今年のマーサーアイランド10キロラン
ランニングのトレーニングのために6.5~8キロのコースを例年90回近く走っているが、今年は右ひざの痛みや11月以降の天候不順のため77回しか走ることが出来なかった。週2回として年間104回走れば100%だが、74%では少し反省が必要だ。
ペースも最近は1キロ7分を越えることが多く、確実に6分台で走っていた今年前半がうらやましく感じる。今日は今年のラストラン、8キロを58分12秒で走った。3歳の孫娘が今年1キロランにデビューしたので、数年のうちに一緒に5キロ位走れるだろう。
毎年12月には翌年のマーサーアイランドレースを申し込むが、10キロ走る自信が揺らぎ5キロにするか迷う。昨日、思い切って10キロにエントリーしたので3月18日には10キロ完走するぞ!
2017年ニッサンリーフS EV(ニッサンウェブサイトより借用)
2017年テスラモデル3 EV(Wikimedia Commonsより借用)
2017年トヨタプリウス PHV(トヨタウェブサイトより借用)
トヨタミライ FCV(トヨタウェブサイトより借用)
中国政府は今年、2019年に国内で販売する販売台数の10%以上を新エネルギー車とすることを自動車メーカーに義務付けることとした。新エネルギー車にはバッテリー式電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)などを含むが、充電出来ないハイブリッド車(HV)やバイオエタノール・天然ガスなどを燃料とする低CO2車は含まれないという。
イギリスやフランスも2040年までにガソリン車やディーゼル車の販売を全面的に禁止する意向であり、オランダやノルウェーは2025年以降のガソリン車やディーゼル車の販売禁止を検討し、ドイツでも国会で2030年までにガソリン車などの販売を禁止する決議が採択された。更に今年、インドでも2030年までに販売する車をすべてEVとする目標を表明した。これに対し日本政府は2030年までに新車販売の20~30%をEV・PHV、30~40%をHV、3%をFCVとする目標を掲げている。
このようなEVへの転換は大気汚染や二酸化炭素の削減をうたい文句にしているが、いくらがんばっても欧米や日本にガソリンエンジン技術が追いつかないからEVで自動車の世界基準を奪いたい中国や、ディーゼルエンジン排気ガス不正問題でディーゼルエンジン市場に見切りをつけたドイツなど、政治的・戦略的な意図も見え隠れする。今騒がれているEVだが、本当に将来の自動車の本流としてやってゆけるのだろうか。技術的に検討してみよう。
EVではガソリン車やディーゼル車に必要なシリンダーブロック、シリンダーヘッド、ピストン、コンロッド、クランクシャフト、吸排気バルブ、点火プラグなど部品点数が数千点に及ぶエンジンが不要である。またラジエター、オイルフィルター、複雑な変速機、排気ガス浄化装置・マフラーなどの装備もいらない。逆にEVで必要な部品は電池、モーター、電池に蓄電された直流電力を目的とする周波数の交流に変換しモーターの回転数を制御するインバーター、制御用CPUなどであり、部品点数は大幅に削減される。
EVのモーターとしては高性能なネオジム磁石をモーター回転子に埋め込んだ交流永久磁石型同期モーターが一般的だが、小型で高出力、低速域での短時間に最大トルクを発生させる性能、高速域での最大出力で広範囲な可変速運転性能、無負荷または軽負荷時の低損失性能に優れているためである。このタイプのモーターはHVであるトヨタプリウスでも採用されているが、1997年のモデルでは4枚のネオジム磁石を回転子に埋め込んだモーターであったが、最新モデルでは16枚埋め込まれており、燃費や出力は格段に向上している。テスラは発売当初高性能スポーツカーとして売り出したので、高回転領域での性能の優れた交流永久磁石型誘導モーターを採用している。モーターは自動車メーカーのコンセプトによりモーター1台で動力と発電機を兼用するモデル、モーターを2台設置して動力と発電を分離するモデルなどがある。将来は小型のモーターをそれぞれのホイール内に設置して各車輪が独立駆動するモデルも提案されている。
