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- 今年の読書(139)『とんずら屋請負帳 仇討』田牧大和(角川文庫)
女であることを隠し、伊勢崎町の船宿の看板船頭を務める<弥生>は<弥吉>と名乗る19歳です。
江州杜下の大名<来栖家>の孫に当たる彼女は、跡目争いのお家騒動から逃れるために身分を隠し、叔母夫婦が営む船宿『松波屋』に身を寄せています。
この『松波屋』の裏稼業が、金子と引き換えに江戸から姿を消させる「とんずら屋」を営んでおり、主人の<市兵衛>は「仕切り」役で<昌>は「元締め」という立場です。
宿にはわけあって身分を隠した呉服問屋の若旦那<進右衛門>こと<各務丈之進>が長逗留、国元で城代家老を務める父から「江戸にて、仇討を手助けせよ」との密書が届きます。
庶民の人情的な生活と武士の大義という二面性が、「とんずら屋」という稼業を通して鮮やかに描かれている構成で楽しめました。
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