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- 今年の読書(82)『盤上の夜』宮内悠介(創元SF文庫)
文庫本のタイトルになっている『盤上の夜』にて、2010年第1回創元SF短編賞で選考委員特別賞(山田正紀賞)を受賞、第147回直木賞の候補にも挙がり、その後の短篇5作品を加えて2012年3月に単行本『盤上の夜』を刊行、本書はその文庫版になります。
本書には盤上遊戯・卓上遊戯にまつわる6つの物語が納められており、囲碁・チェッカー・麻雀・古代チェス・将棋に関して「わたし」というひとりのジャーナリシストの語り手の目線でもって、それぞれの競技や対局に臨む超人的な人物たちが何を考え、何を求めているのかを解き明かそうと試みられています。
表題作は中国で四肢を切り落とされた少女<灰原由宇>の囲碁の世界、チェッカープレーヤーとして40年間トップに君臨した<マリオン・ティンズリー>などの実話をもとに、また著者自らが麻雀のプロ試験の補欠になりながらプログラマになる経歴がありますが、見事なまでの麻雀の真理の追究など、麻雀や囲碁を嗜むわたしにとっては、史実に基づいた部分を散りばめたフィクション(SF)として、感動ものの展開が楽しめる中身の濃い一冊でした。
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