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- 今年の読書(62)『汝、隣人を愛せよ』福澤徹三(徳間文庫)
大学講師の<真壁弘平>は、新しく購入したマンションに移り住んで間もなく、「しずかにしろ!」というクレームが書かれた手紙を受け取ります。
息子の<智也>のゲーム音かもしれず注意していたのですが、嫌がらせはエスカレートしてゆき、玄関の前に鳩の死骸などが置かれ、同じマンションの住人<釘宮勝江>を犯人だと決めつけますが、確たる証拠はありません。
相次ぐ隣人トラブルの最中にもかかわらず、自らも大学を解雇されてしまい、不安定な日常生活の中、8年前にマンションで起こった自殺事件が浮かび上がります。
<真壁>と同じマンションの新任理事でありジャーナリストの<阿久津>は、この自殺事件を調査中に、自殺と判定される不審死で無くなります。
同じひとつの屋根の下に住むマンションの住民同士のトラブルを縦軸として、引きこもりの<智也>との親子関係が絡み、中年の悲哀と家庭環境が描かれた作品で、複雑な人間模様が楽しめました。
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