今年の読書(39)『ウィメンズ・ムービー・ブレックファスト 女性たちと映画をめぐるガイドブック 』
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未公開映画の上映活動を行うグッチーズ・フリースクールが監修を手がける書籍『ウィメンズ・ムービー・ブレックファスト 女性たちと映画をめぐるガイドブック』(2530円・編集:降矢聡・吉田夏生)が、フィルムアート社より発売されています。
本書は、『USムービー・ホットサンド 2010年代アメリカ映画ガイド』(2020年3月)に続いて「女性たちの映画史」にスポットを当てた第2弾になります。
スクリーンに存在する女性についての映像表現や、イメージを紡ぎ上げる作り手の思考を考察する内容となっています。恋愛、青春、闘争や労働・家庭についてなど、女性存在へのアプローチをめぐるさまざまなカテゴリーが4章に分けて設けられています。
1960年代より以前、つまり「ヌーヴェルヴァーグの祖母」と呼ばれる<アニエス・ヴァルダ>以前の時代までは映画史に女性監督はほとんど存在していなかったという認識が、2000年代のはじめまでは一般的でした。「映画史における(作り手としての)女性の不在」という視点自体が、ある時代まではほとんど認識されていなかったということです。1970年代にフェミニズム研究が盛り上がりを見せ、それに伴って初めて焦点が当たったわけで、それまではそもそも「女性監督がいない」という問題自体に注目が集まっていませんでした。ところが、この十数年で状況は大きく前進しているのがよくわかります。