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暖かな日曜日でした。新開地本通を、山側にあがりますと、視界が開ける場所に出ます。そこが、「湊川公園」です。
1905年から旧湊川の付け替え工事が始まり、1911年に公園としての今の形が出来上がりました。「ええとこええとこ聚楽館」と呼ばれる建物が出来たのが、公園完成の翌年1912年です。
公園というよりは広場で、神戸祭りなどの会場や、陶器市、実りの祭典等のイベントに良く使われています。
その公園のあちらこちらで、オジサンたちが青空将棋に興じています。ベンチの机には、くぎ付けされた将棋盤が何枚かあり、駒を持ち寄り楽しまれています。
強い人では、アマ6段ぐらいの実力者がゴロゴロおられるみたいで、はたで見ている方も真剣そのもの。ちゃちゃを入れる人もおりません。
雨でも降らないかぎり、風が寒かろうが、どこからともなく出向いてきて勝負が始まります。
それをまた、じっと眺めている人もいる不思議さ。好きなことは、寒さなんか関係ないんでしょうね。
震災後、新しく店舗を建て替えられ、営業されている花屋さんです。
お店の名前は「潤」。神戸国際会館の南側、フラワーロードの1本東側の道に面しています。
背丈ほどの植木類も販売されていますが、ほとんどのお客さんは、鉢植えのお花を買われています。
安いんです。半額とはいいませんが、一般の花屋さんに比べて随分とお得感があります。
そろそろ春先の花壇の準備もあるのでしょう。たくさんのお客さんが来られておりました。
ただ、前面道路はフラアーロードの抜け道的な所で、おちおち店の前の鉢に気を取られていると、クラクションの音を聞くことになってしまいます。
両手いっぱいに苗木を買って帰れれるご婦人の後ろ姿をみると、大きく育ってくっればと思ってしまいます。
そう、花は「元気」を与えてくれますよね。
毎月一日は、湊川神社において「一の市」が開催されます。
JR神戸駅より、山側に歩いて三分。目の前に湊川神社はあります。
神戸っ子は、湊川神社というよりは「楠公(なんこう)さん」と呼ぶのが一般的です。
本日一日は、手作りの店が境内に軒を並べる日。竹の編み細工、焼き物、木工製品等、様々な店が出店しています。
残念ながら、この催しも新しく、まだ一般的には広まってはいません。
それでも出展者同士が、和気あいあいと会話をしながらの出店の雰囲気は心がなごみ、そんな光景がわたしは好きで、ブラブラとお店を眺めながら歩いております。
なんとなく気の合う仲間が集まって飲んだ焼酎の銘柄が、「赤とんぼの詩」だったこともあり、2か月に一度に行っている飲み会を「とんぼの会」と称しています。
例会はJR神戸駅近辺で行うのですが、今回はたまには河岸を変えてとのことで、JR三ノ宮駅にての集合となりました。
JR三ノ宮駅は、阪急三宮駅と一体化した西口、中央口、東口と三か所の改札口があります。うっかり聞き流してしまいますと、当日携帯電話で、どこの改札口かを確かめるやり取りをしなければいけません。
単に中央口といいましても、神戸のメイン駅ですので人も多く、うろうろするのも煩わしいのですが、「金の鈴のところな」で理解できます。
一応中央口に天井からぶら下がってはおりますが、端の方にあり、また高い天井部分ですので、ほとんどの人は、気付かずに通り過ぎています。
阪神・淡路大震災以前の平成6年に、大阪〜神戸間の鉄道開通120年を記念して、取り付けられました。
高い場所にあるものですから、小さく見えますが、直径約50センチ、高さ約70センチで、真鍮の下地に金箔を貼り、メラミン樹脂にて保護されています。
正式な名称は”愛鈴(アイベル)”=逢い鈴にひっかけています。
JR東京駅には、「銀の鈴」があるらしいです。残念ながらわたしはまだ、どのような鈴なのか拝見できておりません。
神戸国際会館の前で、偶然見かけました<石焼き芋屋さん>です。
町中の住宅地では、防災上たき火もできなくなり、落ち葉を集めての焼き芋作りは、昨今では夢のまた夢です。
じっくりと時間をかけて焼いた焼き芋は、ほっこりとして味わい深いものですが、都会では諦めなければいけない味になりつつあります。
この手の<石焼き芋>は結構な値段で、もはや庶民のおやつとも言えず、落ち葉を集めて焼いた<焼き芋>の味を知らない世代が多くなりつつあるようです。
マイクから「いしや~き~いも~、いも」の声が流れているのですが、誰も近寄ることもなく、なんだか寂しげなお昼の景色でした。
(神戸の台所、東山市場にて)
本日28日は、瀬戸内海を中心として、いかなご・しんこ漁の解禁日です。
いかなごを「くぎ煮」にするために、朝早くから、魚屋さんに列を作っての買い出しとなります。