モーターの制御に必要なのがインバーターである。これは電池からの直流電流を交流に変換し、かつ周波数や電流を制御することにより動力である交流モーターの回転数を制御するものである。また減速時にモーターで発電した交流電流を直流電流に変換して電池に充電する機能もになう。インバーターの性能がEV、PHV、HV、FCVの燃費や熱効率を左右するため、自動車メーカーは高性能インバーターの開発に努力している。
EVで大きなコスト要因となるのが電池だ。リチウムイオン電池が主流だが、新エネルギー・産業技術開発機構(NEDO)によれば2015年の電池容量1KWHあたりのコストが約40,000円であり、当時のニッサンリーフは24KWHの電池を搭載していたので電池だけで96万円もかかっていたことになる。空気抵抗、車両重量などのデザインによるがEVの1KWHあたりの走行距離は5~7Kmであり、自動車として通常必要な一回の走行距離である200Km走行を可能にするためには28~40KWHの電池を搭載する必要がある。2018年型ニッサンリーフSは40KWHの電池を搭載して241Kmの走行を可能にしているが、当時より価格が低減しているとはいえ電池は100万円を超えると思われる。NEDOの車載用電池開発ロードマップによれば2020年代末まではリチウムイオン電池の性能向上に努め、2030年代以降は1KWHあたりの原価が10,000円代の次世代電池の実用化を目指している。
EVで使用する電池のエネルギー密度(単位重量あたりの出力)がリチウムイオン電池では現在160~180WH/Kgだが技術革新が進んでも250WH/Kgが限界であり、推定でニッサンリーフSは車両重量1,490Kgに対し電池重量230Kg、テスラModel 3では1,611Kgに対し277Kgとなる。PHVであるトヨタプリウスPHVは電池は推定49Kgだが、モーターに加えエンジンも搭載しているので車両重量が1,530Kgとなり、EVとPHVでは車両重量については大差ないと言える。NEDOは全固体型電池、正極不溶型リチウム・硫黄電池など次世代電池により2030年に700WH/Kgのエネルギー密度を目標としている。
車載用電池の寿命については高温・低温での使用、急速充電の頻度、放電状況などにより変動するが、2017年型ニッサンリーフは8年間・160,000km走行、テスラSは8年間・走行距離無制限の電池保証がある。リチウムイオン電池は充放電を繰り返すと劣化し交換が必要となるが、その費用はニッサンリーフの場合600,000円と発表されている。
車載用電池の充電時間はニッサンリーフでは高速充電では80%まで40分、標準仕様の3KW普通充電では16時間かかる。高速充電は短時間で充電出来るが電池の温度が上昇して寿命を短縮する恐れがある。戸建て住宅の場合には自宅に充電器を設置して駐車中に時間をかけて充電することが可能だが、集合住宅で充電設備がないところではどのようにEVの充電を行うか考慮する必要がある。
EVは電動のため走行中に二酸化炭素を排出しないが、充電の元となる発電の際に二酸化炭素を排出している場合が少なくない。ある研究機関によればエネルギー資源の採掘から走行段階まで(Well to Wheel:油田から車輪まで)の総合的な二酸化炭素排出量はある同一重量区分ではEVが130g/Kmであるのに対し最新型のガソリン車では150g/Kmであるという。これは発電方法を世界平均値である原子力11%、火力67%、水力16%、その他6%に基づいて試算している。中国のように二酸化炭素排出量の多い石炭火力発電が全発電量の75%の場合にはEVの方がガソリン車よりも環境に優しくないことになる。
最新の大型火力発電所ではLNGを使ったコンバインドサイクルでは熱効率52%を達成し、1,700℃級ガスタービン技術開発により57%の実用化を目指している。他方石炭火力発電では大型設備で45%を達成しているものの一般的には40%である。自動車用エンジンの熱効率は30%代の時代が続いていたが、最近のトヨタHVエンジンは41%を達成し、FIA(国際自動車連盟)が開催する世界耐久選手権に出走しているトヨタTSO50では50%近くまで向上している。マツダやニッサンでも高効率なガソリンエンジンを開発している。これらの事情を勘案すると、火力発電所、特に石炭火力発電所で発電した電力を配電して走るEVは必ずしも環境に優しいとは言えない。
