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今年の読書(54)『301号室の聖者』織守きょうや(双葉文庫)

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今年の読書(54)『301号室...
著者<織守きょうや>は元女性弁護士で、<木村&高塚弁護士>が登場した連作小説集『黒野葉月は鳥籠で眠らない』につらなる、長編小説が本書『301号室の聖者』で、2016年3月に単行本が刊行、2022年8月7日に文庫本が発売されています。

新米弁護士の「木村龍一」は、所属する事務所の顧問先「笹川総合病院」の、ある医療過誤訴訟をめぐる損害賠償請求事件を担当します。訴訟にむけた調査や準備を進めるなか、誤嚥が原因で亡くなった患者がいたその病院の、その301号の病室で、短期間のうち立て続けに、他患者の急死、不自然な医療事故が起きます。看護師の過失か、医療器具の不具合か、あるいは何者かの意志による犯行か。先輩弁護士の「高塚」の助言を受けながら原因を探る「木村」でした。

冒頭病棟違いで301号室を訪ねた「木村」は、その部屋で14歳の「早川由紀乃」と知り合うことになります。タイトルと「早川由紀乃」の登場で、ミステリーファンとして先走り、彼女が関連しているのではと先走りましたが、見事にはずされてしまい、意外な結末になるほどと感心してしまいました。

末期の患者とそれを見守る家族、担当医、看護師の目線を通して病院を舞台とするリーガルサスペンス、弁護士という職能を通して本職らしい描写が垣間見られ、面白く読み終えました。シリーズ化期待の主人公の登場です。
#ブログ #文庫本 #読書

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