12話の短篇からなる構成で、たいてい短篇集のタイトルはその中の1編の作品名が付けられている場合が多いのですが、本書は全く別の表題になっています。
独立した12話で連作短篇ではありませんが、各短篇の主人公たちが、それぞれの作品の登場人物と何らかの関係でリンクする構成であることが分かり、表題の意味も自ずと理解できました。
12編に登場する主人公たちは、それぞれに違う職業で人生を歩んでいますが、ふとしたきっかけで歩んできた想い出に立ち止まり、また自分の人生観で歩み始める姿が優しく描かれています。
『足の速いおじいさん』では、建築学科を卒業した<七海>のおじさんは、海外に飛び出したままその後行方知れずになっています。<七海>が家庭教師をしている<繭子>から聞いた話で、公園にいるホームレスは行方不明のおじさんではないかと按ずるのですが、同じ建築学科卒業としては心痛む作品でしたが、作者の優しい目線に救われました。
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Posted at 2014-05-05 14:03
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Posted at 2014-05-05 14:17
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