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詩は元気です ☆ 齋藤純二

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“ # ” のついたタイトルはツイッター詩(140文字以内)

Xゲーム

thread
僕の◯△◇X
どうか誰にも知られず
Xだけを抜き取って

いったいなぜXなんてモノを
僕たちに与えたのだろう
苦悩がないと
らしくない人間になる?

ちっともわからないなあ

この世界のプログラミングを
間違ったんじゃないかなあ

僕は自分でXを消し始めたら
病人なんて言われてさ
たくっ
どうなっているんだよ
この世界
きっとXに耐えるゲームなんだな

このゲームは上手く操作できないよ
誰か攻略法を教えてくれないかい

お願いだよ
僕はヤバすぎるんだよ
マジで誰か

それが無理なら
スリープモードにしてくれないか

でも電源はまだ消さないでほしい……

#詩

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肩を叩くなよ

thread
早期退職のお誘い

これは職員の対象者に通知され
私のところにも来た

終身雇用、年功序列型賃金
定年前に辞めてしまえば
退職金が優遇されても
生涯収入は減るに決まっている
年金もどれだけ貰えるか分からない将来
お得だよ、そんな通知には騙されない

とはいえ、早期退職は希望制なので
希望しなければ良いわけで
リストラされるという事ではない

しかし、早期退職の対象になっている
自分ひとりいなくても
この職場は変わらず機能する事は
重々分かってはいるが
社会の老朽したネジになった気分だ

日本の平均年齢は八十歳を超えているし
少子化による人口の減少で国力も低下
やはり中年期、高齢期層の労力は必要不可欠なのだ

それでも五十歳で早期退職のお誘いが来る
賃金での支出を抑えて運営を優先

大学生の子供もいるっていうのに
辞めれる訳がないだろ
職場で培ったスキルや努力も評価されず

もちろん通知はシュレッターで粉々さ

#詩

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soldier

thread
それが透明の魔物とわかっていても
自ら微笑みながら吸い込んでゆく
何かに縋らなくては
起き上がることも出来やしない

萎えた白を吐き出す
その縋りは躊躇なく魔物に消され
再び吸い込むことで委ね続ける

憐れ忘れるほど寒に跪坐く

#詩

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感受性

thread
恋の歌を聴けば
せつない詩を書いて

ロックを聴けば
挑発的な詩を書いて

パンクを聴けば
アナーキズムを書いて

演歌を聴けば
操の固い詩を書いて

レゲエを聴けば
踊るような詩を書いて

ジャズを聴けば
アドリブを楽しむ詩を書いて

クラッシックを聴けば
情緒的な詩を書いて


ヘッドフォンから次々に流れる音楽
ランダムに設定しているから
今はこんな詩しか書けないけど
私は意外と影響されやすい人間なんだ

これを活かしていこう

人間には五感があり
おのおのが変化を受容しながら
無限に膨らんでいく
この詩を書く私の生態と環境は
宇宙に等しい世界を齎らしてくれる

#詩

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thread
光を泳ぐ美しき埃
窓を少し開ければ外へ外へと

僕は地面を這うよう進み
二次元のような時間を費やす

重たい埃は地を這い
前へ進み
たまに後ろを振り返り

積もれば地獄
飛べば天国なのか

それなら僕は当面
意思を足にして
歩くことから始めよう

#詩

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痛み、それは、生きる証

thread
捥ぎ取って欲しいほどの痛み
右手はもう使えなくなり
痛み止めをどれだけ飲んだことだろう

ひとは何かしらの苦も背負いながら
それを乗り切ろうと進んで行くもの
わたしの場合
頚椎の靭帯が骨化して神経を圧迫
この原因がわからずに腕の痛みは続いた

何件か病院を受診するが
筋肉痛と言われ
神経ブロックの注射を打つ
それでも除痛は姑息的
痛み止めを飲み続ける

痛みには勝てない
精神が強いとか弱いとかの次元ではなく
圧倒的に生死を支配する痛みだった
どんな死に方をすれば楽なのか

死からほど遠い楽観主義を貫いてきたはずなのに
現実というのは酷(むご)いもので
正義やら真実の裏返しに包まれ
これが私なのか
こんなになってしまうのが私なのか
それでも生きていかなければならないのか
早く死にたい
早く楽になりたい
生きていることの痛みに限界がきていた

