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東京都内で起きた3件の連続殺人事件の現場には、暗号めいた数字が書かれた紙切れが残されていました。
警視庁捜査一課はその暗号から、第4件目の犯行現場が、「ホテル・コンテルシア東京」だと確信、それぞれの部署にホテルマンとして潜りこ込み、10日以内に決行されると予測される日まで警備体制を敷いています。
容姿から<新田>警部補がフロントクラークとして配置され、ホテルのフロント担当で年下の<山岸尚美>の指導を受けながら、ホテルマンとしてのにわか教育を受けながら殺人犯の捜査に当たります。
殺人事件の推理小説でありながら、ホテル(ウー)マン<山岸>の細やかな応対を通し、ホテルにくる人々は「お客さま」という仮面(マスカレード)を付けての様々なトラブルを描き、プライドの高い<新田>が捜査の第一陣から離れてフロント業務に携わらなけれないけない理不尽さを対比させながら、「その日」を迎えます。
脇役の地元渋谷署の<能勢>刑事もいい味を出しており、ホテルという業界物と殺人事件の刑事物とが合わさり、一冊で二冊分楽しめる面白さでした。
著者には、<コンビニたそがれ堂> シリーズがありますが、この物語の舞台となる花屋さんも、「たそがれ堂」と同じ「風早駅前商店街」にあります。
戦前から続く老舗の花屋<千草苑(せんそうえん)>は、祖父<木太郎>を筆頭として、父<草太郎>、長女<茉莉亜>、10歳年下の高校生<りら子>、小学校5年生の<桂>たちが生活しており、彼らは先祖代々植物たちと会話ができる能力を引き継いでいます。
書き下ろしの本書には4篇の物語が収められていますが、家族それぞれの性格に合った植物たちとの接し方で、まわりの人達に夢と希望を与える筋立てになっています。
<バラは四季咲き性で、冬場は強剪定しなければならない>など、園芸好きには「なるほど」という台詞もあり、それぞれの章で「金木犀」や「桜」・「ゼラニウム」などがいい脇役で登場、メルヘンチックで心和む一冊でした。
2000(平成12)年、『オーデュボンの祈り』で第5回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞して専業作家に転身した<伊坂幸太郎>ですが、本書はデビュー15周年を記念して発行された文庫オリジナル短篇集です。
作品としては7篇が収められていますが、最後の『後ろの声がうるさい』は、書き下ろし作品として、前の作品の登場人物たちを受ける形での構成が見事でした。
「あとがき」に替わるインタビューで、長篇は自分の楽しみ、短篇は読書の楽しみを考えるとありましたが、2004年第57回日本推理作家協会賞短篇部門の受賞作品 『死神の精度』 などをはじめ、短編の名手として凝縮された<伊坂ワールド>が楽します。
粋な会話、軽快な文体、著者独特のウイットが楽しめる、短篇集でした。
前作 『ルーキー』 に次ぐ、<刑事の挑戦・一之瀬拓真>シリーズの2冊目が本書です。
前作では、交番所勤務3年を経て千代田署刑事課の刑事になった25歳の<一之瀬拓真>が、勤務初日から殺人事件に遭遇、48歳の先輩刑事<藤島一成>の手ほどきを受けながら捜査のイロハを覚えていくという、まさに新人刑事の登場でした。
あれから1年がたち、少しは刑事らしくなったかなと思わせる<一之瀬>の行動が、本書では楽しめます。
皇居周辺をジョギングする若い女性が二人立て続けに通り魔に襲われ、管轄である半蔵門署に協力する体制で、<一之瀬>は警察学校同期の半蔵門署の刑事<若杉>と共に警戒にあたりますが、第三の犯行として女性タレント<春木杏奈>が被害を受けてしまいます。
<春木>は、スポーツメーカーのPRタレントとして人気があり、商品の宣伝を兼ねたジョギングを止めることはできないということで、<一之瀬>は彼女の警護を担当することになってしまいます。
複雑な芸能界の裏事情を絡めながら、新人刑事2年目の<一之瀬>の捜査に対する思い入れと成長が、ひしひしと伝わってくる2作目でした。
2000年に『8年』で第13回小説すばる新人賞を受賞、2015年10月発刊された『Lillers』が100冊目となる多作な作家で、また2作目の『雪虫』で始まる<刑事・鳴沢了>シリーズをはじめ、<警視庁追跡調査係>シリーズや<捜査一課・澤村慶司>シリーズなど、わたしの好きな刑事物の著作も多く、なかなかすべての作品に目を通すのは大変です。
本書は 『遮断』 に続く<警視庁失踪課・高城賢吾>シリーズとしての8作目に当たります。
主人公の<高城>警部は、娘<綾菜>が7歳のときに行方不明になり、それが原因で弁護士である妻と離婚した過去があり、彼の視点から事件を克明に描く手法が取られています。
21歳の<高木>巡査が拳銃を所持しながら制服のまま交番から姿を消し、渋谷署内が騒然とするなか、失踪課のメンバーも捜査に駆り出されます。
かたやプロ球団<パイレーツ>のドラフト一位を獲得した高校球児<花井翔太>が、キャンプイン前に寮から姿を消し、<高城>は元プロ野球選手の<醍醐>巡査部長と二人だけで<花井>の行方を探す捜査に乗り出します。
