Search Bloguru posts

神戸:ファルコンの散歩メモ

https://en.bloguru.com/falcon
  • Hashtag "#詩" returned 997 results.

『QED 六歌仙の暗号』高田崇史(講談社文庫)

thread
『QED 六歌仙の暗号』高田崇...
明邦大学では、「七福神」の調査中に自動車事故死で死んだ<斉藤健昇>の事件以来、「七福神は呪われている」ということで大学での研究はタブーとなっていました。

文学部4年生の<斉藤貴子>は、兄の意志を継ぎ「七福神」を主題とした論文をまとめようと担当助教授<木村継臣>に許可を求め、仲の良かった先輩<棚旗奈々>と一緒に京都に出向いていきます。

出向いた京都では<QEDシリーズ>の主人公<桑原崇>と同行して京都の社寺を回りますが、大学では(布袋さん)と呼ばれる体格のいい薬理学の<佐木>教授が毒死、その助手の<星田>までもが刺殺されてしまう事件が連続して起こります。

おめでたい存在とされる「七福神」に隠された秘密を暴くとともに、『古今和歌集』の選者<紀貫之>が、序文の「仮名序」において、「六歌仙」をあえて非難するような文を書いているのは何故かの疑問を、見事な歴史の知識と分析で<桑原>が解き明かしていく過程は圧巻であり、精緻を極めた構成に圧倒されれる一冊でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

People Who Wowed This Post

『ランドマーク』吉田修一(講談社文庫)

thread
『ランドマーク』吉田修一(講談...
建築設計を生業として、工事現場の管理業務も行いますので、建築を扱った本書は興味深く読み終えれました。

東京から少し離れた大宮市に、設計コンペで選ばれた<O-miyaスパイラル>は35階建て高さ180メートルの建築物で、長方形の床がねじれ、回転しながら積み重なっていく構造です。

設計者である<犬飼陽一>は32歳、妻<紀子>がいながら、事務所のアルバイト<菜穂子>と不倫関係にあり、現場仕事で家に帰らない日々が続き、<紀子>は実家に帰ってしまいます。

工事現場に入る鉄筋工として<清水隼人>は、会社の寮に住み込み、出身地から「キューシュー」と呼ばれ、中華料理店に働く<こずえ>と付き合い、突然結婚を考えるようになっていきます。

建物の「ねじれ」が、二人の生活にも「ねじれ」を生じさせるように変化してゆくさまが、日常生活を通して克明に描かれていました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

People Who Wowed This Post

『夜は短し歩けよ乙女』森見登美彦(角川文庫)

thread
『夜は短し歩けよ乙女』森見登美...
著者の出身大学である京都大学と思われる大学や周辺地域を舞台にして、さえない先輩男子学生(=この作品の語り手。本名不明の腐れ大学生。黒髪の乙女に恋をしていて、彼女を追い求めるうちに不思議な出来事に巻き込まれていく。友人関係は広くなく親友が一人いる。) と黒髪の乙女(=この作品のもう1人の語り手。本名不明。「先輩」が恋をしている女子大生。奔放な性格。うわばみである。好奇心の塊で、学園祭では「万国秘宝館」なる非常に怪しげな展示に入り込もうとしたほど。)無邪気な後輩女性との恋物語を2人の視点から交互に描いています。

単行本は2006年11月に単行本が刊行されていて、2008年12月に文庫化されています。

諧謔にあふれる作品で、ときに現実を逸脱した不可思議なエピソードを交得て構成されています。

古い文章からの引用が多く、タイトルは<吉井勇>作詞の『ゴンドラの唄』の冒頭からの引用です。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

