部押印を舞台とする「チーム・バチスタの栄光』から始まる海堂尊の作品群は、架空の都市である桜宮市、極北市を舞台に各作品とその登場人物が関わり合うクロスオーバーで展開される構成でしたが、新たな架空都市として浪速府を設置し、2009年に発生したインフルエンザ騒動をモデルに新型インフルエンザ罹患者に接する浪速府の医師親子の奮闘と、その裏で繰り広げられていた浪速府知事<村雨弘毅>と霞が関の官僚たちとの暗闘を、週刊新潮で2010年に約1年かけて連載されました。本書は大きく分けて三部から成り立ち、時系列が前後しながら全体が構成されています。
浪速市天目区にて渡航歴のない小学生が「インフルエンザ・キャメル」に罹患、厚生労働省は浪速府への移動・転出を認めない経済封鎖を行いますが、その裏側には霞ヶ関の官僚たちの利権と権力が絡む陰謀がありました。
関西経済の復活、道州制を超えた「日本三分の計」案を進めるべく、浪速府知事の<村雨弘毅>、東京検察庁から浪速検察庁に左遷させられた「カマイタチ」こと<鎌形雅史>、「医療界のスカラムーシュ」の<彦根新吾>、さらに厚生労働省技官であり「ロジカルモンスター」と称される<白鳥圭輔>たちが、堂々と霞ヶ関に立ち向かう姿を描きながら、今の日本の医療問題にも切り込んでいきます。
著者の作品に共通するのは、他の作品の登場人物たちがさりげなく脇役として登場してきますので、おもわず「ニヤリ」とさせられる場面が多々ありました。
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Posted at 2014-12-07 22:26
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Posted at 2014-12-08 16:41
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