春3月の初旬の、明石から神戸にかけて、この時期の風物詩といっていいでしょう。
それぞれの家庭で、味付けが違うのも、また面白いと思います。
「くぎ煮(佃煮)」と呼ばれるのは、出来上がりが「さびた釘」に似ているところから言われ出されたようですが、言いえて妙な形ですね。
昨年は不漁で、随分高額でした。今年は冬の強い季節風のおかげで、稚魚が大阪湾まで分散し、プランクトンも広がっていたために、生育状態はいいとか。
それぞれの台所から、煮しめた甘ガライ匂いが立ちのぼりますと、本当に春はもうすぐだという感じがいたします。
神戸で一番の繁華街は、「三宮センター街」でしょう。
その中に、1918(大正7)年創業の「神戸センター」があります。残念ながら、本日をもって90年の営業に幕を閉じます。
創立当初は、家具屋さんでした。その後、時代の流れでしょうか、インドネシアやバリといった民芸品や雑貨のお店として営業形態が変わり、小さな木製の「神戸人形」の販売も手掛けられていました。
阪神・淡路大震災でビルが全壊、1998(平成10)年にビルを再建され、かばん専門店として再出発されていました。
子供の頃の建物は、隣接するビルと一体のような構造で、自由に行き来でき、所狭しと並べられた世界の珍しい雑貨品を、眺めていた記憶があります。
『古書店が消えてゆく』 (2007年12月16日)に書かせていただきき、この1月14日に創業98年の歴史に幕を閉じた「後藤書店」は、この店の2軒西隣りです。
メイン通りの「三宮センター街」の老舗として続けての閉店ですが、また違った店舗が登場し、歴史を積み重ねてゆくことでしょう。
時期はずれになりますが、神戸での初詣は、生田神社・湊川神社・長田神社と三社詣でが一般的です。
その長田神社の西側の入り口に、この石垣があります。
本来の参道は、こちらの西側が正門なんですが、現在は、広い道路側が正門として、利用されているようです。
訪れるたびに、この石垣で、足が止まります。
一般的なけんち積みではなく、石職人の心意気が感じられる、組み方をしています。
名もなき石職人だったと思います。功名心を求めていたわけでもないでしょう。丈夫な石垣と、組み方の遊び心。
社史などに、石職人の名前など、記載などされてません。
粋な職人魂を、いつも感じさせてくれる、わたしの好きな場所のひとつです。
1929(昭和4)年から1979(昭和51)年にかけて、新開地本通に「神戸松竹座」があり、演芸娯楽の殿堂でした。
<桂春団治>・<蝶々・ゆうじ>・<横山ホットブラザース>などの出演が記憶に残り、閉館最後の舞台を飾ったのは、<かしまし娘>でした。
娯楽の殿堂跡も、今はパチンコ店になってしまっています。
松竹座の向かい側には、「春陽軒」という中華料理屋さんがあり、親父とよく「ホーコ鍋」を食べたものです。店内には、松竹座に出ている、芸人さんの色紙や写真が飾られていました。
その松竹座の山側に、【松竹小路】と呼ばれる呑み屋街がありますが、今はこの通りの名前を言っても、わかる人は少ないとおもいます。
ちいさな居酒屋が並んでいますが、きれいになりました。
賑やかな頃には、ガタガタとした小路でした。
昔の面影を残しているのが、溝の形です。
足元を見て歩く人はあまりいないと思いますが、人通りで賑やかな当時を知っている世代としては、懐かしい記憶を呼び起させてくれる溝の蛇行です。
1936年(昭和11年)2月、淀川長治は大阪のユナイテッド・アーティスツ社に勤めていましたが、チャップリンが3人目の奥さんボーレット・ゴダードと共に、お忍びで香港から神戸港に寄るとの情報を聞き、神戸港までいさんでやって来ました。
二人が神戸観光から帰船するのを待ち、身振り手振りでチャップリンと無事に歓談できた逸話は有名なことです。
ご存知のように、淀川さんは神戸市出身。子供の頃から、新開地の映画館に入り浸りでした。
当時の新開地は、映画館全盛時代ですが、今は3軒ばかりが残るだけで、そこではロードショウーを観ることは出来ません。
全盛時代名残りの新開地ですから、チャップリンが新開地に来たなどという噂が飛び交っても仕方ないかもしれません。
そんな歴史と噂が合体して、新開地通りの入口に『ビッグマン』と称するゲートが平成14年にできています。左右二本組みのゲートですが、形を見て何か思い付きませんか?
そう、チャップリンの帽子姿を表現しています。
淀川さんとチャップリンが、2月のいつ頃に対談したのかは分かりません。船外は寒い風の吹いていた神戸港でしたでしょうが、情熱をもって大フアンだという淀川さんのパントマイムは、きっとチャップリンの心を熱くさせたことでしょう。
淀川26歳、チャップリン46歳の2月の出来事でした。
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