夫<隆>と世界一周のヨットの旅に出た<清子>は、暴風雨に会い、無人島に流れ着くところから物語は始まります。
当初は夫婦二人きりの生活でしたが、やがて日本の若者21人が島に流れ着き、女性は46歳の<清子>一人という共同生活が始まりますが、夫<隆>は亡くなります。
日本人だけでの生活でしたが、ホンコンと呼ばれる謎めいた11人のグループが流れ着いてきます。
紙の一枚、鍋のひとつもない無人島でのサバイバル生活を通して、各登場人物たちの人生の隠れた秘密が描かれ、文明社会との対比でもって、人間の本能に迫る迫力ある場面が展開、面白く読み終えれました。
特に夫を4人も替えながら、女一人で男の中を渡り歩く<清子>のしたたかさが印象的で、ラストの鮮やかな締めくくりは、「谷崎潤一郎賞」受賞という名に恥じない構成でした。
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