いかける」ことが鍵となる。
4.リーダーにとっての特別な挑戦課題
(1)文化的な習わしとして、地位が高い方の人が会話を主導し、部下がもっぱら聞き手や質問役にまわるほうが適切だろう。だが、これが機能するのは以下の3つの場合である。
①上位の目標を上司も部下も共有している。
②上司は解決策を心得ている。
③部下は指示された内容を理解している。
上司は、これら3つの条件が全て揃っていることを、常に確認しなければならない。
(2)課題が複雑になればなるほど、上司部下などお互いに対する依存度は高くなる。従って、上司は部下の立場や状況を正しく理解していることが前提になる。
(3)そして、部下が心を開いて上司とコミュニケーションを取り、全面的に協力するという覚悟を決めてくれるように、安心安全な環境を作る・維持する必要がある。
ではまた明日!
「働くあなたを元気にする」コーチ、砂村よしお
Aug
29,
2021
エドガー・H・シャイン著「問いかける技術」を読み進めながら(Day5)「『謙虚に問いかける』は、他の問い掛けとどう違うのか」
昨日に引き続き、エドガー・H・シャイン氏の著書
「問いかける技術」
を読み進めながら、私がキーポイントだと感じる部分を挙げて行きます。
今日のテーマは
他の問いかけと「謙虚に問いかける」とは、どう違うのか?
下記4種類の問いかけを挙げて「謙虚に問いかける」とは、何がどう異なるのかを見て行きます。
1.謙虚な問いかけ
2.診断的な問いかけ
3.対決的な問いかけ
4.プロセス指向の問いかけ
5.まとめ
1.謙虚な問いかけ
(1)自分が知らないということを積極的に認め、出来るだけ偏見を持たないようにして、相手を怖がらせない方法で情報を求める。
(2)相手に対して興味を最大限に持つ。
(3)相手を誘導したり、優等生的な回答を期待していると感じさせないようにする。
例えば、職場で役員が社内を歩き回りながら、こんな風に話かける場面。
「今、君はどんな仕事の取り組んでいるの?」
①誠実さに欠ける上司やその言動は、直ぐに見分けられるものである。
②いかに質問を取り繕っても、本気で興味を持っていない場合は、それが相手に伝わってしまう。
③謙虚な姿勢で尋ねている時は、先入観を排除し、頭の中をすっきりさせて会話を進め、自分はなるべく相手の話を聴くことに専念する。
④「謙虚に問いかける」が上手く行くかどうかは、両者が会話の目的をどう捉えているか、またお互いの力関係、あるいはそれまでに築いた人間関係の密度によって左右される。
2.診断的な問いかけ
(1)最初は「謙虚に問いかける」をしたつもりが、途中で相手の話に出てきた特定のことに自分が興味を持ち、そこに焦点を当ててしまうような問いかけ。
(2)自分が会話の主導権を握ってしまうことになり、知らないうちに相手の思考プロセスに影響を与えてしまうことになる。
(3)見分けるポイントは、自分が会話の主導権を握るという行為が、あくまで相手から頼まれたことをきちんとやりたいという意思によるものなのか、それとも単に自分の好奇心を満たしているからに過ぎないのか? 得てして後者、自分の好奇心を満たすための問いかけをしてしまうものである。
3.対決的な問いかけ
(1)質問という形をとりつつも、自分の考えを差しはさむ。これが対決的な問いかけの本質的な要素。
(2)自分の主張を強めるための質問や、誘導的な問いかけが典型的である。
(3)つまり、自分自身の利害に結びついている問いかけと言える。
4.プロセス指向の問いかけ
(1)会話の焦点を中身ではなく、会話そのものにフォーカスする訊き方。
(2)相手と良好な人間関係を築こうと会話を進めている際に、おかしな方向へずれてしまいそうな会話を「どうなさいましたか?」と問いかける方法である。
(3)つまり、会話の流れやプロセス自体を、会話の目的や趣旨に沿ってコントロールするような働きかけをするための問いである。
5.まとめ
(1)自分ばかりが話すことを控え、もっと相手に質問するように心がけたとしても、それだけで信頼できる人間関係を築くには不十分である。
(2)もしも自分の方が相手よりも、一段高い位置にあると心のどこかで思っているならば、その気持ちが態度に表れてしまう。
(3)「謙虚に問いかける」を実践するためには、まずは謙虚な態度を保つことから始める必要がある。
ではまた明日!
「働くあなたを元気にする」コーチ、砂村よしお
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