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神戸:ファルコンの散歩メモ

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今年の読書(50)『リボルバー』原田マハ(幻冬舎文庫)

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今年の読書(50)『リボルバー...
多くの美術史関連の著作があり、ペンネームは<フランシスコ・ゴヤ>の「着衣のマハ」「裸のマハ」に由来する<原田マハ>の『リボルバー』は、<フィンセント・ファン・ゴッホ>の死にまつわるアート史上最大の謎に迫るミステリとして2021年5月に単行本が刊行され、2023年7月10日に文庫本が発売されています。

パリ大学で美術史の修士号を取得した「高遠冴」は、小さなオークション会社CDC(キャビネ・ド・キュリオジテ)に勤務しています。CDCでは週一回のオークションが開催されていますが、ごく普通の商品ばかりで、高額の絵画取引に携わりたいと願っていた「冴」の元にある日、「サラ・ジラール」と名乗る婦人が、オークションに出品したいと錆びついた一丁のリボルバーを持ち込んできます。それは<フィンセント・ファン・ゴッホ>の自殺に使われたものだといいます。

19世紀の「タブロー」を研究している「冴」は興味を持ち、「ファン・ゴッホは、ほんとうにピストル自殺をしたのか? 」、 「あのリボルバーで、撃ち抜かれて殺されたんじゃないのか? 」の推測を元に、<ゴッホ>の足跡を、弟の<テオ>や当時の<ゴーギャン>の素行を検証しながら、錆び付いたリボルバーの真実を求めて調査を始めていきます。

<ゴッホ>と<ゴーギャン>の関係を主軸に、生前顧みられることのなかった孤高の画家たちの隠された物語が、ノンフィクションさながらに展開していきます。

原田マハさんは、『ゴッホのあしあと』など、<ゴッホ>に関する小説を数多く執筆されていて、そこにどれだけの愛情と情熱が秘められているのかがよく分かる一冊でした。

『美しき愚か者のタブロー』でも、表紙に<ゴッホ>のアルルですごした自室の絵『アルルの寝室』が使用されていますが、本作品でも、この部屋がある建物が重要な舞台として登場しています。
#ブログ #文庫本 #読書

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今年の読書(49)『家族じまい』桜木紫乃(集英社文庫)

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本書『家族じまい』は、2020年6月に刊行され、「第15回中央公論文芸賞」を受賞、2023年6月25日に文庫本が発売されています。

高齢化社会を迎えての老々介護を主軸にして、夫婦・親子・兄弟の関係を、いつもながらの人間の本能的な行為としての悲哀という描き方で赤裸々に描いています。

世界保健機関(WHO)では、65歳以上の人を「高齢者」と定義していますが、その年齢を超えている立場として、自分の今後の生活と家族関係・終活、社会との接点等、自分自身の身近な問題として重ね合わせ、切実的な問題として受け止めながら読み終えました。

実写化されました、<波留>主演の『ホテルローヤル』をはじめ、『星々たち』「風葬」『砂上』など、かねがね目を付けています著者<桜木紫乃>の人間観察のきめ細やかな文章の世界に浸れました。
#ブログ #文庫本 #読書

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今年の読書(48)『逆ソクラテス』伊坂幸太郎(集英社文庫)

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今年の読書(48)『逆ソクラテ...
本書『逆ソクラテス』は、2020年4月単行本として刊行され、「2021年本屋大賞」ノミネート作品・「第33回柴田錬三郎賞」受賞作品で、2023年6月25日に文庫本として発売されています。5篇の小説が収録され、巻末には、文庫化記念インタビュが掲載されています。

●『逆ソクラテス』、カンニングから始まったその作戦は、クラスメイトを巻き込み、思いもよらぬ結末を迎えます。
●『スロウではない』、運動音痴の少年は、運動会のリレー選手にくじ引きで選ばれてしまいます。
●「非オプティマス」、覇気のない担任の先生が2年前に恋人を自動車事故で亡くしたことを知った少年たちのとった行動は。
●『アンスポーツマンライク』、小学生最後のミニバスケット大会。仲間五5人は、あと一歩のところで、負けてしまいますが、その後の5人の人生が再び交錯していきます。
●「逆ワシントン」、クラスメートの新しいお父さんのDVを疑った少年たちは、心配してある作戦を行います。

