今回の『ピンクの雨』(2009年12月刊行)は、阪神・淡路大震災から復興をとげた、12年後の神戸の街を舞台に描かれています。
震災で家を失い母を亡くした6歳の<神崎真子>は、叔母に連れられイギリスに移住しますが、叔母の夫によって性的虐待を受け家を飛び出し施設で育ちます。
震災の時に父親は別の家庭で生活をしており、その心の痛みを抱えたまま、やがて神戸の資産家の養女となり12年ぶりに神戸に戻ってきます。名前も<吉永薫>と男名に改め、外見も「男」として私立森北学院大学に入学し、美術部に籍を置いていました。
美術部の新入生勧誘の誘いに応じてきた二歳年下の<美里>こそが、自分たちの家庭を捨てた父親の異母妹だと知った<薫>は、心に秘めた策略で復讐を果たそうと考えます。
大震災で数々のトラウマを抱えた暗くて切ない一人の少女が、一人の人間として成長してゆく物語です。
少女趣味的な文意を感じるところも多々ありますが、全体の構成は悪くありませんでした。
大学のある阪急岡本駅を中心に三宮・北野町・南京町等、神戸市内の街並みの描写は、神戸っ子としてはお馴染みの場所ですので、安心して読めました。
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Posted at 2012-11-17 16:02
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Posted at 2012-11-18 01:08
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Posted at 2012-11-19 08:48
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Posted at 2012-11-20 01:11
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