People Who Wowed This Post

『夏の椿』北重人(文春文庫)

thread
『夏の椿』北重人(文春文庫)
久々に、じっくりと書き込まれた385ページの時代小説の長編が楽しめました。

主人公<立原周乃介>は天明6年7月、江戸が大雨に襲われた夜半に、姉の三男で甥である<定次郎>を何者かにより斬殺されてしまいます。
<周乃介>は、刀剣の売買の仲介や一刀流道場の師範代、万調べ事や談じ事などを生業としているために市井に顔が広く、北町奉行所定回り同心<葛岡伊三郎>とのつながりで、岡っ引きの<久蔵>の手助けの下、<定次郎>の下手人探し始めます。

<定次郎>の身の回りを調べるうちに、米問屋<柏木屋仁三郎>に行き当たり、彼の不審な出自に疑問を持つと共に、<定次郎>が扇屋の遊女<沙羅>の身請け話などで金子が必要だったことがわかり、知り得た秘密で<柏木屋>を強請っていたのではないかと、さらに調査を進めていきます。

江戸の長屋「彦十店(げんじゅうだな)」に住む<周乃介>ですが、庶民の生活ぶりや、田沼意次の失脚などの政治事も織り交ぜながら、端正な文章で組み立てられた物語は面白く読み応えがありました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

People Who Wowed This Post

『光の帝国:常野物語』恩田陸(集英社文庫)

thread
『光の帝国:常野物語』恩田陸(...
<柳田國男>の著作に東北の民話に関した『遠野物語』がありますが、そのもじりでしょうか、「常野(とこの)物語」という副題が付いています。

「常野」というのは、地名でもありまたその地域に根差した特殊な能力を持った一族の名称でもあり、権力を持たず、群れず、常に在野の存在であれという意味が込められています。

本書は10話からなる連作短篇集で、「長寿」・「膨大な記憶力」・「遠くの出来事を知る力」・「予知する力」などの能力をそれぞれの登場人物が持ち、普通の人としてひっそりとして暮らしている生活を基本として一族の様子が描かれ、日本中に散らばった一族がまた結集するかのように本書は終わります。

<遠野一郎>は、その容姿から「ツル先生」と呼ばれる一族の長老でもあり『つむじ足』という速く移動できる能力を持ち、一族全般にかかわる重要人物として、今後の物語へのかかわりが楽しみです。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

People Who Wowed This Post

『なぞ食探偵』泉麻人(中公文庫)

thread
『なぞ食探偵』泉麻人(中公文庫...
日本全国にはご当地グルメとして、見て食べてみないと名称だけではわからない料理が沢山あるようです。

本書はコラムニストの<泉麻人>が現地に赴き、そんな「なぞ食」を徹底的に検証したエッセイ集で、カラーイラストも満載、旅行記としても気楽に楽しめる内容でした。

神戸の人間としては、「すじ玉丼」(神戸・三宮<糀屋>)や、「ぼっかけうどん」(神戸・新長田<駅前そば>)・「そばめし」(神戸・新長田<いりちゃん>・<ひろちゃん>・<マッチョ>)、「かつめし」(加古川<飲食家Pit>)などが掲載されていましたので、とても身近に感じられた一冊でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

People Who Wowed This Post

『物書同心居眠り紋蔵』佐藤雅美(講談社文庫)

thread
『物書同心居眠り紋蔵』佐藤雅美...
主人公は南町奉行所の同心で、不慮の事故で亡くなった父の後を15歳で継いだ<藤木紋蔵>です。

勤務中でも居眠りをする奇病ゆえ、外回りの仕事がある与力になれずに30年間内勤を務め、妻<里>と5人の子持ちゆえ、つつましい生活を送っています。

本書は、出世的には望むべくもない<紋蔵>が、人生の真実を見据え、人の痛みがわかるがゆえに世間から取るに足らぬという事件に真摯に取り組む姿勢が、心地よい文章で描かれた8篇からなる連作短篇集です。

<紋蔵>に写本の内職を頼む与力の<蜂屋鉄五郎>、幼馴染の内桜田御門では大座配として籠の整理を取り仕切る<捨吉>などの脇役も面白く、また<蜂屋>の次男<鉄哉>と<紋蔵>の長女<稲>との恋仲も気になるシリーズの始まりの一冊でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