文中『ゴッドファーザー』『トランスフオーマー』『ピクセル』などの映画の台詞や描写が登場しており、映画ファンとしてニヤリとさせられました。

小学生という子供のとる行動の奇想天外さと心の動きが楽しめる、究極のアンソロジーでした。
#ブログ #文庫本 #読書

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今年の読書(47)『リーガルキーズ!』織守きょうや(新潮文庫)

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今年の読書(47)『リーガルキ...
本書『リーガルキーズ! 半熟法律家の事件簿』は、2020年11月に単行本『朝焼けにファンファーレ』として刊行されていますが、2023年6月1日に『リーガルキーズ! 半熟法律家の事件簿』と改題され発売されています。

専門(建築)委員・民事調停員・司法委員として裁判所と長年かかわってきた立場として、法曹の世界には興味が尽きません。

本書は、法律のプロである弁護士や検事や裁判官になる一歩手前の「法律家の卵」の司法修習生を主人公に、初々しい新人たちがそれぞれの熱い想いを胸に過ごす、一年間の研修の日々を舞台としています。

理想と現実の狭間で葛藤し、恋と青春の苦悩を乗り越え、さまざまな謎を解き明かしながら成長してゆくものがたりが、連作短編として4篇〈『人は見かけによらない』・『ガールズトーク』・『うつくしい名前』・『朝焼けにファンファーレ』〉が収められています。

残念ながら〈専門(建築)委員・民事調停員・司法委員〉としての任期中には検察官との接触の機会はありませんでしたが、本書でその世界を垣間見れたのは収穫でした。
#ブログ #文庫本 #読書

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今年の読書(45)『「中田敦彦の妻」になってわかった、自分らしい生き方』福田萌(講談社)

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今年の読書(45)『「中田敦彦...
お笑いコンビ「オリエンタルラジオ」の<中田敦彦>(40)の妻でタレント<福田萌>(38)が、書籍『「中田敦彦の妻」になってわかった、自分らしい生き方』(講談社)を発売しています。

 番組共演後にツイッターでDMを送って始まった<中田敦彦>との関係をはじめ、結婚、出産後のワンオペ生活、コロナ禍に突然決まったシンガポール移住など、さまざまな出来事があった10年を超える結婚生活を、<福田萌>が率直につづっています。

決して夫に振り回されているばかりではない濃密な<福田萌>の人生の変遷。妻、2人の子どもの母、タレント、そして自分自身のこと。さまざまな顔を持つ<福田萌>が、結婚したからこそ気がついた「自分らしい生き方」とはについて語っています。

書籍内には夫婦カット、家族集合カットなど、仲の良さが伝わる撮り下ろし写真も掲載されています。<中田敦彦>と9歳になる娘にも取材を行ない、2人から見た<福田萌>像を語っているほか、夫婦対談も収録されています。

妻に合わせる気がない夫の取り扱い方説明書的要素が盛り込まれ、「夫に振り回されている」「ワンオペがつらい」「将来の結婚生活が不安」「妻との関係に悩んでいる」など、多くの人に勧められる内容となっています。
#ブログ #単行本 #芸能 #読書

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今年の読書(44)『ダ・ヴィンチ刑事』加藤実秋(双葉文庫)

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今年の読書(44)『ダ・ヴィン...
本書『ダ・ヴィンチ刑事』は本格的な刑事推理小説ではなく、バディーを組んだ二人の凸凹刑事が事件を解決する3篇が収められ、2023年5月13日に文庫書下ろしとして発売されています。

