“春らしい花々!”《襍観・/・点描‘16-18》

ナノハナ(菜の花) アブラナ科《Brassicaceae (Crucifera)》
学名:Brassica rapa var. amplexicaulis、Brassica napus L.
別名:アブラナ(油菜)、ナタネ(菜種)、西洋油菜
マンネンロウ(迷迭香) シソ科(Lamiaceae/Labiatae)
学名:Rosmarinus officinalis
   Rosmarinus officinalis L.‘Hinoharu Blue’
別名:ローズマリー ‘日野春ブルー’、 ローズマリー・ホワイト

啓蟄(今年は、三月五日)も過ぎ「冬籠りの虫が這い出る」頃となった。
花を愛でるだけではなく色々な花の背景を想って見たいと。。。!
資料の寄せ集めだが、勉強・・自分のためにも認めてみたい。
 
ナノハナは菜種油のアブラナ(油菜)と観賞用や野菜にするハナナ(花菜)の総称。
原産は、西アジア~北ヨーロッパ。野菜としては、弥生時代には渡来していた由。
食用にされたものが、後に照明用や食用の油をとるために栽培されるようになった。
明治初期に菜種油を採るためにヨーロッパから輸入もされ始めた。
1965年頃までは作付け面積も多くよく畑で見られたものだ。
現在は、余り栽培されていない。逸出したものが土手などで野生化している。
野菜用品種もあるが畑に植えられているのを花で見分けるのは難しい。
在来のアブラナと区別せずにアブラナと呼ばれることもある。
アブラナは葉が柔らかくて皺があり淡緑色。葉の基部は茎を抱く。
萼片が花時に開出し種子の色は黄褐色。
カンザキハナナは観賞用又は花芽を食用とするように改良されたもの。
葉に縮れが多く、12月から花が咲く。
カラシナ Brassica juncea (L.) Czern.もよく似ているが、
やや花が小さく、葉が茎を抱かない(セイヨウカラシナ)。
以下の野菜も変種として分類されていて、黄色の花がよく似ている。
学名に混乱が多いので注意が必要。
ハクサイ Brassica rapa L. subsp. pekinensis (Lour.) Hanelt、又は var. glabra Regel
カブ Brassica rapa L. var. rapa 
ミズナ Brassica rapa L. var. nipposinica (L.H.Bailey) Kitam. 
コマツナBrassica rapa L. var. perviridis L.H.Bailey
ノザワナ Brassica rapa L. var. hakabura Kitam.

*  *  *  *  *  *  *

マンネンロウ(迷迭香)と言ってすぐに分かる御仁は少ないと思われる。
ハーブとして英名のローズマリーがごくごく一般的と思うのだ。
地中海沿岸に自生。日本には中国経由で江戸時代に渡来したとされる。
香油をとったことから、中国名の「迷迭香」が和名になったらしい。
青色の濃い園芸品種、‘日野春ブルー’(マンネンロウ)が好きだ
枝は株が古くなると屡々下垂する。葉は線形、裏面が白い。前年枝に花を咲かせる。
ラテン語のRos Marinus(海の露)が語源。海岸の崖から滴るように花をつけることに由来。
花の特徴は、枝先に総状花序(柄のある花が花茎に均等につく)を出し鮮やかな青い唇形の花。
葉の特徴は、葉は線形で、向かい合って生える(対生)。
葉には柄はなく、縁は内側に巻いている。
葉の表面は濃い緑色で、裏面は短い毛が生えていて白っぽい(何とも奇妙で面白い)。
そしてれっきとした樹木である。庭木として絶品でも在る。
30~200cm 立性のもの、そして匍匐性のものがある。


「藤沢市長久保公園 2016/2/21」

#ブログ #樹木 #花

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“春一番の野草!”《襍観・/・点描‘16-17》

セントウソウ(仙洞草) セリ科(Apiaceae/Umbelliferae)
学名:Chamaele decumbens (Thunb.) Makino
別名:オウレンダマシ(黄連騙し)
林縁に静かに佇んでいるように見ゆる。
少し引いて見ても何とも愛らしい。


