本書には、「御厩河岸」・「竈河岸」・「佐久間河岸」・「本所・一ツ目河岸」・「行徳河岸」・「浜町河岸」の六つの河岸を舞台に、人情味あふれる市井の生活や生き様が描かれています。
どの話も江戸の情緒あふれる生活や文化が丁寧に描かれていますが、第二話の『浮かれ節』は、ひょうひょうとして出世を諦めた小普請組の<三土路保胤>を主人公として、当世人気の出てきた都々逸の即興名人<扇歌>との掛け合いが面白く印象に残りました。
前作 『おちゃっぴ』 に登場した神田の岡っ引き<伊勢蔵>が、『身は姫じゃ』に娘<小夏>の婿となった<龍吉>共々登場、また、薬種問屋「丁子屋」の若旦那<菊五郎>も、タイトルとなっている『神田堀八つ下がり』に登場、女房<おかね>とも安定した生活をしている姿が描かれていて、楽しめました。
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