People Who Wowed This Post

『捌き屋』浜田文人(幻冬舎文庫)

thread
『捌き屋』浜田文人(幻冬舎文庫...
関西で「捌き屋」とは、企業間のトラブルの仲裁や不祥事の後始末をつける仕事を請け負う人間のことを指します。

本書の主人公<鶴谷康>は、成功させるのは絶対に不可能といわれる難題を処理することで有名で、情報を集めるために興信所や新聞記者のスタッフ、そして花房組の組長<白岩光義>などの協力を得ていますが、あくまで一匹狼で処理をこなしていきます。

今回は下水道処理場建設に伴い、工事の受注内定を設計事務所にもらいながら、反故にされた<松島組>から受注トラブルの処理を請け負います。

<白岩>とのあくの強い関西弁の会話が楽しく、またスタッフや自分のマンションの階下に住まわせている元恋人の「クラブ菜花」のママ<藤沢菜花>らの脇役陣がいい味をだしていて、楽しめた一冊でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

People Who Wowed This Post

『黄桜の季節に君を想うということ』歌野晶午(文春文庫)

thread
『黄桜の季節に君を想うというこ...
本書は「2004年版このミステリーがすごい!:第1位」・「2004本格ミステリベスト10:第1位」・「第57回日本推理作家協会賞受賞」・「第4回本格ミステリ大賞受賞」と、素晴らしい評価を受けている作品で、読み終えて「なるほど」と納得する構成力と一気に読ませる著者の文章の快活さに脱帽しました。

冒頭から精力旺盛な主人公<成瀬将虎>の性生活の描写から始まりますが、このときから著者の策略にはまってしまう読者になってしまいます。
自称「何でもやってやろう屋」ということで、パソコン教師やガードマン等の仕事をこなしながら、フイットネススタジオで汗を流していますと、高校の後輩<キヨシ>から、想いを寄せているメンバーの<久高愛子>の相談に乗ってほしいと頼まれ、話を聞くと<愛子>の身内が轢き逃げ事故で亡くなり、悪徳商法業者「蓬莱倶楽部」によって保険金詐欺が行われたと思うので調べてほしいと依頼されます。

<成瀬>は高校卒業して2年間ほど探偵事務所に勤めていた経験があり承諾、同じころ地下鉄駅で自殺を図ろうとした<麻宮さくら>を助け、以後デートを重ねる仲になっていきます。

ミステリーですので、詳しくは書けませんが、「えっ!!」と思わせるどんでん返しの伏線がきれいに埋め込まれており、「なるほど」と再度ページを戻っておもわず確認したくなる展開に、ミステリーの賞を総なめにしたのが頷ける力作でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

People Who Wowed This Post

『銀の檻を溶かして』高里椎奈(講談社文庫)

thread
『銀の檻を溶かして』高里椎奈(...
主人公は師匠と呼ばれる茶髪の超美形少年<深山木秋>ですが、見たところ20代後半の青年<座木(通称:ザキ)>、元気いっぱいな赤毛の男の子<リザベル>の3人です。

彼ら3人は<深山木薬店>を営んでいますがみな妖怪で、ボランティア的に人間の手では負えない厄介な出来事を解決してくれます。

本書は二部構成になっていますが、第一部では小学6年生の男の子<小海ハジメ>が、「雪の妖精」と呼ばれる現場で遺体として見つかるところから物語は展開していきます。

一見関係がないような事件の解決依頼が続くのですが、それが第二部になり複雑な関係の背景として生きてくる構成は、第11回メフィスト賞受賞作の面目躍如といった感がありました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

People Who Wowed This Post

  • If you are a bloguru member, please login.
    Login
  • If you are not a bloguru member, you may request a free account here:
    Request Account
Happy
Sad
Surprise