Search Bloguru posts

神戸:ファルコンの散歩メモ

https://en.bloguru.com/falcon
  • Hashtag "#詩" returned 997 results.

『償い』矢口敦子(幻冬舎文庫)

thread
『償い』矢口敦子(幻冬舎文庫)
今年最後の読書は、矢口敦子さんの『償い』でした。

36歳の医師が、個人的な家庭問題でホームレスになり、流れ着いた郊外の街で連続殺人事件に遭遇するというあらすじです。

ミステリーですので、細かい内容は省きます。
作者の意図として「人の肉体を殺したら罰せられるけれども、人の心を殺しても罰せられないんだとしたら、あまりにも不公平です」という文章が出てきます。
「他者の心を傷つけた者は、どうやって裁かれるべきなのだろう」という問いかけは考えさせられました。精神も体の一部なんだという視点が、著者にはあるようです。

読みながらこの文章が気になり、何気ない言葉でも、相手によっては心が傷つくのだという怖さを、再認識させていただきました。
心許せる相手だからといっても、言葉の気遣いはいつも大事なことなんだと、自戒を込めて読み切りました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

People Who Wowed This Post

『罪・万華鏡』佐々木丸美(創元推理文庫)

thread
『罪・万華鏡』佐々木丸美(創元...
1975(昭和50)年、「二千万テレビ懸賞小説」佳作入選作品『雪の断章』でデビューした著者は、2005(平成17)年12月25日に56歳で亡くなられています。

1984(昭和59)年以降からは作品を発表されておらず、発表された全18作品は長いあいだ絶版状態でしたが、2006年から次々と復刊され、本書は『罪灯』(2009年11月)と共に初の文庫化作品で、刊行が著者の命日の12月25日付です。

本書には短篇4篇が連作として納められており、精神科医の<吹原>医師の助手である女性の<私>の視点から、患者の様子が語られていきます。
自己顕示欲、虚栄心、嫉妬心等が渦巻く20代前半の女性の心理状態を、<吹原>は地道な対話と身辺調査で彼女たちの日常に潜む無意識の精神状態を分析していきます。

犯罪者に対して法の下に裁く前に、まずは人間としての精神状況を探ろうとする<吹原>の真摯な態度に、共感を覚える一冊でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

People Who Wowed This Post

『烏金』西條奈加(光文社時代小説文庫)

thread
『烏金』西條奈加(光文社時代小...
あくどい金利で金貸しを営んでいる三軒町の<お吟>の家に、うまく潜り込んで金貸し業を手伝う<浅吉>ですが、<お吟>の貯め込んだ金を横取りしようと考えていますが、真意はわからないまま物語は展開していきます。

タイトルにある「烏金」とは、朝方烏が鳴くのに合わせて金を貸し、夕方烏が鳴くと共に利子を付けて返却することを意味しています。

金貸しの立場におりながら、なぜか<浅吉>は金利計算や商売のイロハを知らない借受人に対して手助けをして、なんとか借金地獄から抜けださせようと奮闘、また身寄りのない子供たちにも生活の基盤を築くように導いていきます。

<浅吉>には、なついている<勘三郎>という烏がおり、タイトルと同様に重要な脇役として登場、気の利いた立ち回りを担っています。
江戸時代の金貸し業の内容や両替レートなども詳しくかかれ、<浅吉>と<お吟>の関連も意外な結末としてまとめられ、小気味よい文章が楽しめました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

People Who Wowed This Post

『時そば』~料理人季蔵捕物控~和田はつ子(ハルキ文庫)

thread
『時そば』~料理人季蔵捕物控~...
旗本の家臣であった<季蔵>は、許婚の<瑠璃>に横恋慕した主家の長男の策略にはまり武士の身分を捨て、一膳飯屋『塩梅屋』の主人になっています。

廻船問屋長崎屋の<長崎五平>は、<松岡亭玉輔>と呼ばれる元噺家でしたが、これから毎月「噺の会」を行うので、その題目に合わせて客に出す料理を作ってほしいと頼まれます。

本書は古典落語として有名な『目黒のさんんま』・『まんじゅう怖い』・『蛸芝居』・『時そば』の4話をタイトルトして、それぞれ江戸時代の料理の解説がなされ、グルメ書としてもおおいに楽しめますが、町娘<お恵>の結婚話を巡る、祈祷師<黄泉山日之助>と<西村屋>のあくどい陰謀をあばく捕り物語が並行して語られていきます。

市井に生きる町人の日々の食生活を中心に、義理と人情が味わえる一冊でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

People Who Wowed This Post

『夜を急ぐ者よ』佐々木譲(ポプラ文庫)

thread
『夜を急ぐ者よ』佐々木譲(ポプ...
26歳の<原口泰三>は、若い頃に犯した過激テロ行為で裁判所の判決が出る前に出向いた演劇場で偶然、アメリカ留学前の23歳の<岩崎順子>と出会い、一週間日本での想い出作りに行動を共にします。
留学に旅立つ時間は、裁判所の判決が言い渡される後で、無罪なら間に合いましたが、6年の判決が言い渡され、すぐに収監されてしまい空港まで見送りに出向くことはできませんでした。

