今年の読書(25)『ヴィジュアル・クリフ』佐藤青南(宝島社文庫)
Jun
7
既刊はだいたい4章からなる連作短編形式ですが、本書は珍しく一話の完結です。
高齢者に対して高額な商品を売りつける会社の社長が殺され、売上金が奪われる事件が発生。別件で指名手配されている男が現場付近で目撃されたという情報が上がりますが<楯岡>は違和感を覚えます。
新たに捜査線上に上がってきた人物<卜部>は、<楯岡>が行動心理学を学んだの大学時代の恩師でした。お互いの手の内を知り尽くす二人のやり取りは、なかなかの迫力で楽しめました。
今回も多くの心理学用語が登場、第4作 『サッド・フィッシュ』 にての部下の<西野>のキャバクラ通いも、うまく生かされた構成になっており、大いに楽しめた一冊でした。