原発コストの読み方
Aug
9
2日間の大阪府市統合本部エネルギー戦略会議に出席して得たものは、原発コストの読み方である。
政府は、2030年の原発依存率シナリオを3つ用意した。
・ゼロシナリオ
・15シナリオ
・20~25シナリオ
これらを基に国民的議論が行われているわけだが、物凄く大まかに言うと、どのシナリオでも電気代は値上がりするが、ゼロシナリオはさらにちょっとだけ高いというわけだ。
図の上が政府試算だ。
これは、2030年の原発発電コストを9.0円としていて、他の電源よりも安価であることを想定している。
しかし、この中に含まれる数値には、事故対策費用、賠償、除染など、現在把握されている下限値を考慮している。
今後の原発建設費は、安全性強化の為にの増大するだろう。
事故リスクの積み立て金額、廃炉予定金額は増大するだろう。
交付金などの政策費用も増大するだろう。
そうしたときに、全ての試算結果は逆転する。
図の下が、自然エネルギー財団の試算だ。
原子力が、どの電源より高価になる可能性が高い。
そうしたときに、国民的議論の前提が崩れる。
この夏の議論は、何だったのだろう。
先日僕は関西電力の資産に以下が計上されている事を書いた。
原子力発電設備:3,700億円
核燃料:5,100億円
この核燃料のうち、加工中等核燃料は4,100億円ある。
要するに再処理しない限り核のゴミである使用積済み核燃料だ。
勘のいい人はわかる。
要するに、問題先送り。
「社会保険庁」と同じように、関西電力は既に死んでいるのである。
今までの電気代がすでに安すぎるのである。
もちろん、核燃料サイクルが動いて、原子力政策に輝かしい未来があれば別だ。
しかし、311に僕が涙したように、それらの未来は消えてなくなったのだ。
http://jp.bloguru.com/furyou/116653/311-64
関西電力は原子力を稼働する以外に会社を存続させる方法が無い。
CO2削減の為と、信じて行ってきた道は完全に行き止まりになった。
いろいろ反論はあろうが、彼らもまた原子力政策の被害者だ。
電力会社も賛成せざるを得ないような、原発ゼロのプランは作れるのか?
過去と同じ社会はもうない。
おそらく、同じ事業体が継続できるかどうかも分からない。
国家・企業全体に、大胆な変化が要求されている。
僕はかすかな光が見えてきたように感じる。
物資文明、経済優先社会の次の価値観とは何か?
冒険の旅は続く。