警視庁楠町西署の刑事「小暮時生」38歳は三女一人の子を育てながら、離婚した姉「仁美」と家事に仕事に奮闘する日々を送っています。ある日、季節外れの人事異動で本庁から一人の刑事がやって来ますが、深紅のスケッチブックを携えた男の名は「南雲士郎」でした。「ダ・ヴィンチ刑事」とあだ名される彼は、東京藝大絵画科卒という異色の経歴の持ち主でした。

楠町西署では「小暮」は「南雲」とバディを組むことになりますが、2人には12年前の本庁勤務時代に未解決事件となった連続猟奇殺人事件「リプロマーダー事件」を共に追っていた過去がありました。「小暮」は今でも自宅の屋根裏部屋で、「リプロマーダー事件」の資料を読み捜査を一人続けているのでした。

3つの事件解決後に、「リプロマーダー事件」の続きと思われる殺人事件が発生した所で本書は終わりますが、文庫本の帯には「第2巻、今夏発売予定!」とありました。
#ブログ #文庫本 #読書

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今年の読書(43)『天空の魔手』濱嘉之(文春文庫)

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今年の読書(43)『天空の魔手...
多方面の分野と多くの作家の娯楽小説を読み続けていますが、文庫本として発売が待ち遠しい代表格は、<今野敏>の『隠蔽捜査』シリーズと〈濱嘉之>の『警視庁公安部・片野坂彰』シリーズです。

<濱嘉之>の本書『天空の魔手』は、2023年5月10日に『隠蔽捜査』シリーズ5冊目として文庫書下ろしとして発売されています。このシリーズは単行本が刊行、2.3年して文庫本化というお決まりの流れでは、《今という現在》の《旬》としての楽しみが薄れてしまいますので、文庫書下ろしでの発売は嬉しい限りです。

本書ではウクライナ問題が取り上げられ、ロシアの〈ぷーたろう〉、中国の〈習チンピラ〉、ワグネイルの〈プリコジフ〉など《旬》の登場人物たちや話題が取り入れられ、いつもながら世界情勢の流れが読み取れる内容で、とても面白く読み終えれました。

冒頭では地方のドローン競技大会や新進のゲームソフト会社の記述で始まり、<片野坂彰>の行動がわかりませんでしたが、彼は中国による台湾侵攻への対抗策として、ある恐るべき構想を持っていました。一方チームの面々は、ロシアの急所となる情報を入手すべく欧州に集結し、ロシアに乗り込んでいきます。今回は、第5の新人として6か国語を操る「壱岐雄次」が新規加入してのお披露目の要素もあり、激変する世界情勢のなか、日本を守る公安マンたちの活躍を大胆に描いています。
#ウクライナ #ブログ #文庫本 #読書

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今年の読書(41)『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』坂本龍一(新潮社)

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今年の読書(41)『ぼくはあと...
今年3月に亡くなられた<坂本龍一>の単行本『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』(2090円)は、月間『新潮』の2022年7月号から2023年2月号に連載されました<坂本龍一>の自伝『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』を一冊にまとめています。

死期を悟った<坂本龍一>からの提案で始まった本企画では、音楽制作や舞台芸術について、また<吉永小百合>や<SUGA(BTS)>をはじめとする著名人との交流など、聞き手として編集者・ジャーナリストの<鈴木正文>が担当して、幼少期から57歳までの人生を振り返った『音楽は自由にする』の2009年を継ぎ、最晩年までの活動を闘病の様子も交えながら自らの言葉で振り返り足跡を未来に遺す決定的自伝です。

 本書では<鈴木正文>が「著者に代わってのあとがき」を記しており、そこには生前の<坂本龍一>がパソコンやiPhoneにつけていた日記の一部も引用されています。

日記には手術を受けたあとの気持ちなどがつづられたほか、YELLOW MAGIC ORCHESTRA(YMO)でともに活動した<高橋幸宏>が死去してから約1カ月後の今年2月18日には「NHKの幸宏の録画見る/ちぇ、Rydeenが悲しい曲に聴こえちゃうじゃないかよ!」と記されていたといいます。