事件は無事に解決しますが、捜査の過程で昔住んでいた家の近くで起こった火災現場跡から幼い女の子の白骨死体が発見され、もしや<綾菜>ではないのかと読者に匂わすところで本書は終わり、次巻を読まないとモヤモヤとした気分は一新できそうにありません。
クラスター爆弾で妻子を失った天才プログラマー<サミル>は、イスラエルに復讐するためにコンピューターウイルス「モナ」を開発、イスラエルの銀行のプログラムに侵入させます。
かたやスェーデン王立工科大学教授<エリック>は、脳波とコンピュータを接続し、脳波でパソコンでの立体操作を構築できる「マインドサーフ」を完成、イスラエル信託銀行に勤める妻<ハンナ>と開発スポンサー<マッツ>に試験的に試しますが、二人は原因のわからない昏睡状態に陥ってしまいます。
<エリック>、銀行に仕組まれたウイルス「モナ」が、精神に影響を及ぼす生物ウイルスではなかと考え、ウイルスを開発した人物との接触を試みるために、イスラエルやガザに出向き、モサドやFBIの目をかいくぐりながら、コンピューター開発者として心を通じ合わせた<サミル>から、「モナ」のアンチウイルス「ナディム」を手に入れることに成功します。
歴史的に長いイスラエルとイスラムの宗教的な紛争を基盤として、わずかの期間にコンピューターなしでは世の中が動かない現実を絡み合わせ、犯罪者ながらウイルス名に爆発で亡くなった娘「モナ」や妻「ナディム」の名を冠した<サミル>が、少し哀れに感じるとともに読み終えた、653ページでした。
本書は三部構成ですが、一章を読むごとに物語はどんでん返しを繰り返し、終わりはにんまりとしてしまいました。
30歳の看護師<アレックス>は、ある夜見知らぬ男に拉致され、使われなくなった廃屋のなかで木組みの檻に詰め込まれ、裸のまま麻のロープで釣り上げられて閉じ込められてしまいます。
読者はこの哀れな女性に対して、今後どうなるのかと気をもむのですが、傷つきながらも無事に逃げ出し、第二部では<アレックス>は、硫酸を用いた連続殺人犯として身元の分からいまま警察を翻弄していきます。
刑事役の<カミーユ>は、身重の妻を誘拐犯に殺された過去がありながら、地道な捜査で<アレックス>の足取りを追いかけていきます。
第三部で<アレックス>の過去が明るみに出てきますが、<カミーユ>と<アレックス>の交互の視点から物語は描かれており、<カミーユ>の周りの脇役の刑事たちの性格描写も素晴らしく、最後まで一気に読ませるミステリーでした。
インテリア会社の会長<瀬戸一弘>が、家族に行先も告げずに旅行に出かけ、奥矢作湖で他殺体として発見されるところから物語は始まります。
孫の<雨宮正惠>は、葬儀のあとから祖父<一弘>の遺品が宅急便で届き、意味ありげな文面が気になり、祖父の死の真相を探るべく足取りを確認していきます。
そんな折、<正惠>は明智光秀の取材に訪れていたルポライター<浅見光彦>と知り合い、祖父の事件に興味を持った<浅見>は、事件の解明に乗り出していきます。
いつもながら<浅見>のするどい洞察力と情報の分析力で、50年に及ぶ古い事件とのつながりが炙り出され、悲しい結末で終局を迎えますが、林業を舞台としたよからぬつながりに、幕を下ろす<浅見>でした。
真昼間の12時前、書き込み掲示板 ” ちゃんねるQ ”に、「今、渋谷。これから人を殺します」と書き込んだあと、軽トラックでスクランブル交差点に突っ込み、11人を無差別に殺した犯人は、センター街の喫茶店に逃げ込みます。
喫茶店には店員と客を合わせて10人が人質となり、警視庁の交渉人として<渡瀬博之>警部補が担当、犯人との息詰まる攻防が始まります。
犯行に使われていた軽トラックから、犯人は29歳のコンビニバイト<高橋浩二>と判明、「ワイドショを賑わしたい」・「有名になりたい」との台詞が飛び交いますが、本当の彼の目的が<渡瀬>には突き止められません。
縦社会の警察組織として上司の命令には逆らえませんが、なぜか理不尽な課長の命令を前線にいる<渡瀬>や地元渋谷署の<斉藤誠>警部補は訝りながらも、<高橋>に対して必死の交渉を続けますが、籠城事件は思わぬ結末を迎えます。
刻々と時間が経過してゆくなかでの攻防戦は迫力があり、結末が気になり最後まで一気に読んでしまいました。
バチカン市国の神父であり奇跡調査官の天才科学者<平賀・ヨゼフ・庚>と、彼の良き相棒であり友人の<ロベルト・ニコラス>神父が、世界中の<奇跡>を調査し、その裏に隠された事件を解決してゆく事件簿が<バチカン奇跡調査官>シリーズで、本書で第9巻目になります。
今回は、ノルウェイの伝説として、ラグナロワ(終末)のときに現れる双子の狼<ハティ>と<スコル>の物語を基盤とし、キリストにまつわる聖杯伝説を絡めています。
以前の事件で犯人<ハリソン・オンサーガ>を取り逃がしたFBIの<ビル・サスキン>は閑職に追いやられ、部下の通称<ミッシェル=周弥貝(ジョウ・ミーペイ)>と一緒にノルウェイのオーモットという町に出向きますが、そこで氷漬けで死亡した密室殺人事件と遭遇、<ビル>は旧友である<平賀>と<ロベルト>に調査の応援を頼みます。
<平賀>の名推理で事件の概要は解明しますが、いまだ天才プログラマーのサイバーテロ<ローレン・ディルーカ>、殺人犯である<ハリソン・オンサーガ>の行方は分からぬまま、続巻に持ち越しです。
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