森林に生える小さな多年草。花は白色。葉柄は紫がかる。
セントウソウは、他の花より一番早く咲くことから、
「先頭」という意味の名前が付いたという説もある。
別名のオウレンダマシはどちらかというと、
花よりバイカオウレンなどの実に似ることからのようだ。
セントウ(仙洞)とは、仙人の住む洞窟のことらしい。
日の当たらない林や、登山道などでよく見かける。
セントウソウ属は、1属1種、日本特産。
葉は混生し長い柄のある2回3出葉で、小葉は卵形で鈍鋸歯がある。
葉の間から複散形花序を出し白い小さな5弁の花をつる。
小さい花弁が内側にカールしているのが特徴。
別名はセリバオウレンに葉が似ていることによる。
蔵王山麓では4月頃、見れた。果実は5月中に熟して落ちてしまう。
小葉や裂片の隙間は変化が大きい。葉柄の基部は左右に広がっている。
総苞、小総苞や萼はない。5個の花弁の先が少し曲がるのが特徴だ。
雄しべは5個、長く花弁から突き出る。葯は白色。花柱2個も長い。
花期としてみると今年は少し早いように感じる(普通3~5月)。
林内、林縁にひっそりと咲く風情は楚々としている。
在来種(日本固有種)である。北海道、本州、四国、九州で見られる由。


「筑波山麓 2016/2/27」


#花

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“樹木の花!”《襍観・/・点描‘16-16》

フサアカシア(房アカシア) マメ科(Fabaceae)
学名:Acacia decurrens var dealbata
別名:ハナアカシア,ミモザ,ミモザアカシア
英名: Silver wattle
絵になる房花、そして針葉。


2月末頃から咲き始め、園芸分野では「ミモザ」と一般的に呼ばれている。
20~30の小さな花の集まりを房状に付ける。
ギンヨウアカシアの様に葉が隠れるほどの黄色一色ではない。
艶やかではないが、落ち着いた感じである。大型の濃緑色の葉がいい。
公園樹に多用されている。広がりを持つ雰囲気が公園には似合っている。
家庭の庭では大きくなりすぎ、同じように見える木は多分ギンヨウアカシア。
2-3月に濃い黄色の花を枝先に多数付け、花の後には種を含んだ豆果が下垂する。
原種は、オーストラリアの南東部、ニューサウスウェールズ州~ビクトリア州、
タスマニア島に分布し、乾燥した硬葉樹林や森林地帯に生えている。
高さは20~30メートルにもなり、樹皮は灰色から灰緑色、あるいは褐色で平滑、
年輪を重ねると深く剥離する。葉は青灰色から銀色、ときに緑色で2回羽状複葉。
10~30対の羽片があり、ひとつの羽片は10~60対の小羽片で構成されている。
早春を彩り枝先や葉腋に円錐花序を出し、明るい黄色の花を咲かせる。見事だ。

「藤沢市長久保公園 2016/2/21」



#樹木 #花

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“優美な色合い・・椿!!”《襍色・/・点描‘16-14》

ツバキ(椿)【花車】 ツバキ科(Theaceae)
学名:Camellia japonica‘Hanaguruma’


ハナグルマの花姿は、白または極淡桃地に紅の縦絞りが入る八重、二段咲き。
産地:江戸、花の大きさ:中~大輪、花期:12~4月。
葉形:楕円、中形。樹形:立性、強い。[来歴:「本草花蒔絵」(1739)に載る。
以上、誠文堂新光社・発行、日本ツバキ協会・編「日本ツバキ・サザンカ名鑑」より。
常緑なのに一部の葉が紅葉することもある。落葉もせず、暖かくなると緑色に戻る!!
茶せんのような形をした雄蕊。散るときは、咲いた状態と同じ姿で落ち散る。
何故か??中にある一本の雌蕊だけが残る。これ又、自然界の妙だ。
赤と白の絞り模様の「花車」、ツバキの園芸種は日本で500種以上とか!!
酷似のサザンカは花びらが一枚一枚散るが、ツバキは、がくの部分から丸ごと落ちる。
日本原産種は、ユキツバキとヤブツバキ。カンツバキは、サザンカの改良品種。
よく云われる椿油(つばきあぶら)は、ヤブツバキやユチャの実を絞ったもの。
※紛らわしい植物に春山茶花がある※
ハルサザンカ(春山茶花) ツバキ科、学名:Camellia vernalis
花の形は山茶花似だが、椿同様に花びらがくっついたまま落下する。
雄蕊も椿同様に筒状。子房には毛が密生する。
サザンカとヤブツバキの雑種で両方の性質を持ち、春に咲くことで名前が付いた由。