EVの実用的自動車としての問題点は走行距離、充電時間、そして電池の寿命である。走行距離を伸ばすには搭載する電池の容量を大きくすれば可能だが、大型のトラックやバスでは十分な走行距離を確保する電池は大きくなりすぎて実用的ではない。今年11月に発表されたテスラの大型トレーラーは640Kmの走行が可能とのことだが、30分で充電するためには1,600KWの電力が必要で、これは欧米の平均的な住宅3,000~4,000戸が30分に消費する電力に相当するという。HV、PHVではEVの問題は回避出来るが、FCVの場合は燃料である水素を供給する設備が必要となる。これらを総合的に考慮すると、将来は近距離走行を目的とする場合はEV、充電設備が十分でない山間僻地などを走行する機会が少なくない一般的な自家用車にはHVやPHV、長距離トラック・バス、路線バスなどは水素ステーションを整備してFCVを採用するのが適切ではないだろうか。
マドロナの大木の伐採(2009年8月)
2009年にバックヤードの木が大きくなり過ぎ、嵐の時に危険なので木の伐採業者に依頼して何本かの大きな木を切ってもらった。写真は高さが20メートルを越えるマドロナというアメリカ西海岸特有のツツジ科の大木を伐採しているところで、登って作業中の職人と較べれば木の大きさがわかるだろう。この他直径40センチはあるカナディアンメープルも数本伐採してもらった。
わがやにはこれらの他にも大きなカナディアンメープルが何本も自生しており、当然のことだがこれらの木は毎年育ってゆく。伐採業者にはこれが目の付け所で、わがやはこの業者の優良顧客リストに記載されているらしく、毎年のように枝落しや伐採の誘いが来る。数年前にはやむを得ず家の上に覆いかぶさるような枝を10本程度切ってもらったが、高所での作業であり、それなりの道具と経験がなければ枝落しは不可能だ。この程度の作業でも$1,000近くの費用がかかりバカに出来ない。
マーサーアイランドに限らずこの地域には庭に大きな木がある家は珍しくなく、また冬時に襲う嵐では倒れてきた木で家や車が破損するようなニュースが時々報じられるので、大きな木のある家の所有者は伐採を考慮せざるを得ない。庭の木が育つという弱みのあるわれわれを相手にしたビジネスは派手な事業ではないが、この地域では今後もそれなりに成り立ってゆくのだろう。
収穫した柚子の一部
ゴルフボールよりはずっと大きい。
2014年春に手に入れた柚子の木はその年の秋には実がならなかった。冬の間室内に移して育てた甲斐あって2015年秋には15個の実をつけた。日本の柚子に較べればゴルフボールより少し大きい程度の小ぶりだが、香りは立派に柚子そのものである。冬の間室内に移すのはやや過保護ではないかと思い、その年の冬は鉢の外側に断熱材をぐるぐる巻きにしてそのまま大きな鉢に入れ、風が当たらず日当たりの良い場所に置いて越冬させた。春には若葉が育ち無事シアトルの寒さに耐えた様子で2016年秋にも20個程度の収穫があった。この年も前年同様断熱材ぐるぐる巻き作戦で越冬させ、今年はなんと30個以上の収穫であった。
わがやの柚子作戦は2010年正月に遡る。埼玉に住む兄が庭に植えた柚子がたくさん実を付けたとのこと、その実を使った柚子料理や柚子湯の写真を送ってきたのがきっかけだ。シアトルでは宇和島屋に行けば何でも日本食の材料が手に入る、と思っている人が多いが、柚子はほとんど手に入らない。一時期柚子が店頭に並んだこともあったが、1個$20では手が出ない。それで柚子の木を買って自分達で育てることにしたが、少しだけ実をつけても越冬出来ず、既に4本枯らしてしまった。柚子は耐寒性がある数少ない柑橘類で病気にも強いとの情報を信じたが、樺太並みの緯度であるシアトルで寒風にさらすのは厳しすぎたのかもしれない。
