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- 今年の読書(44)『いつか響く足音』柴田よしき(新潮文庫)
物語は、いまや駅から遠く古臭い環境になってしまっている、昭和40年代に建てられた団地が舞台です。
ある日サラ金ローンで夜逃げしてきたキャバクラ嬢の<絵里>は、高校の同級生で中退した<朱美>の部屋に転がり込んできます。
団地にはそれぞれの人生の過程で、最愛の夫や妻を不慮の事故や病気で亡くした高齢者たちが、ひとり寂しく人生の思い出をかみしめながら生きてゆく姿が、6話の連作短篇として納められています。
<人生の明日にいったい何が待っているのかは、誰にも予測できない>との文章が出てきますが、それだからこそ前向きに生きなければという著者のエールを感じ、また人間関係がいかに大事かを知らしめてくれる心温まる一冊でした。
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