「藤沢市長久保公園 2016/2/21」


#花

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“黄色い椿の花”《襍花・/・点描‘16-10》

キンカチャ(金花茶) ツバキ科(Theaceae)
学名:Camellia chrysantha Tuyama
開花初めは白っぽく、開花すると黄色くなる。

ベトナムに隣接する中国広西省南部で発見された珍しい黄色い椿の花。
花は直径4-6cmで黄色。開花時期は比較的早く1~3月。
日本には1979-80年に中国から渡来したと言われている。
もっぱら観賞用として黄色ツバキを交配により作出しようと試みられている。


「筑波山麓 2016/2/04」



#花

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“庭の花歴”《襍観・/・点描‘16-9》

葉の形状が、何ともかわいい。
ツタバウンラン(蔦葉海蘭) ゴマノハグサ科(Scrophulariaceae)
学名:Cymbararia muralis
別名:キンバラリア、ツタガラクサ(蔦唐草)
健気な浮釣木の花。

首都圏に降雪が在ると大混乱を引き起こす。
我が家の庭に咲いていた小さな花も雪に埋もれぐったりと。。。!
花は、うつむき加減、生気が無い。
その一方、季節・天候に左右されず元気に顔を魅せる花。
どちらを眺めても愛おしい。
*  *  *  *  *
ツタバウンラン(蔦葉海蘭)
一年草もしくは多年草.無毛で,茎は細くて地上を這い,長さ10~40cm.
所々で不定根を出す.葉は掌状に浅く5~9裂,脈は射出.
花冠は白~淡青色で暗紫色のすじがあり,長さ7~9mm,上下2唇に分かれ,
上唇は2裂して直立,下唇の背面には2個の黄色いふくらみがあって花口をふさぐ.
花冠の後端は距となる.雄ずい4,雌ずい1.果実(さく果)は径5~6mmの球形,
長絵によって下垂,熟すと裂ける.種子は径1mm弱,黒色~褐色で不規則なしわを持つ.
生息環境:道端・住宅街などの石垣のすき間,小川の岸辺など
繁殖生態:繁殖期:花期は春~初夏
国内移入分布 北海道~本州 国内分布図
侵入経路 園芸植物(ロックガーデン用に)として
侵入年代 大正初年(1912年)
「国立環境研究所、侵入生物データベース」より

情報元でお分かりのように外来繁殖植物に指定されている。
ちょっとした悪者扱い・雑草などと呼ばれているが??
可愛い植物であると思って止まない^^)。
ウンランやホソバウンラン、マツバウンランの仲間で葉がツタの葉の形をしている。
ムラサキサギゴケやトキワハゼと見間違うが、葉の形が違う。

*  *  *  *  *
下の画像は、ご存知!!浮釣木。
何回か、ブログルで記したことがある。
その折のコメントでmoonさんが1年中咲くと教えて下さった。
鉢植えを地植えにしたのだが、ほんと^^)次々と1年中花が付く。
あめにも・・ゆきにも・・かぜにも、負けない健気な花だ。

早いもので「立春」、身近な里山・・・今年は未だ探訪していない。
久しぶりに・・・活字とにらめっこ。復調してきた、身体が軽い。。。!



「大和市居所 2016/1/26~2/04」



#花

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“節分の花”《襍華・/・点描‘16-8》

セツブンソウ(節分草) キンポウゲ科(Ranunculaceae)
学名:Eranthis pinnatifida Maxim.(Shibateranthis pinnatifida)
花びらに見えるのはガクで、
実際の花弁は、小さな黄色い雄しべ状の蜜槽と呼ばれるもの。


