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ロサンジェルス市警の殺人課刑事<ハリー・ボッシュ>を主人公に据えたシリーズで、14冊目にあたります。
1992年からのシリーズですので、はや20年を超えて書かれており、当初は「扶桑社文庫」からの刊行で、7話ぐらいまでは続けて読んでいました。
久し振りに読みますと、当時若かりし<ボッシュ>も56歳になり、一度警察を辞めて私立探偵になりましたが、再度ロス市警に戻った背景で事件が進みます。
放射能物質「セシウム」が、妻が監禁されたことにより持ちだした医者が射殺死体で発見され、テロリストの関与が浮かび上がります。 FBIの戦術諜報課のメンバーが主導権を握ろうとする中、<ボッシュ>はあくまでも殺人事件として捜査を進めていきます。
「セシウム」の早期回収だけを目論むFBIと対立しながら、<ボッシュ>独特の捜査が、緊迫する時間の流れの中で展開していきます。
前作『エコ・パーク』がらみの部分もあり、シリーズとして読んでいないハンデを感じましたが、ロス市警復帰後の初事件として<ボッシュ>の手並みが十分楽しめました。
ミステリー史上もっともクールなヒロインとして、ニューヨーク市警巡査部長<キャシー・マロリー>シリーズ(9冊)で有名な<キャロル・オコンネル>ですが、これはノン・シリーズとして2冊目になります。
カリフォルニア州の北西部の広大な森林に隣接する小さな町コヴェントリーが舞台です。
主人公の<オーレン>は、17歳の時に2歳年下の写真好きの弟<ジョシュア>を、森の中で見失います。住民総出の救出作業も無駄に終わり、<オーレン>は街を去り、軍隊に入りましたが、母親代わりの育ててくれた家政婦<ハンナ>の手紙により、20年ぶりに父の住む故郷の街に戻ってきます。
<ハンナ>からの手紙で、弟らしき「骨」が自宅の玄関先に置かれ続けることを知り、軍隊では刑事として活躍していた<オーレン>の捜査が始まります。
登場する人物たち誰でもが犯人として考えられる状況描写にともない、登場人物たちの人間性が細かく描写されているのは、さすが著者の技量です。
いつもながら、作品全体に散りばめられた伏線の見事さに驚かされる構成の510ページという長編ですが、一気に最後まで読まざるをえない一冊でした。
本書は、タイトルにあるように「鬼」を主題にした短篇が5話まとめられています。
貞観8(866)年の<応天門の変>から永祚元(989)年の123年間の時代を背景に、「陰陽寮」に所属する陰陽師たちの物語です。
登場する陰陽師たちは、<滋岡川人>・<弓削是雄>・<加茂忠行>・<加茂保憲>、そして<安倍清明>です。
悪霊・怪異などのあやかしの物語ですが、平安時代の都を舞台に、出世欲に取り付かれた政事の裏側をも描いており、”いつの世でも人は鬼より怖い” ・ ”げに、人の心はおそろしきものよ”との文言は、いい得て妙でした。
指名手配者の顔写真を記憶に刻み、繁華街やパチンコ店などで犯人を発見する任務を「見当たり捜査」と呼び、大阪府警捜査共助課通天閣分室を舞台として物語は進みます。
主人公は<逃げ得はゆるさない>を信念に捜査に励んでいる<浦石大輔>と女性警察官で市民啓蒙の部所に配属されている<姫子>の、<浦石>夫婦です。
熱海にある老舗ホテルを巡る殺人事件が起こり、犯人が大阪に逃亡したという警視庁の捜査依頼で、「見当たり班」は見事に被疑者を逮捕するのですが、被疑者には一卵性双生児の兄弟がおり、捜査はおもわぬ方向に進んでいきます。
法廷小説を読み慣れて刑法に通じている読者には、途中から「これはこうなるな」と結末が読めてしまう展開になるのですが、関西弁の会話とコンビの<浦石>夫婦の活躍が楽しめましたので、「よし」として読み終えました。
『週刊文春』にて、2002年6月6日~2003年12月25日に掲載されたエッセイ集で、発刊は2005年11月、今は文春文庫として出ています。
1997年に『蒼龍』で第77回オール讀物新人賞を受賞、作家生活に入り、『あかね雲』にて2001年第126回直木賞三十五賞を射止めています。
3回の結婚にして初めて子供を持ったことを書いた『家族力』以来2冊目のエッセイ集になりますが、直木賞受賞作家と言うことで『週刊文春』からの依頼エッセイだったのではないでしょうか。
著者は高知県出身、「おらんく」とは「おれの家」という<土佐弁>です。