2014年に入手した柚子は初年度こそ過保護にしたが、翌年から冬の寒さにさらし、少しづつ鍛えてきた。今年9月には鉢を置いているところに大きめの穴を掘り、プラントソイルをたっぷり入れて柚子の木を地面に植えた。これから幾久しく秋に収穫をもたらしてほしい、と祈っている。
収穫した柚子は冬の間、お吸い物に入れたり、柚子味噌にしてふろふき大根や大根と鶏肉の柚子味噌煮にして楽しむつもりだ。
海岸に打ち寄せる波(Wikimedia Commonsより借用)
地球表面の約70%は海であり平均的な深さは3700メートルもあって、水は地球ではごくありふれた物質である。私たち人間の体も約60兆個の細胞でできているが、分子レベルで見れば細胞の約70%は水である。しかし水はとても特異な物質でもある。
一般的に固体が融解する温度と液体が蒸発する温度は物質の分子量が大きいほど高くなるが、分子量18の水は固体から液体に変る融点が他の分子に比較して格段に高い。常圧での融点は分子量16のメタンが-182.5℃、分子量17のアンモニアが-77.7℃、分子量32のメタノールが-97℃であるのに対し水は0℃である。また液体から気体に変る沸点はメタンが-161.6℃、アンモニアが-33.3℃、メタノールが64.7℃であるのに対し水は100℃である。
水分子は1つの酸素原子に2つの水素原子が結合しているが、水素原子はお互いが約104度の角度で酸素原子と結合しているため、水分子には電気的にプラスの部分とマイナスの部分があり、これは極性と呼ばれる。そして水分子のプラスの部分が隣の水分子のマイナス部分と電気的に引きつけあうが、これは水素結合と呼ばれ、水が色々な特異な性質を示す原因となっている。固体の水、すなわち氷ではひとつの水分子は4つの水分子と水素結合して正四面体を形成しているため、この水素結合をある程度までゆるめないと液体の水に融解しない。また液体の水の状態では水分子は周辺の水分子と水素結合・分離を繰り返しており、他の分子よりかなり高い温度にならないと水素結合を振りきって水面から蒸発出来ない。水の蒸発熱が他の物質より大きいのも隣接する水分子との水素結合を絶つ必要があるからだ。また固体の水では正四面体構造の中に空間があるため液体の水より密度が低く、その結果氷は水に浮き、また氷が融けると体積が膨張するような異常な性質を発揮する。
4℃以下の温度では、水の分子は温度が下がると正四面体が増えて0℃ですべてが正四面体構造となる。0℃の氷の密度は0.918 g/cu. cmであるのに対し、水の密度は0.999 g/cu. cmであるが、密度は温度とともに増大し、4℃で最大の1.000 g/cu. cmとなる。更に温度が上昇すると水の体積が膨張し密度は温度とともに減少していく。冬季に淡水湖が凍結する際冷気に接している湖面は凍結するが、4℃の水は密度が大きいので冷却の過程で湖底に沈下し、湖底に近付くほど水温が高く、氷結した湖面と湖底の間の水温は0℃から4℃の間となって、魚は凍って死ぬことがない。この現象は逆列成層と呼ばれる。余談だが表面が凍結した湖では酸素が湖面から供給されないため酸素濃度が低下するが、このような湖に生息する魚は酸素を使わずに糖をエネルギーに変換する特殊な酵素を持っていることが最近の研究で明らかになった。
最近トラピスト1やプロキシマ・ケンタウリの惑星など太陽系外惑星が多く発見され、それらの中で色々な条件が液体の水の存在を可能にする領域をハビタブルゾーンと呼び、科学者たちは生命がいるかもしれないと期待している。液体の水があるとなぜ生命が存在しうるのだろうか。それは液体の水が溶解するとイオンになる電解質と呼ばれる分子や、極性のあるアンモニアやエタノールなど、色々な物質をよく溶かすからだ。地球上の生命はそのエネルギー源や酸素などを体内に取り込むと体内を循環する水に溶解して運搬し、水溶液の中で起きる化学反応によってエネルギーに変換し、生成した老廃物を水とともに排出することによって生存する。すなわち水は生命活動に必要な物質を輸送する媒体として重要な役割を果たしているのだ。土星の衛星タイタンには地表に液体のメタンによる湖があることがわかっているが、メタンには水素結合がないために液体の水のような媒体としての機能はない。
