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国内で活躍する警察モノは多数ありますが、外国の大使館などと関連して諜報機関として動いている外事警察モノは、数少ない感じです。
外事警察の極秘書類がネット上に流失事件が起こり、警察上層部は公安部に移動した<松沢陽菜>に調査をさせますが、犯人はもと上司の<住本健司>だと判明、<松沢>は彼が手ごまとして使用していた日系パキスタン人の姉妹<カリン>と<ジャスミン>に目をつけ、<住本>を探し出します。
片や北朝鮮が、アフガニスタンのテロ組織『ハッカーニ・ネットワーク』に対して、秘密裏に「UF6(六フッ化ウラン)」を売り渡そうとするバイヤーに、<ジャスミン>の夫が関与していることを察知した韓国の諜報部や「FBI]が、この取引阻止のために関与してきます。
目に見えぬ諜報活動を背景に、現実の事件を絡ませながら、身内をも欺きながらのしのぎ合いが楽しめた一冊でした。
コンピュータプログラムを作成する<エールシステム社>に勤める、26歳のSE(システムエンジニア)<神谷翔>を主人公に据え、コンピューターにまつわる事件や、SNS関連の事件を解決していく話が、三話納められています。
<神谷>自身は、10年前にハッカーとして活躍、一度警察に検挙されたことがありますが、その知識をいかすべく、警視庁のサイバー犯罪対策課の<添島吹雪>警部補の犯罪捜査に協力しています。
会社では上司の<夏木理沙>から、遅刻やボンミスのお目こぼしを受ける立場ですが、コンピューターに関する知識でもって不手際をカバーしています。
10年前に警察に捕まる原因が、高校の先輩<黒川龍>とその妹<美咲>と関連している伏線がありましたが、最後まで読者に解き明かされていませんので、今後、続編として期待したいところです。
主人公は、渋谷猿楽町署の29歳の刑事<一条風太>で、3年前の火事場で幼児を助けた際に左ほほに大きな火傷の傷跡が残り、女性と縁のない生活を送っています。
ある日妹の友人が警察署に<一条>を訪ねてきた縁で、モノに残っている残留思念を読み解く超能力者<井伏美潮>と知り合い、彼女の協力で無事に事件を解決、その後の関わり合いを含めて五話が連作ミステリーとして納められています。
<一条>の上司<西村>は、<一条>の神がかり的な事件解明の捜査に目を置くと共に、<井伏>との関係を前向きに応援しながら、上層部に対しては一家言ある刑事として、名脇役として登場しています。
「現行犯逮捕手続書」が各短篇の冒頭に配置され、事件の概要が読者に示されていますが、どの事件もミステリー作家らしい構成で、面白く読み終えれました。
タイトルにある「先生」は、長崎出島のオランダ商館付の医師として来日した<シーボルト>のことですが、本書は彼を中心とした歴史小説です。
薬草園(植物園)を作るために依頼を受けた植木商『京屋』ですが、職人たちは紅毛碧眼の異国の雰囲気に怖気づき、園丁として出向いた15歳の<熊吉>が、愛妾<お滝>や使用人<おるそん>などとの生活を通して、「シーボルト事件」で日本を追放される(1829年:文政12年)までの4年間の交流を描いています。
母国に多くの日本の民芸品や動物などを阿蘭陀船で届けている<シーボルト>です。
特に植物2000種、植物標本12000種を送り出していますが、園丁<熊吉>の影の努力が丁寧に描かれ、当時の苦労を偲ばせてくれます。
愛妾の<お滝>を<シボルト>は<オタクサ>と呼んでいますが、新種の「アジサイ」の学名には、[Hydorange otaksa]と命名しています。思いつくだけでも、「ミセバヤ」 ・ 「ギボウシ」 ・ 「サクラソウ」 など、学名に<シーボルト>の名を冠した植物は多々あります。
年老いた<熊吉>のもとへ、<お滝>の娘<以弥(いね)>が訪ねて来て、<シーボルト>を回想しながら終わる場面は、「お庭番」としての<熊吉>の矜持がよく出ていて、ほんのりとした気分で読み終えれました。
北鎌倉駅からほど近い簡素な場所にある<ビブリア古書堂>を舞台に、美人で古書に関して博識な知識を持つ25歳の店主<栞子>を主人公とする<ビブリア古書堂の事件手帳>シリーズも、第1巻 ・ 第2巻 ・ 第3巻 と続き、本書で第4巻目になります。
今回は、日本の推理小説家の大御所<江戸川乱歩>の蔵書にまつわる長編小説で、いたるところに<乱歩>の小説に関するトリビアな知識が楽しめました。
<乱歩>の長年のファンであり初版本の収集家が亡くなり、その人物が残した金庫が鍵もなく暗号もわからない状況で開けられなく、金庫を開けることが出来れば蔵書を売ることを条件に<栞子>とアルバイト店員<五浦大輔>は、謎解きに奔走します。