研究者解説(筑波大・松本定)
日本特産で、山地の木陰などに群生する小形の多年草。
白く花弁のように見えるのは萼、花弁は糸状で二又に分かれた先端に黄色い密腺をつける。
木の葉が茂って暗くなる5月頃には種子が散布され、地下の塊茎に栄養分を貯め、
地上部は枯れて翌年の2月まで眠ってしまう春植物。
林床に十分光が入るこの時期に葉を開いて花を咲かせ、初夏までの間に養分を蓄えたのち、
翌年の春まで姿を消してしまう植物をスプリング・エフェメラルと呼びます。
地上部が短命であるようすから、「春のはかない命」と訳されます。
これらの植物によって早春の林床は大変にぎやかになります。
スプリング・エフェメラルのひとつ、“福寿草”が咲き始めました。
その近くではセツブンソウが今にも落ち葉の下からつぼみを広げて姿をあらわそうとしています。
植物園内にあるのはフクジュソウとミチノクフクジュソウの雑種起源のフクジュカイ(福寿海)、
園芸種で種子ができず栽培が容易で“福寿草”として栽培される大部分はこの品種のようだ。
自然・野生自生種は、伐採等で今や本州(関東地方以西)で準絶滅危惧 (NT)である。日本固有種
属名のEranthis(エランティス)は、ギリシャ語で「春の花」の意。
和名は早春に花を咲かせるのでついた。でも節分の頃より少し遅く咲く(自生地の話)。
木の葉が茂って暗くなる5月頃には種子が散布され、地下の塊茎に栄養分を貯め、
地上部は枯れて翌年の2月まで眠ってしまう春植物。
*   *   *
今年は、早くも山麓の一ヶ所で咲いていた!?!

「筑波山麓 2016/02/2」
#花

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“梅。。花”《襍観・/・点描‘16-7》

ウメ(梅)  バラ科 Rosaceae
学名:Prunus mume Sieb. et Zucc. (1836)
アオジク【青軸】、梅の一品種。
枝・若葉・萼(がく)が緑色をし、花は一重または八重で純白か少し蒼味を帯びる。
アオジクの蕾
園芸種のベニチドリ。
「夢待ち桜」の若芽

この季節、野に咲く草花は、中々見つけられない。
そんな中で公園の樹々の花が楽しみだ。
1週間程前に「夢待ち桜」が開花してないか、と・・!
昨年知った花を見に出かけた。早咲き桜だそうだ。
だが未だ芽がでたばかりだった。立て看板には1月開花。
『「夢待ち桜」淡紅色の一重咲き。 伊豆大島の育種家 尾川武雄氏により
オオシマザクラとカンザクラをもとに作出』と書かれていた。
その代わり、梅の花が咲き始めていた。
昨年、見た青軸(アオジク);
野梅系の種類で花は、緑白色の中輪種、一重咲き、
枝や萼が緑色の青軸性と呼ばれる品種、清楚で気品がある。
咲き始めと言った感じだった。
隣の紅千鳥種は、咲き誇っている風情。立派だ。
「紅千鳥」の命名由來の姿が拝めるか??と想ったのだが、
残念なことに此処の花には見られなかった。
『紅千鳥の雄蕊先端に旗弁(雄蕊が花弁化したもの)が出ることがある。
江戸時代、この旗弁を見て千鳥が飛んでいる風情・・・!
それ故に「紅千鳥」という品種名が付いた由。』
又、さくらにも旗弁が見られるそうだ。
帆を立てているように見えるので『帆立』と言うらしい。

梅の花を見ると江戸中期の大博物学者を思い起こす。
以前にも梅の季節で触れた三浦梅園翁、大学者である。











「藤沢市長久保公園 2016/01/23」



#花

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老いても可憐にありたい!?!

枯れた・・・ドライフラワーのようなツルボ。。。!?!
晩夏を彩るツルボの花。
ゆっくりと歩行(散歩)していると、思いがけない花と遭遇する。
正直「ツルボ}???かっておもいつつ写真に撮った。
確信が持てない。専門家に尋ねてみたら、珍しいですね。。。!
迷った末に持ち帰るのをやめたのだが・・・。

