茎が地面をはうように伸び、草丈10~15センチ、花径1~2センチほどの5弁花を咲かせる、ユキノシタ科ユキノシタ(サキシフラガ)属の【セイヨウクモマグサ【西洋雲間草)】です。 花の色は 「桃色」 や 「赤紅色」 などがありましたが、今回白色の花弁を見つけました。 別名「ヨウシュクモマグサ(洋種雲間草)」とも呼ばれ、園芸店で単に「雲間草」として販売されているものは、日本に自生する高山植物の「雲間草」とは別種で、ヨーロッパ原産の野生種から育成された園芸品種です。
11月頃から咲き出す 「カンボケ(寒木瓜)」 は一度取り上げていますが、この時期に咲き出す【ボケ】はまだ載せてはいませんでした。 バラ科ボケ属に分類され、ボケ属には日本原産の「クサボケ(草木瓜)」と中国産の「マボケ(真木瓜)」と「ボケ」の3種類があり、いまでは品種改良で約200種の園芸品種が育成され、一般的に【ボケ】と呼んでいるのは「マボケ」のことで、平安時代初期以前に渡来した帰化植物です。 樹高は1~2メートル(クサボケは50センチ程度)、若い枝には褐色の毛があり、また古くなると灰黒色に変色、樹皮は縦に浅く裂け、小枝は棘状になります。 3月4月頃、葉よりも先に開花、枝の脇に数個かたまって花を咲かせ、花径は3センチ前後、色は基本的に淡紅色、赤色、白と赤の斑入り、白色です。
春先の時期らしく、JR神戸駅山側の花壇も<チューリップ>や「パンジー」の花がきれいに植えこまれていました。 3種類ばかりのの<チューリップ>がありましたが、品種名がわかりましたのは、この特徴ある【アペルドーンエリート】だけで、オランダで育成された品種です。 朱赤色に近い花弁に黄味色を帯びた橙色が混じる花弁の色合いで、中心部の花芯が黒くなっているのが特徴的です。 <チューリップ>も様々な系統があり、本種は戦後に生まれたばかりの新しい品種群で、ダーウィンハイブリッド系の中生種に分類されています。
昨年は観察する機会を逃しました 【ザイフリボク】 ですが、今年は運良く開花のきれいに時期に見ることができました。 バラ科ザイフリボク属の落葉小高木で、あまり樹丈は高くなりません。 4月頃に葉の展開と同時に、花径3センチばかりの白い5弁花和咲かせますが、花弁は細長く「采配」に似ているということで【ザイフリボク(采振り木)】の名が付けられ、また神事に用いる「四手(シデ)」にも似ていますので、「シデザクラ」の別名があります。 花後の 果実 は赤黒く完熟し食することができますが、他人様の植木ですので取るわけにもいかず、目の前にあるおいしそうな果実を味わいたい気持ちを抑えるのに苦労してしまいます。
花径12センチばかり、白色と赤色の見事な絞り模様を見せてくれている大輪の<ツバキ>と遭遇しました。 絞り模様としては、<縦絞り・小絞り・吹き掛け絞り・白覆輪・紅覆輪>と分類されていますが、これらの複合体も存在するようで模様は無限と言っていいようです。 <ツバキ>の品種は約2000種と言われ、「エゾニシキ(蝦夷錦)」に似ている感じを受けたのですが、残念ながら花弁が同じ絞り模様の花はなく、同定ができませんでした。 大きな植木鉢での栽培でしたが、まだまだ蕾も多く、これからどのような絞り模様を見せてくれるのかと、楽しみにしています。
この時期、プランターや植え込みなどで「チューリップ」などと組み合わせて植え込まれている穂状にはなを咲かせる 【ムスカリ】 ですが、なんと道端の隙間から野草と一緒に繁殖していました。 まわりを見ても花壇らしきものもなく、不思議な場所で育っていました。 ユリ(キジカクシ)科ムスカリ属の総称として使われていますが、園芸的によく見るのは「ムスカリ・アルメニアクム」という濃い青紫色の花です。 原産地の中心地は地中海沿岸ですが、南西アジアにかけて約50種ほどが分布しています。 【ムスカリ】の名称は、ギリシア語の「moschos(ムスク)」に由来し、<麝香>を意味し、花の形状を「ブドウの実」に見立て、「ブドウヒヤシンス」の別名を持っています。
濃赤色の「サクラ」は、「カンヒサクラ(寒緋桜)」の品種名しか思いつきません。 中国から台湾に自生しているサクラで、「台湾緋桜」または「緋寒桜」と呼ばれていますが、花姿が釣鐘状で下向きに咲き、花弁は開花しません。 桜は多くの品種改良がなされ、現在約600種を超える品種がありますが、この花弁の色の品種は少なく、色々と調べているうちに台湾で育成された「ヤエカンヒサクラ(八重寒緋桜)」という品種に突き当たりました。 釣鐘状ではなく、一般の「サクラ」と同様に平開形になるとのことですが、見比べる資料が少なく、確信を持っての同定までには至りませんでした。
以前にこの 【ミステリーパロット】 (ミステリアルパロット)を紹介したときには、花弁が閉じた蕾の形でした。 今回、見事に花が開いた【ミステリーパロット】と遭遇、なんともいえぬ妖艶さにしばし見とれてしまいました。 <チューリップ>には、「ユリ咲き」・「フリンジ咲き」・「スプレー咲き(枝咲き)」などがありますが、本種は「パロット咲き」といい、花弁の縁に切れ込みが入りフリル状に波打ち、「オウム(=パロット)」の羽に似ているということで命名されています。 「一重咲き」の突然変異種で生まれた「パロット咲き」ですが、『花の西洋史事典』(アリス・M・コーツ著)によりますとこの系統は1620年まで遡れ、当時は花弁の形状から病気ではないかと危惧されたようです。
ヨーロッパ原産の帰化植物として、1890年ごろに東京で確認されているゴマノハグサ科クワガタソウ属の【オオイヌノフグリ(大犬陰嚢)】です。 春先のこの時期、路傍や空き地では良く見かけますが、なんと石垣の隙間から青紫色の花を咲かせていました。 左側に見える赤紫色の花は同じゴマノハグサ科の 「ヒメオドリコソウ」 も、2種の間に挟まって顔を出しています。 花径1センチばかりの【オオイヌノフグリ】の花弁は4枚ですが、それぞれに大きさが違い左右対称形になっています。 晴れた日には多くの花数で目を楽しませてくれますので、<一日花>としての短命さに気が付きにくい花です。日が落ちますと花弁を閉じてしまいますが、二日目に咲く花も、たまにあるようです。
今年もわたしの秘密の場所に、【スノーフレーク】が咲いていました。 この場所は、 「バイモ」 も観察できますので、春先に覗いて見るのが楽しみな場所です。 ヒガンバナ科スノーフレーク属の多年草ですので、毎年他の植物たちに隠れたように咲いている姿を見かけますと春の訪れを感じてしまいます。 釣鐘状の花が「スズラン」に、幅がある細長い葉が「スイセン」に似ていますので、和名として「スズランスイセン(鈴蘭水仙)」と呼ばれ、花径1.5センチの6弁花で、花弁の先端には緑色の斑点がありますが、花弁の内側にも 緑色の斑点 が入っています。 ( ぼやけていますが、ところどころに見える青紫色の花は 「ツルニチニチソウ」 です )