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今年の読書(58)『謀略法廷』ジョン・グリシャム(新潮文庫)

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今年の読書(58)『謀略法廷』...
自らが弁護士であり、またミシシッピー州の下院議員を務めたことのある著者の法廷小説は、処女作『評決のとき』(1989年)以来、好んで読んでいます。

日本の裁判制度とは違い「陪審員制度」の米国ですが、評決に至るまでの面白さは、著者ならずとも楽しめる作品はたくさんあります。

『謀略法廷』は、化学工場が垂れ流していた廃棄物が原因で、町の人々が癌などを発病させ、その賠償を求めて正義感の強い弁護士夫婦が私財をなげうって弁護にあたり、企業側から懲罰的賠償金を含めて多大な賠償金を勝ち取ります。

大企業のオーナーは賠償金を支払う意志もなく、上告する州の最高裁判所の判事選挙に巨額の裏金を投資して、自分の意のままになる候補者を当選させるべく画策に走ります。

法廷内での原告・被告のやり取りの応酬が小説の中心ではありません。法廷外での弁護士や大企業の経営者のエゴ、裁判官の選挙自体の問題定義といった内容が濃い作品でした。

下巻のページ数が残り少なくなるにつれ、夫と子供を亡くした未亡人は賠償金を取れるのか、大企業のオーナーは生き残れるのか、破産した弁護士夫婦の今後はどうなるのか等、色々と結末を考えながら一気に読み終えました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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ファルコン
Commented by ファルコン
Posted at 2012-05-06 14:38

残念ながら、ハッピーエンドに終わりませんでした。
大企業がお金で政治や経済を牛耳ってゆくアメリカの現状を、警告の意味で書かれたような気がしています。

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エメラルド
Commented by エメラルド
Posted at 2012-05-08 14:01

結末に期待していたのですが、問題提起の形で終わったのですね。現実はそうなのかもしれませんね。でもそれは実際怖い話ですね。正義はどこへ行ったのでしょう・・・。

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ファルコン
Commented by ファルコン
Posted at 2012-05-09 00:45

裁判そのものが、代理人費用や時間がかかりますので、弱い立場の人では、不利な解決方法だと感じています。
あくまでも、法律と比べての判断ですので、「人道的」とか「人間的」な判断は無視されていますので、意外な判決も当然あることだと思います。

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