枯れた感じの風合いがなんとも言えない(撮し方が下手で実物は瀟洒だった)。
晩夏に魅せる花穂も良いが、初めて出会った花。
このままで夏まで魅せてほしい。
ひと目につきにくい所だったので静かに魅せて・・・。
再会したいものだ。行けても5月かなぁ~~~!
楽しみだ。
何か・・・老いて(枯れて)も盛ん!!って感じだった。
花が終わった後の状態、それぞれの萼にひとつずつ、黒い種子が入っている。
この種子を持ち帰って見たい衝動に駆られたが・・・。
野にあっては、自然に帰ったほうが摂理。再会を楽しみにその場を去った。
植物の深淵な世界を見た気分^^)。




 「ツルボ」
[学名] Scilla scilloides
[英名]なし
[名前の由来] 不明。別名、サンダイガサ(参内傘)。
[分布] 北海道~沖縄、東アジア
[科名] ユリ科ツルボ属
[花色] 淡紅紫色
[花期] 8月・9月
[特徴] 日当たりの良い山野、林の縁に生える多年草。
 花茎は高さ20cm~50cmになる。先端に総状花序を出し、花は径約6mmで6個の淡紅紫色の花被片からなる。花糸は糸状で下半部は広がる。
 葉は長さ15cm~25cm、幅4mm~6mmの線形で、2個が根生するが、花期にはないこともある。内側は浅くくぼみ、厚くてやわらかい。
 地下には黒褐色の鱗茎があり、長さは2cm~3cm。
 果実はさく果で、長さ約5mmの楕円形。
#園芸 #花

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紫陽花の季節だが・・この花は!?!

台風が本土を縦断している。人間は、避難できるが植物は!?!

雨に似合う花、紫陽花。以前「七段花」のことを記した事があった。
あじさいとシーボルト、西洋との架け橋。。。この花は、日本原産。
アジサイ(アヂサヰ)Ajisai(Adzisai).紫陽.あじさい.紫陽花等いろいろに表現される。

アジサイ属で東アジア、フィリピン~インドネシア周辺は落葉性のものが、中央・南アメリカには常緑性のものが多い。北アメリカにはアパラチア山脈にのみ自生している。
先の尖った卵形か広楕円形の大型の葉。特徴的なのは、花で一見花びらに見えるのは、萼片が発達して花弁状に・・・これを装飾花と呼ぶ。

日本原産のガクアジサイ(額紫陽花)H.macrophylla f.normalisを母種として日本で作られた園芸品種の各種のあじさい。時間とともに色も変化する楽しい花だ。江戸期の園芸技術は西洋を越していた!?!「フロラ・ヤポニカ(日本植物誌)」をみると。

「万葉」の時代から文献にいずるあじさいだが、鎌倉時代には園芸品種として栽培が始まるも「よひら」とも呼ばれるように萼が4片で「死」を連想させ、枯れた花がいつまでも枝についていること等から日本では印象悪くヤツデやドクダミと並んで日陰の花扱いされていたようだ。発想が、往時の鎌倉時代らしい。だが18世紀末ヨーロッパに渡ったアジサイは、多色系でセイヨウアジサイ(H.m.f.hortensia)に品種改良され今日、逆輸入されている。酸性土壌の多いヨーロッパでは鮮やかな青色になりやすく、多様な色も出しやすい!!がしかし、その花の色変わりを奇異とするのか、花言葉には「高慢、心変わり」等と説明されている。

漢名「紫陽花」は、白居易(白楽天)の「紫陽花詩」に登場する「紫陽花」をアジサイと解した平安時代の学者・源順( みなもとの したごう )が、「倭名類聚鈔」に「白氏文集律詩云紫陽花、和名安豆佐為」としたのが初見。
だが、この詩の注に「招賢寺有山花一樹、無人知名.色紫気香、芳麗可愛、頗類仙物.因以紫陽花名之」とあり、紫色で香がある点を考えると「紫陽花」はライラックを指したとも言われている。アジサイを中国では「繍球(花)」と表記する。

1823~8年、日本に滞在したシーボルトが花序全体が装飾花になる園芸品種のアジサイにつけたH.otaksaの小種名”オタクサ”。
これはガクアジサイの変種。
シーボルトの思い入れある花のようだが、1775-6年に来日したツンベルクが命名したH.macrophyllaと同一とされ、有効な学名とされていない。学問的は・・・置いといて、長崎の市花はあじさいである。

