何とも重たい主題に、読み終えて唸ってしまいました。
ひとつは、来月11日で4年目を迎える東北大震災ですが、本書の初出は遡ること5年前の2006年11月から『小説すばる』に連載(~2007年12月)が始まっていることです。
伊豆大島に近い美浜島に、ある日突然津波が押し寄せ島全体が壊滅、中学生の<信之>と同級生の<美花>、幼馴染の<輔(たすく)>、そして船で釣りに出ていた<輔>の父親と釣り客の<山中>、灯台守の爺さんだけが生き残ります。
自衛隊が救援作業中、<山中>は<美花>を襲い、目撃した<信之>は<山中>を殺してしまい、<輔>はそれを目撃、写真を撮影していました。
時は20年が経ち、<信之>は市役所に勤め5歳の娘を持ち平凡に暮らしていたのですが、20年ぶりに<輔>は<信之>の前に現れ、現金を要求してきます。
それぞれの登場人物が相手のことを想いながら、真実の愛情とはなにかという重い主題を織り込み、人間の弱さと凶暴性は表裏一体だと改めて感じさせてくれる一冊でした。
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