Search Bloguru posts

神戸:ファルコンの散歩メモ

https://en.bloguru.com/falcon
  • Hashtag "#読書" returned 1796 results.

今年の読書(112)『ひそやかな花園』角田光代(講談社文庫)

thread
今年の読書(112)『ひそやか...
家族とは何かを真正面からとらえた非常に重たい主題の長編作品で、自分がこの物語に登場する「父親」の立場なら、どうするだろうかと考えながら読み切りました。

『八日目の蝉』 や 『マザコン』 と同様に、親子とは血縁とは、女として子を持つということはと、畳み掛けるように幾重もの複雑な問題が展開されていきます。

年に一度だけ山間部のログハウスにキャンプに来る7家族は、年齢の近い子供たちが集まり、各自何らかの問題を心の隅に抱え、疎外された日常生活から切り離された環境で伸び伸びと過ごしていましたが、ある年を境にキャンプはなくなってしまいます。

子供たち7人の母親は、同じクリニックで不妊治療を受け、非配偶者間の人工授精(AID)で子供を授かった仲間でした。

キャンプがなくなって以降の7人の男女たちが年齢を重ねていく視点を通して、各自の人生観が語られ物語は進行しますが、生物学的な父親に対する思いは各自違っています。
自分の根源にかかわる問題として著者は家族とは血縁とは何かを読者に問いかける作品でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

People Who Wowed This Post

今年の読書(111)『南下せよと彼女は言う』有吉玉青(小学館文庫)

thread
今年の読書(111)『南下せよ...
本書には海外を舞台に、7篇の旅物語が納められています。

高校時代の仲の良い男子三人が、父親の仕事でアムステルダムに転勤、3年前から住んでいる<智也>の案内で<晴彦>・<祐馬>は美術館巡りをするのですが、なぜか話題は画家<フェメール>の絵画についてに集中、三人共が一人の女性に手玉に取られていることに気付く『アムステルダムたち』を筆頭に、異国の地で繰り広げられる人間模様が展開される短篇集です。

タイトルの『南下せよと彼女は言う』は、タイトルとしての作品はありませんが、『南へ・・・!』という作品で、妻<庸子>を亡くした50歳の<村野>は、二人で行く予定だったスペインに葬式を済ませたあとすぐに日本を旅立ちます。
妻の印の付いたガイドブック片手にスペインの町を巡る最中、「とりあえず、南に行こうか」と新しい人生の契機を見つけ出します。

著者には『恋するフェメール』(白水社:2007年刊)があり、本書もたくさんの美術館・画家が登場、街並みにそった映画話やグルメ情報も満載で、ガイドブックとしても面白く読めました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

People Who Wowed This Post

今年の読書(110)『働かないの』群ようこ(ハルキ文庫)

thread
今年の読書(110)『働かない...
既刊 『れんげ荘』 から3年経ち、続編が本書です。

45歳で有名広告代理店を早期退職し、古い安アパートで暮らす<キョウコ>も48歳になっています、独身の貯金生活者。相変わらず月々10万円でやりくりしています。

巻頭、あの大きな地震に見舞われますが、2階を課していないアパートは倒壊を免れ、取り戻した日常。住人の<コナツ>さんは留守がちですがが、おしゃれで親切な60代の<クマガイ>さんに、若い<チユキ>さんが加わわります。

ゆったり流れる時間が描かれる。散歩、読書、さらに本作では刺繍も。老眼が始まったが、孤独ではない。働かない人生を愉しんでいる。まっすぐ前を向き、深呼吸して歩く。ささやかだが、こんな生き方に憧れる人が本当は多いだろう。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

People Who Wowed This Post

今年の読書(110)『吼えろ!坂巻記者』仙川環(ハルキ文庫)

thread
今年の読書(110)『吼えろ!...
著者はデビュー作の『感染』をはじめとして、最近読んだ作品では 『治験』 ・ 『虚報』 という作品があり、<相場英雄>は「時事通信社」の記者で 『偽計』 と、新聞社を舞台に読み応えのある作品を残しています。
 
