高校の修学旅行で見学に出かけた主人公<健(たける)>は、「人形浄瑠璃・文楽」の<太夫>が語るエネルギーに感化され、研修生として2年間をすごし、師匠<笹本銀太夫>について修業をつんでいます。
ある日師匠から、三味線の相方として<兎一郎>を指名され驚く<健>ですが、お互い文楽にかける情熱は半端ではなく、<銀太夫>と<兎一郎>との伏線を忍ばせながら、稽古に励む<健>が描かれていきます。
<健>は、ボランティアで小学校で文楽を指導していますが、教え子の中に<おかだみらい=サラ>がおり、<健>はこの母親<真智>に一目ぼれしてしまいます。
芸としての文楽の修業と<真智>に対する恋心とが揺れる状況は、まさに文楽で描かれる<男と女>の世界に通ずるものがあり、また納められている8編はどれも有名な演題が付けられており、読みながらにして文楽の知識が身に付くというありがたい一冊でした。
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