長崎といえば・・・”蝶々夫人”でも有名だが、人間的にピンカートンとシーボルトを想うと面白い。

シーボルトが、故郷のドイツに書き送った手紙の中に『 お滝さん以外の女性を妻に迎えることは絶対にない 』。こんな書簡も現存している。
時代背景・西洋と日本での環境背景を垣間見れる。
シーボルトとお滝さんの孫娘に当たるオタカさん( お稲さんの娘) が祖母の『 お滝さん 』を次のように語っている。

 『 祖母(お滝さん)は、祖父(シーボルト)が追放になった2年後に、無理矢理再婚させられました 』
 『 祖父(シーボルト)も、10年後に郷里のドイツ女性と再婚したようです 』
 『 明治時代に入って、白髪の老人になった祖父(シーボルト)が明治維新政府の招きで来日しました 』
『 その折に、祖父と祖母、娘の(お稲)、オタカを交えて、涙の抱擁を果たすことが出来ました 』
 『 年老いた祖父(シーボルト)は、今まで肌身離さず持っていた “ 妻と娘の髪の毛 ” を両手に握り締めて言いました 』
 『 いかなる時であっても、2人のことを一日たりとも想わなかった日はなかったのだよ! 』

シーボルトが持ち帰った紫陽花や他の植物、現在日本では見られない種類もあるとか。以前、フランスのコレクターが保存、株分けされたものを浜名湖で開催された花博のおりお里帰りした紫陽花があった。「フロラ・ヤポニカ(日本植物誌)」に載っていながら実物を発見できずに幻の花と言われていた紫陽花、「七段花」が、1959年に六甲山で発見され今ではどこでも見られるようになった。これまた、園芸ニッポンだ。
 「フロラ・ヤポニカ」には、植物目録・433の植物名がある。
アジサイ属では、アジサイ、ベニガク、フイリベニガク、ガクアジサイやアジサイの園芸品種。
そのほかツバキ、カザグルマ、クサボケ、フヨウ、カノコユリ、シャクヤク、サクラソウ、チャノキ等。
その中で興味深い花がある。

ヨーロッパのツバキは氷河期に絶滅していて化石でしか存在していなかった。
それが短期間の間に小説「椿姫」(アレキサンドル・デュマ・フィス、1848年)が生まれている。
それほどにシーボルトが園芸植物をヨーロッパに普及させる道を開いたといえようか。
その当時は日本のほうが園芸先進国であったようにもおもえてくる。

アジサイ属(Hydrangea)の日本固有種は次の14種が自生している
ガクアジサイ、ヤマアジサイ、タマアジサイ、コアジサイ、コガクウツギ、ガクウツギ、ノリウツギ、ツルアジサイ、トカラアジサイ、ヤハズアジサイ、アマギコアジサイ、チチブアジサイ、ヤエヤマコンテギリ、リュウキュウコンテリギ。
今、各地のお寺さん境内に紫陽花が、流行り的に植栽されている。が、野趣あふれるものは、少ない。あじさいは、高木の林床にあるべきと感じる。特にヤマアジサイ系に思う。

シーボルトが持ち帰った花木の中に百合があった。
当時欧州にあった百合の花は白い小さなもので、死者に捧げるものとされていた。
日本でいえば献花や仏花に使う菊の花といった感じか。
それに比べると日本から持っていったいくつかの百合は花も大きくカラフル。それだけで双手をあげて大歓迎をされたのだそうだ。
中には球根がそれと同じ重さの銀と交換されていたものもあったようだ。
日本の花木、特に背の高い木々の下に生育する低花木の類に相当するものは、環境的にも一致する。
シーボルトが日本から西欧に持ち帰った花木類は西欧での庭園に様々に影響を与えてきた。
その一方、日本の原種が消えてしまっている。何とも言いようがない。

今ひとつ、関心を持っているのが、西欧に渡った“フジ”。
ベルギーの民家にシーボルトが持ち帰ったフジの分身が存在していると資料で読んだ。
ベルギー人は、“センジャク”と呼んでいるらしい。
『Wisteria floribunda(wild.)DC.'senjaku'』
日本の何処のフジかもわからないとか、何とも神秘的。
また、オランダのライデン大学植物園のシーボルトコレクションにもない由。
アジサイの七段花のように発見されるとよいのだが・・・。

#園芸 #花

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