本書は「医学」関連から外れた新聞記者を主人公とする、お仕事小説です。
 
中央新聞入社5年目の「上原千穂」は、社会部から子育て問題や高齢者問題などの企画記事を主に扱う、生活情報部に異動となりました。文化的な仕事ができる、そんな期待をよそに、配属されたのは、部内に新設されたばかりのニュース出稿班でした。
 
しかも、直属の上司は、自分を曲げず、上層部にも煙たがられているというトンデモキャップの「坂巻武士」frした。「いつも理不尽な命令ばかり!」と不満たらたらな「千穂」でしたが、次第に「坂巻」のペースに巻き込まれていきます。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

People Who Wowed This Post

今年の読書(109)『かなしみの場所』大島真寿実(角川文庫)

thread
今年の読書(109)『かなしみ...
第152回(2015年)直木賞は <西加奈子> の『サラバ!』でしたが、候補作として著者の『あなたの本当の人世は』が挙げられており、気になり本書を読んでみました。

主人公<果那>は離婚して実家に戻り、アクセサリーなどの作品を作りながら雑貨店「梅屋」に作品を納入している生活を送っています。
「梅屋」のオーナー<篠田>は、年中海外に仕入れと称して飛び歩いていますが、姪の<みなみ>が店を切り盛り、<果那>といい関係を保っています。

<果那>には、幼い頃に誘拐された記憶がうっすらとあるのですが、母親も伯母も口を閉ざして真相は分かりません。

下町の雑貨店を舞台として、浮世離れした両親や伯母一家、離婚した元夫を頼る部下など様々な人々の交流を通して、さりげない日常がほんのりとした文章で描かれ、<果那>の心の変化がじんわりと伝わる一冊でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

People Who Wowed This Post

今年の読書(108)『盤上のアルファ』塩田武士(講談社文庫)

thread
今年の読書(108)『盤上のア...
登場人物のふたりの男の生き様は一見平行線をたどりそうな関係ですが、心の底辺に流れる情熱は戦う世界が違えども、何がしかの共通項がありそうです。

地方新聞「神戸新報」に勤める<秋葉隼介>は33歳、社会部担当の記者でしたが利己中人的な行動により文化部に左遷、駒の動かし方も知らない将棋担当を命じられます。

ある日<秋葉>が気に入っているバツイチの美人女将<静>の小料理屋「水明」で、タンクトップ姿の泥酔客と口論、相手は奨励会を退会した男で、将棋を馬鹿にしたことで喧嘩になってしまいます。
翌日<秋葉>のマンションにその喧嘩相手33歳の<真田信繁>が表われます。どうやら住所を教えたのは<静>で、彼女を含めて3人の共同生活が始まります。

新規則でアマチュアでもプロになれる道にかける<真田>と、将棋の面白さに芽生えてゆく<秋葉>、女流王位戦で知り合った21歳の挑戦者<遊佐加織>などが脇を固め、背水の陣でプロ棋士を目指す男に思わず声援を送りたくなる緊迫した状況が綴られていきます。

著者は尼崎市出身、「神戸新聞」の将棋担当記者として勤めていましたが、2012年に退社、文筆活動に専念しています。
神戸を中心に阪神間の街並みが登場、登場人物たちの関西弁が場の雰囲気をとても盛り上げていました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

People Who Wowed This Post

今年の読書(107)『ふりだし』谷津矢車(学研M文庫)

thread
今年の読書(107)『ふりだし...
サブタイトルには、「馬律流青春雙六(すごろく)」と付いています。

仕官していた藩が取り潰しになり、陸奥の国から江戸に出てきた<夏島丈衛門>17歳は、知り会った<籐七>と取り立て屋をしていましたが、ひょんなことから「馬律流宗家師範」の<たえ>が主宰する「唯力舎」の門弟となります。

<丈衛門>は、馬子が身を守るための「馬律流」使い手<たえ>、算術に長けた<喜助>、天才的なアイデアを生み出す15歳の<冬>、人の嘘を見抜く力を持つ<平三郎>達が、商人に対する経営指南として大店の立て直しの手伝いにかかわるようになっていきます。

