国の近代化産業遺産に選定され、兵庫県尼崎市内に現存する最古の洋風建築「ユニチカ記念館」(同市東本町1)が、建物を維持するための耐震工事に4億~5億円の費用がかかることにより、所有する繊維大手のユニチカが解体する方向で検討されているようです。明治日本の貴重な産業遺産を失うことには惜しむ声があるようですが、尼崎市も財政難で支援に難色を示しており、現状で解体回避は難しそうな状況です。
「ユニチカ記念館」は、NHK朝の連続ドラマ『あさが来た』(2015年度下半期放送)の主人公「あさ」の夫「平岡新次郎」が初代社長を務めた「尼崎紡績(現ユニチカ)」(ドラマでは「阪神紡績」)の創立(1889)当初の1900(明治33)年に建てられた本社事務所です。
「尼崎紡績」は1918年に「大日本紡績」と改称し、尼崎に巨大な紡績工場群を建設しましたが、1945年の米軍による空襲でほぼ焼失。奇跡的に被害を免れた「ユニチカ記念館」は、戦前の尼崎と紡績産業のつながりを今に伝える数少ない遺産で、2007年には経済産業省の「近代化産業遺産」に選定されています。
記念館の館内に保存されている歴史的資料の新たな行き先も気になるところです。
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