21日の東京外国為替市場で、円相場は反発しています。17時時点では前日の同時点に比べ68銭の円高・ドル安の「1ドル=154円97〜98銭」でした。
ウクライナとロシアを巡る地政学リスクの高まりに加え、
日本株の下落が投資家のリスク回避姿勢を強めるとの見方が強まりました。ドルやユーロなど主要通貨に対して「低リスク通貨」とされる円を買う動きが優勢でした。日銀の利上げ観測が意識されたこともあり、円相場は一時「1ドル=154円53銭」近辺まで上昇しています。
日本時間21日午後、「ウクライナ軍は、ロシアが大陸間弾道ミサイルを発射したと発表した」と報じられています。ウクライナ軍は20日に、英国が供与した空中発射型巡航ミサイルをロシア領内への攻撃に初めて投入するなど、ウクライナとロシアの対立が激化するとの懸念が強まりました。両国の対立激化を警戒し、低リスク通貨とされる円には買いが入りやすくなっています。
ニューヨーク連銀の<ウィリアムズ総裁>は、来年末には政策金利が今よりも低くなるだろうなどと語り、米連邦準備理事会(FRB)の利下げが続くとの見方が強まったのも円買い・ドル売りにつながっています。
21日午後には日銀の<植田和男総裁>がパリ・ユーロプラスが開いたイベントに出席し、利上げについて「金融政策決定会合ごとにデータを判断して見極める」などと語っています。次回12月の会合までは1カ月あり、より多くのデータが得られるとの認識も示しました。次回会合で利上げを決める可能性が意識されたのも、円相場の押し上げにつながっています。
もっとも、円相場が上値を試す動きは鈍く、20日には(FRB)の<ボウマン理事>がインフレ高止まりへの警戒感を示すなど、市場では米利下げペースが鈍るとの観測が広がっています。米金利の先高観は根強く、日米で大きく開いた金利差がしばらく続くとして円売り・ドル買いも出ています。