<栞子>と妹<文香>を捨てて10年前に姿を消した母親<篠川智恵子>が登場、また「ヒトリ書房」の<井上太一郎>が母<智恵子>を嫌う理由も判明するなか、<大輔>は念願の<栞子>との初デートの夢がかないます。
短篇小説では難しいミステリーとしての伏線も多く散りばめられ、また母親<智恵子>は、ある本を探し出すために家を出たことがわかり、これからの続巻も楽しみなシリーズです。
主人公<田宮里江子>は35歳、「浜松光学東京本社」の営業第二課の課長代理として、7年間の浜松勤務から東京に転勤になりました。
大きな仕事の調印を目の前にして体調を崩し、近くのクリニックに出向いた際、大学時代の同級生<聖子>と結婚した6歳年上の内科医の夫<長谷川岳志>と10年ぶりに再会してしまいます。
<里江子>は当時<長谷川>から、「聖子と別れるから結婚してくれ」と言われた過去があり、そのことは<聖子>には言いそびれ、自然と疎遠になってしまっていました。
果敢に<里江子>にアプローチをかける<長谷川>ですが、複雑な男と女の関係は、一筋縄で解決できるものではなく、重たい結末へと読者を引き込んでいきます。
『怪談』といえば、神戸にもゆかりのある <小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)> をおもいだします。
本書も本歌取りではありませんが、納められた6篇の物語も、『耳なし芳一』や『雪おんな』・『ろくろ首』などのタイトルが付けられていて、妖怪や怪奇現象を伴う作品で楽しめます。
特に夢と現実の交錯で恐怖を引き出す『むじな』や、その道の「プロ」としての外科医と刑事の尋問の綾が面白い『ろくろ首』、人間の心の弱さを主体に描かれた『鏡と鐘』など、秀逸な味わいで楽しめた一冊でした。
著者の(文春文庫)発行のエッセイ集としては、『こぶしの上のダルマ』 ・ 『からだのままに』 ・ 『トラや』 と発行順に続けて読んできていましたが、その後の3巻を飛ばして本書を手にしました。
本書は一年間を通して新聞に掲載されたエッセイが52編、著者が内科医として勤務している長野県佐久間市近辺の四季を背景に、綴られています。
著者自身が「うつ病」の経験者として自分と「わたし」を見極めながら、生活の中から人間の生き様を見つめる目線は、日常に宿る大切なものをやさしく描いています。
文中の、<青春時代に戻りたい、などと平気で口にできるひとは信じない。若くてみっともななかった時代を忘れてしまえる能力のあるひととは酒を呑めない>など、さりげない一言に共感を覚えながら読み終えました。
著者の著書は、江戸の町を舞台に妖怪(あやかし)や物の怪(もののけ)・幽霊が多く登場、<大江戸あやかし犯科帳>シリーズの 『雷獣びりびり』 や、<もののけ本所深川事件帖>シリーズとして 『オサキと江戸の歌姫』 などを読んできています。
これも<唐傘小風の幽霊事件帖>シリーズの第一作目で、肩に小さなカラスの<八咫烏>を乗せた無愛想な<小風(こかぜ)>という巫女姿の少女の幽霊と、貧乏寺子屋のひ弱な師匠<信吉>と織りなすドタバタ劇が、気軽に楽しめる一冊でした。
まだシリーズ第一作目と言うことで全貌は見えませんが、<小風>から馬鹿師匠と呼ばれる<信吉>が継いだ寺子屋を取り仕切っていた祖母<卯女(うめ)>の存在が気になりながら読み終えましたので、機会があれば第二作目へと読み継ぎたいと考えています。
主人公<風見窓子>は33歳、出世欲もなく後輩の寿退社をうらやむことなく一人娘として実家で暮らしていますが、同居する両親から「干支三回り宣言」をされ、2年以内に(私たちの目にかなった男と)結婚をするようにとの宣告を受けてしまいます。
SNSの世界で知り合った<桂二>と食事に出向いた際、会社の営業統括本部副部長をしている47歳の独身<有磯潮美>と若い男性が食事をしている場面に遭遇、「鬼女」や「荒磯」と呼ばれているやり手が楽しそうな顔を見せているのに驚かされます。
後日その<潮美>からなぜか声を掛けられ、彼女の実家がある下町三ノ輪にある大衆食堂『磯家』に訪れることになり、<潮美>の家族たちとの交流を通して<窓子>の日常生活が突然変化していきます。
晩婚化が進む時代、更年期に悩む47歳の<潮美>と結婚を迫られている33歳<窓子>の交流を通して、家族とは結婚とは何か?を考えさせられる一冊でした。
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