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- 今年の読書(155)『光媒の花』道尾秀介(集英社文庫)
2011年『月と蟹』で第144回直木三十五賞を受賞している著者ですが、本書は2010年に第23回山本周五郎賞を受賞している連作短篇集です。
ミステリー作家としてデビューしていますが、トリック的な要素を含めながら、6話の短篇が収められています。
昆虫好きとしては隠喩的に出てくる<白い蝶>の存在が印象的で、総タイトルとしての『光媒の花』に結びつく結果になっています。
扱われている主題は、重く陰惨な場面も登場するのですが、子供から思春期を経て大人になってゆく場面を見事に切り込み、はかなくも悲しい主題がリンクするのですが、著者の人生は捨てたもんじゃないという応援歌として読み切りました。
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