立ち呑み仲間として、「神戸高知県人土陽会」理事の <Nさん> がおられ、お話ししていますと<土佐弁>が出てきますので、話しの話題にでもなればと手にしました。
中学校を卒業して東京の工業高校に新聞配達をしながら卒業した苦労人だけあって、随所に優しさがにじみ出ており、各エッセイの最後の一行が<土佐弁>で書かれているのも楽しめました。
今年の読書の一冊目は、昨年末に古書店巡りをして手に入れてきました『町人』です。
本書は、1968(昭和43)年9月25日発行と古いのですが、江戸時代の時代小説が好きですので、当時の背景を知るにはいいかなと購入してきました。
著者の経歴を調べますと(1906~2000年8月4日没)、1930年に京都帝国大学哲学科の卒業、そのまま京都大学に残り日本近世・近代史を研究されてきたようです。
「町人」とひとくくりをすることなく、「江戸町人」と「大阪町人」、最後は「堺町人」を分析し、それぞれの社会背景と「町人道」の違いについて語られています。
幕府や大名・武士との関わりの中で、「宵越しの金はもたない」という江戸の生き方と、<天下の台所>として経済の中心として発達した大阪の算盤勘定の生き方、それぞれの対比が面白く読めました。
<今年の読書>シリーズとして読んできた書籍のコメントも、今年は159冊を数えました。
毎年目標としている年間120冊を、今年も読み終えましたので、わたし的にはひと安心です。
買い置きしている枕元の書籍が2、3冊になってきますと、どうも落ち着きません。
この正月休みは1月5日(日)までと、例年に比べて長く、特段予定もありませんので、じっくりと読書の時間が取れそうです。
海外ミステリーから時代小説、警察小説から心理ミステリーと、相変わらずとりとめもない分野での乱読ですが、この冊数があればなんとか初出の6日(月)まで、安心して寝正月が過ごせそうです。
アーサー・コナン・ドイルの名探偵<シャーロック・ホームズ>の名は、本を読まずとも誰でもが知っている人物だとおもいます。
そのシリーズの本編には、<ホームズ>の手助けをするストリートチルドレン達の団体「ベイカ街遊撃隊」が登場しますが、それを模した<ベイカー街少年探偵団(BSI=ベイカーストリートイレギュラーズ)」が活躍する物語です。
副題に「Ⅰ.キューピッドの涙盗難事件」とありますように、大きなオパールのついたティアラにまつわる盗難事件を中心に、<ホームズ>の推理と(BSI)のメンバーで元スリの12歳の<リアム>の家庭問題を絡め、1900年前後のイギリスの世情を背景に構成されています。
<リアム>の出生の秘密とつながりそうな『Ⅱ.アーンズワース城の殺人』が2冊目として刊行されていますので、これまた楽しみな一冊です。
家にとじこもりインターネットの格闘ゲームにのめり込む人物たちのレポートを書かれた芦﨑治氏の 『ネトゲ廃人』 の登場人物たちとは対照的に、直接対戦者と格闘ゲームをこなしてゆく著者のゲームに対する考え方が書かれています。
14歳で日本一、17歳でアメリカで行われた世界大会を制覇、2010年、29歳でアメリカ企業とゲーマーとしてプロ契約を結び、同年8月<世界でもっとも長く賞金を稼いでいるプロ・ゲーマー>として、ギネス認定されています。
世界チャンピオンになったあとは麻雀の世界を経験、その後介護の仕事につき一時ゲームの世界から遠のいていましたが、その間の経験を土台に新たなるゲームの世界を開拓していく姿が印象的でした。
勝つことが目的ではなく、ゲームを通して自分自身が成長してゆかなければ意味がないという主張には、トップゲーマーの言葉として重みを感じました。
著者たちは共に1922(大正11)年生まれで91歳とご高齢ですが、いつも活動的に動かれているのには驚かされます。
同じ年齢ということでの対談がまとめられていますが、大きな被害をもたらした東日本大震災や、<寂聴>さんが現代語に訳された『源氏物語』の話を中心に、復興に対する日本人の底力の強さが語られています。
東日本大震災を契機に、2012年に日本国籍を取得された<D・キーン>氏ですが、日本に興味を持ったのが<アーサー・ウェイリー>の英訳本『源氏物語』であり、<松尾芭蕉>の奥の細道を実際に辿り歩いた体験から、東北の現状を痛まれているのがよくわかりました。
「お医者さんに聞くと、82歳まで元気な人はボケないのよ」と<寂聴>が言われていましたが、老いてますます盛んなお二人のご活躍を、期待せずにはおられません。
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