ボタニカルアートとは、植物学的な絵画(The Art of Botanical Painting)のこと。
植物画だが描く対象植物の美しいさは当然の事、而して正確に観察し理性的・科学的に描く。
葉形体、花弁の色・形、蕊等々、その植物が持っている特徴を正確に描き植物名そのもの。
植物画の歴史は、古代の薬草学に始まり、有用植物を他と区別しその知識を示す為の絵だった。
時の流れのように、ボタニカル・アートも発展、多くの人に植物を紹介する植物画に至った。
写真より陰影、遠近感描写が緻密で、眼で見るのと同じ感覚でより立体的に見える。
写真印画の長期保存は難しいが、絵画の長期保存は可能だ。数百年、色褪せない。
日本の自然保護運動を牽引した“鎌倉の自然を守る会”会長 酒井恒先生を思い出す。
緻密な植物画は見たことあったが、蟹の標本画を描かれている作業は圧巻だった。
甲殻類研究者の酒井恒博士の書斎兼研究作業場にお邪魔した折々の事。
顕微鏡を改造した拡大鏡を用いて丁寧に描写して行く。作業の緻密さに驚いたものだ。
標本を描かれておられたのは、酒井博士夫人で博士との共同作業は見事であった。
昭和天皇と共同し新種発見したオサチラガニ属を分類学上で学名をSakailaと命名された。
いろいろ思い巡らしながら、久し振りの”ボタニカルアート展”を見に出かけた。
コロナ禍で中止されていた作品発表会だけに楽しみに出掛けた。力作群に圧倒された。
「令和肆年(皇紀2682年)12月15日、記」