単行本カバーに採用されたのは、<坂本龍一>が療養のために訪れたハワイで出会っ90年以上年以上前に作られたピアノの写真です。彼はこのピアノをアメリカ・ニューヨークの自宅に持ち帰り、「自然に還すための実験」と称して庭で野晒しのままにしてきたといいます。そのほかにも、本書には東日本大震災後の「津波ピアノ」との出会いなど、自然と人間の関係についてのエピソードが、たびたび登場しています。
#ブログ #単行本 #読書

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今年の読書(40)『伏龍警視・臣大介』神野オキナ(小学館文庫)

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今年の読書(40)『伏龍警視・...
<古野まほろ>の『新任警視(上・下)』に続いて、警視総監、警視監、警視長、警視正に次ぐ第5位の階級として規定されている「警視」を主人公とした<神野オキナ>の『伏龍警視・臣大介』は、2023年5月7日文庫本として発売されています。

この階級からが、いわゆる「キャリア組」と「ノンキャリア」との大きな壁として刑事物には定形的に描かれている作品が多く見受けられます。キャリア組は7年目で目で一斉に、いわゆる準キャリア組は15、6年目前後で「警視」に昇任しますが、「ノンキャリア」の場合は昇任すること自体が非常に難しいとされ、最も早く昇任できたとしても45歳前後であり、その差は歴然としてあるようです。

主人公「臣大介」は警視庁から沖縄県警へ管理官として出向していました。13歳の娘「 臣雪乃」は、日本最大与党の衆議院議員の父を持つ「姉」の14歳になった「多和多華那」と沖縄独特の「姉妹制度」の仲間内で開いていた「華那」の誕生日を兼ねたパーティを愉しんでいました。パーティ会場からすぐ近くの部屋でしたのだ。その日偶然、持病のある雪乃を迎えに来ていた父、沖縄県警管理官の「臣大介警視」は、パーティー会場に出向き火災を発見、娘たちを救い出すことになりますが、その救出中に思いがけなく、「大介」は刺殺体を発見してしまいます。

被害者は有名経済系文化人「新堀兵衛」の「金庫番」の<井上幸治>でした。時を同じくして突然死した捜査一課長の後任として、「大介」は現場の指揮に当たりますが、警視庁から沖縄県警に移って半年のため、馴染みのない沖縄独自の風習と警察組織が壁となります。捜査が難航する中、<井上幸治>に恋人をレイプされた「瑞慶覧旅人」が自首してきますが、事件は思わぬ方向に展開していきます。

本書は沖縄の歴史的背景と現状を踏まえて、沖縄ならではの警察官や警察組織の流れを描き、「臣大介」が沖縄に出向させられた背景を匂わす描写があり、また警視庁二課の従妹「奥瀬真紀」の登場と絡めて、今後も続巻が続くシリーズになりそうな予感がしています。
#ブログ #文庫本 #読書

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今年の読書(39)『スタジオジブリ物語』鈴木敏夫(集英社新書)

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今年の読書(39)『スタジオジ...
「大事なことは、鈴木さんが覚えておいて!」といわれた記憶をたどるとしたら、今しかない!」とあとがきで書かれているように、スタジオジブリ代表取締役プロヂューサーの<鈴木敏夫>が、『風の谷のナウシカ』から最新作『君たちはどう生きるか』まで、40年の全奇跡として27作品を24章でまとめています。

1984年公開作『風の谷のナウシカ』をきっかけに生まれた「スタジオジブリ」です。2001年製作『千と千尋の神隠し』は公開当時に日本歴代興収第1位を獲得、第75回アカデミー賞では長編アニメーション賞を受賞しています。また美術館やパーク運営にも乗り出すなど、その活動はアニメーション製作のみにとどまっていません。

「スタジオジブリ」の波瀾万丈な軌跡をたどる本書では、試行錯誤のうえに生まれる企画、スケジュールと闘う制作現場、時代を捉えた宣伝戦略、独自の経営法まで、その過程のすべてが公開されています。
#アニメ #ブログ #新書 #映画 #読書

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