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- 今年の読書(19)『贖罪の奏鳴曲(ソナタ)』中山七里(講談社文庫)
冒頭からいきなり主人公である<御子柴>が、ルポライター<加賀谷>の死体を大雨で氾濫する川に投げ捨てる場面から始まり、最終の383ページまで、「んん~」と唸ってしまうほど二転三転する場面展開に、ページをめくるのが楽しくなる構成でした。
<御子柴>は14歳のときに5歳の幼女を殺害した過去があり、関東医療少年院に入院していましたが、時間を持て余す少年院時代に司法試験の勉強を始め、今では被告から多額の報酬を求める悪辣弁護士として名を馳せています。
彼は売名行為を目的として、3億円保険金殺人の被告人<東條美津子>の国選弁護を引き受けるのですが、冒頭の<加賀谷>の死体が発見され、埼玉県警捜査一課の老練な刑事<渡瀬>と部下の<小手川>のコンビに怪しまれ付きまとわれながらも、見事な法廷弁論で<美津子>の無罪を勝ち取ります。
<御子柴>の少年院時代の回想も本書では彼の人間性を知る上で重要な部分を占め、最後には読者を驚愕的な結末に導き、リーガルサスペンスとして読み応えのある一冊でした。
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