刑期を終え、社会復帰をした<原口>は就職をはたしますが、すぐに公安が様子見にと顔を出し、次々と職場を首になっていきます。困り果てた彼は、刑務所時代の知人である金融業の社長<中村>を頼り、ボディーガード的な仕事でしのいでいましたが、ある日社長と随行した取引でトラブルが起こり、逃げる立場に追われてしまいます。

逃げ延びてきた沖縄でも追跡者らしき人物と遭遇、台風の影響で身動きが取れず、偶然泊まったホテルにて10年ぶりに<東恩納順子>と名を変えた彼女と再会することになります。

海外逃亡を図る<泰三>の力になろうとする<順子>ですが、運命のいたずらは悲しい結末へと導かれ、またしても二人の交わした約束は叶うことができませんでした
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

People Who Wowed This Post

『虚ろな感覚』北川歩実(創元推理文庫)

thread
『虚ろな感覚』北川歩実(創元推...
本書には、7篇のサスペンス(ミステリー)が納められていますが、どれも巧妙な語り口の中で、最後に「うっ」とさせられる機微にとんだ内容でした。

著者の長篇の場合、どんでん返しがこれでもかと出てきますが、短篇だとそうもいかずに、読み手として「アア~」というところで納まりますので、安心して読めます。

副題に「コミュニケーション感覚」・「現実感覚」・「肉体感覚」等、七つの「・・・感覚」が付いていますが、どの短篇も著者の感性がコンパクトな形にまとめられ、粒ぞろいの短篇集の一冊だと思います。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

People Who Wowed This Post

『エンブリオ』帚木蓬生(集英社)

thread
『エンブリオ』帚木蓬生(集英社...
昨日25日、長野県のクリニックで代理出産により我が子を得た女性が記者会見を開いていました。
医学の進歩がどこまで行くのか、あるいはどこまで求めるのか、重い話題を含んでいます。

この会見を見ながら、帚木蓬生氏の『エンブリオ』(2002/7)という小説を思い出しました。

「エンブリオ」というのは、受精後8週までの胚の事です。

主人公は産婦人科医ですが、学会にも所属しておりませんので、医学的な規制を受けることなく、豪華ホテルと見間違いえる病院で、不妊治療に実績をあげている医師です。

彼は、最終的には男性のお腹の中で胎児を育てる実験に手を染めてゆくのです。

新しい命を歓迎すべきなのか、神への冒涜なのか、今後の議論に注目です。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

People Who Wowed This Post

取材中です『神戸ぶらり下町グルメ決定版』

thread
取材中です『神戸ぶらり下町グル...
本日、私の好きな和食堂【まるさ】にて、このブログの「立ち呑み日々雑感」でお馴染みのMSHIBATAさんに対して、神戸新聞の取材がありました。

今月末には書店に並ぶと思いますが、今回出版の『神戸ぶらり下町グルメ決定版』に関しての取材です。

MSHIBATAさん、昨年度は『神戸立ち呑み八十八カ所巡礼』を出版されていて、私も紹介文をこのブログにコメントしました。

ミシュランも京都・大阪の高級料理店は網羅されているみたいですが、庶民の琴線に触れるいいお店には縁遠い存在だと思います。

人情味あふれるそれぞれのお店、今回の掲載は厳選された199店だそうですが、ぜひ足を運んで皆さんに確かめていただきたいものですね。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

People Who Wowed This Post

『最後の封印』今野敏(徳間文庫)

thread
『最後の封印』今野敏(徳間文庫...
レトロウイルスに感染した<HIV-4感染第二世代>の「ミュウ」を狩る「ミュウ・ハンター」の元傭兵の<シド・アキヤマ>を主人公として、物語は進みます。

時代設定は近未来でしょうか、人間ではなく悪魔の移り変わりの生物だとされた「ミュウ」を隔離しようとする内閣情報調査室は厚生省を中心に自衛隊メンバーで構成する「特別免疫部隊」を作り、「ミュウ・ハンター」と激突、どちらも「ミュウ」の真意がわからないまま敵意を持って戦う羽目に陥ります。

「ミュウ」は悪魔なのか、特殊な能力を持った新しい人類の姿なのかを舞台として、遺伝学者の<飛田靖子>や、興味を持って取材活動するフリージャーナリスト<デニス・ハワード>達を巻き込み、結末がどうなるのかの興味を持たせながらの構成は、アクションものとして楽しめました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

People Who Wowed This Post

『ハヅキさんのこと』川上弘美(講談社文庫)

thread
『ハヅキさんのこと』川上弘美(...
エッセイ集かと思えるほどの掌篇小説として、218ページで26篇が納められています。

タイトルの『ハヅキさんのこと』は、女性教師二人の物語です。
教師の性格を反映してか<ハヅキ>さんの学級は「明るい真面目なクラス」であり、<わたし>の学級は「そこはかとなくだらしない」と、対照的な性格の二人ですが、管理教育に反発し合うところでは一致、なぜか酒呑み友達として意気投合しています。

著者自身4年間私立の中・高校で生物の教員を経験していますので、自伝的要素もあるのか、面白くそして切ない短篇として心に残りました。

どこにでもある日常生活の中の男と女の心のふれ合いやすれ違いが、「そうだよな」とじんわりと心に広がる一冊でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

People Who Wowed This Post

  • If you are a bloguru member, please login.
    Login
  • If you are not a bloguru member, you may request a free account here:
    Request Account
Happy
Sad
Surprise