武士としての矜持を捨てられない<丈衛門>ですが、様々な難題を解決してゆく4話が納められており、なんとなくシリーズ化されそうな筋立てでした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

People Who Wowed This Post

今年の読書(105)『シュラ』沢村鐵(中公文庫)

thread
今年の読書(105)『シュラ』...
<警視庁墨田署刑事課特命担当・一柳美結>シリーズとして、第3巻目の『ネメシス』に次ぐ4巻目であり完結篇です。

国際的武器商人の<田中晃司>から、8年前に自分の家族3人を殺害した犯人を訊き出した<一柳>は、復讐のために警察組織から離脱して殺害犯<渡辺弘>を拉致、墨田区内の廃校に監禁し復讐を果たそうとします。

一方、国際的サイバーテロリスト<C>こと15歳の<チャールズ>は、日本の警察組織と手を組み、<佐々木忠輔・安珠>兄妹と共に、<田中>逮捕の包囲網を詰めていきます。

警察内部や公安関係者の中には<田中>のシンパが紛れ込み、総理大臣や警察庁長官までをも巻き込んだ<田中>逮捕劇になりますが、この最終巻で<一柳>と上司たちとの関係、<一柳>と同期のSAT隊員<戸田梓>の隠された過去、<田中>と必要以上に対峙する<チャールズ>との関係が明るみに出て、複雑な人間関係が絡んだ壮大なドラマは、人類の英知に夢を託して終わりをみせます。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

People Who Wowed This Post

今年の読書(104)『ネメシス』沢村鐵(中公文庫)

thread
今年の読書(104)『ネメシス...
『フェイスレス』で始まる<警視庁墨田署刑事課特命担当・一柳美結>シリーズとして、『スカイハイ』に次ぐ3冊目です。

国際的サイバーテロリスト<C>は、イギリスの少年<チャールズ>だと判明、自ら地球上から抹殺すべき人物を「AAA(トリプルA)」として公表、その一人の中国人の工作者<王超(ワンチェオ)>を巻き起こんだ、超高層ビルの東京ライジングタワー(TRT)での特殊緊急部隊(SAT)との死闘が集結しました。

一連の事件の首謀者<チャールズ>は、東京の都市機能を麻痺させたまま、<小西>刑事を運転手として逃亡、国際的武器商人<田中晃司>を狙うべく彼のビルへ向かいます。

主人公<一柳美結>刑事は、<田中>の保護のために出向き、また(TRT)で活躍した同期の<戸田梓>と相棒の<陣内>のSAT隊員も<田中>警護の特命を受けて<美結>と合流するのですが・・・。

無事に<チャールズ>から<田中>を守った返礼に、<美結>は8年前に起こった家族3人を殺害した犯人<渡辺弘>を教えられ、自ら復讐のため警察手帳を返して姿を消してしまい、次巻に引き継がれています。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

People Who Wowed This Post

今年の読書(102)『珈琲店タレーランの事件簿4』岡崎琢磨(宝島文庫)

thread
今年の読書(102)『珈琲店タ...
京都二条通りの片隅にある喫茶店を舞台とした 『珈琲店タレーランの事件簿』 が、今年の2月に4巻目が出ています。

第1巻目の当初は23歳だった主人公のバリスタ<切間美星>も、現在は24歳、あいかわらず常連客としての1歳年下の<アオヤマ>、また先代の店主<藻川又次>老人も脇役としていい味を出しています。

本書は5篇の短篇と、第1巻にまつわるシャム猫<シャルル>にまつわるショート・ショートが収録され、どの短篇もユーモアとウイットの効いた構成で楽しめますし、第2巻目 で登場した二卵性双生児の妹<美空>も、元気に登場してきます。

ブラジルの珈琲にまつわる逸話や、<アオヤマ>のダーツゲームに関する事件など、珈琲の話題だけでなく、博識な著者の筋立てに面白く読み終えれました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

People Who Wowed This Post

  • If you are a bloguru member, please login.
    Login
  • If you are not a bloguru member, you may request a free account here:
    Request Account
Happy
Sad
Surprise