とにかく早く原因を突き止めなくては
医者なんて頼っている場合ではない
腕の痛みを様々な角度から調べる
ひとの助言も聞いて
たどり着いたのが
原因は首にあるのではないか

それは間違いのない判断だった

この病気の多くは七十歳を越えた頃に発症するらしく
わたしはかなり早い段階で頚椎が詰まったため
医者は筋肉痛くらいにしか診断しなかった

脊椎専門病院へ受診をして
やはり手術をして頚椎を拡げることになった

手術は怖くなかった
これでこの痛みから逃れられる

信じて

手術が終わり
脊椎の中には
セラミックのインプラントが五つはめられ
脊柱管は拡げられ
圧迫されていた神経は徐圧されるが
一度傷ついた神経は治るわけではない
だが
腕の痛みは軽減され
これなら生きていけると確信した

だが
両腕の痺れ
顔面の痺れ
右足の痺れ
首や腕と肩に軽い痛み
そして
異常なほどの肩凝り
手術の後遺症なのか
身体の変調は五年経っても消えない
それでも握力は次第に戻り始め
これなら仕事もなんとかやっていける

この病気の術後における完全復職率は
10パーセント未満だろうとも
あの痛みに耐えてきたのだから
もう怖いものはない

そう思いながらも
ひとはそれほど強いわけでもなく
なんとか身体がこのまま保つように

神社で神頼み

まだ
この痛みと痺れなら共存できる
これくらいは生きている証だ
私はここで終わるわけにはいかない
そう願をかける

#詩

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アヒル詩人

thread

僕は水面下で必死に
筆を突くアヒル

努力なんて言葉は知らない
そんな嘘を隠して
なるべく綺麗な作品を
歌うために詩を作る

ひとりの世界でない

もうひとりの詩でない

僕は水面下で必死に
筆を突くアヒル

大きな湖で
君にめぐり逢い
歌う喜びに
筆を突くアヒル

詩ができたよ
さらりと書いてみたんだ

#詩

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哀しばり

thread
日曜日、なぜだろう
身体が動こうとしない
力が抜けては緩んだ気持ちに
寂しさと怖さが入り混じった
夢ばかりを見てしまう

死んだものたちが訪れてくる
友人だの親だの犬や猫

何も言わずに冷たく目の前で
死んでいる辛さに
身体の一部を口にすれば
ずっと一緒にいれる、と
馬鹿なことまで考えてしまう

まったく身体が動こうとしない
水分ぐらいは摂らなくては
そちらの仲間になってしまう

まだ早い
やり残した詩作もあるのに

死の淵に吸い込まれそうな
気怠い日曜日
苦しい孤独が襲い
窓の向こうはもう暗闇だ

#詩

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ひとはひと。僕は僕。

thread
あるひとに
「詩がめちゃくちゃ楽しい」
そういったら
「あとは実益がついて来ればね」
なんていわれた

詩を書いていて
利益を求める意味は悲しい

ひとはひと

なんとか賞を受賞したとか
本を出版して売れたとか

ひとはひと

そこはまったくの励みにならない
べつに否定しているわけでもない
ひとがそこで喜んでいれば僕も嬉しい

ひとはひと

理想はベンチの横に座っているひとが
詩を書いていて
ちらっと見えた世界に微笑むような
なるべく自然な水彩画のような伝わり方がよい

ひとはひと

名誉とか誇りとか正直うんざりだ
詩を書いていることの充実
鳥がさえずるように読まれること意外
充実は考えられない

僕は僕

#詩

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body(コク)

thread
共感に隠し味の違和感がなければ
そのひとに新しい風は吹かないということだ

あっ、と思ったところに苦味を感じて
最初はミルクを多めに入れ違和感の緩和
そして、本筋をしっかり味わう楽しみが
私を動かし目的へと促す風に

飛び出す思いの袋はパンパン
あとはタイミングがわからない
私はまだか、今なのか、それとも
燻る捻くれ、はにかむセンチメンタルか

両手でしっかりと抱えてくれる
そんな安心だけの共感はいらない
不完全たる完全な人間の弱さを知り
一杯への冒険に似た飛び込みを試みる

さあ、目を開けたまま踏み込んでみよう
新しい風を吹かせるために
違和感にある真実を覗きながら

#詩

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