水に溶けない物質として油脂がある。常温で液体のものを油、固体のものを脂と呼ぶが、水と油を混ぜても分離する。両者を激しく震とうすると水または油が微粒子化しもう一方の液体中に浮いている状態となるがこれを乳化と言う。身近な例ではサラダドレッシングは酢と油が乳化したものだ。乳化は油が水に溶解したのではないため、放置すると再び水と油は分離する。
界面活性剤と呼ばれる物質は分子の一端に水と結合しやすい親水基を、他端に油との親和性の強い疎水基を持っている。親水基は電離してイオンとなるものや、水素結合で水和するヒドロキシル基(-OH)、アミノ基(-NH2)、カルボキシル基(-COOH)などがある。疎水基は鎖状の炭化水素であるアルキル基や環状のベンゼン環などがその例である。水と油に界面活性剤を加えると、疎水基が油滴を取り囲み、反対側の親水基が外側に並んで水分子と結合することにより水と油が均一に乳化し、放置しても水と油が分離しない。牛乳は含まれているたんぱく質が界面活性剤として働き、脂肪分が水に乳化している状態である。せっけん、中性洗剤などは身近な界面活性剤であり、これらは体や衣類に付着した油脂を疎水基が取り囲んで微小な粒子として水に分散させることにより、汚れを落とすことが出来る。
人間の眼球(Wikimedia Commonsより借用)
先週、くまごろうは左目の白内障手術を受けた。昨年末に目の定期検査を行った際、白内障が進行しているので手術を検討した方がよい、とのことであった。1月に免許証の更新を行った際は視力に問題はなかったが、5月頃から元々コンタクトレンズで補正しても視力の弱かった左目がかすみ、違和感が顕在化してきた。
くまごろうは1999年に左目に網膜剥離を発症し、強膜内陥術(scleral buckling)と呼ばれる手術を受けた。網膜剥離は上の図の⑬網膜に亀裂が発生し⑫硝子体から液体が②脈絡膜との間に漏れ出すことにより網膜が脈絡膜からはがれる症状だが、強膜内陥術では眼球の外側から針を刺して網膜と脈絡膜の間の液体を排出し、①強膜の外側にシリコンなどを巻くか縫い付けて強膜を内側にへこませて網膜を脈絡膜に再び接着させる術式である。手術後左目の視力は以前より低下し、また画像がゆがんで見えるようになったが、時間の経過とともに右目中心の生活に慣れてきた。
白内障は⑪の水晶体が加齢により濁ってくる病気で、手術は水晶体を超音波で破砕・吸引して取除き、その部分に直径6ミリほどの人工レンズを挿入するものである。手術は瞳を拡張させる点眼薬が効くまで30分ほど待った後、部分麻酔を行って20分程度で完了し、術中・術後とも痛みは全くない。手術の2週間ほど前に行った術前検査は数種類の検査機器を使用して2時間ほどかかり、この方が手術よりも手間がかかる。この際にくまごろうは挿入するレンズとして遠方を見るレンズを選び、手許を見るために老眼鏡が必要なことに同意した。手術の翌日に術後検診を受けたが、視界は少しぼやけているものの視力は裸眼の右目と同じ位に回復しているように感じられた。
現在は右目をコンタクトレンズで補正しているが左目は裸眼のままで、いわば片目での生活をしているが、日常生活に支障はない。術後1週間禁じられていたゴルフも今まで通りプレイ出来る。8月半ばに左目の視力検査を行い、コンタクトレンズを調達することになるが、視力が向上してパットが良くなることを期待している。
宇宙から見た地球(Wikimedia Commonsより借用)
以前くまごろうのサイエンス教室で取上げたが、恒星ケプラー452の惑星ケプラー452b、恒星プロキシマ・ケンタウリの惑星で地球のいとこと呼ばれるプロキシマb、恒星トラピスト1の惑星e、f、gなど、恒星の光度や恒星からの距離などの条件により、液体の水が存在しうる環境にある惑星が次々に発見されている。液体の水が存在する可能性のある惑星はハビタブルプラネットと呼ばれ、このようなニュースが伝えられるたびに地球以外での生命の存在が期待されるが、細菌のような原始的な生命が存在する可能性はあるかもしれないが、多細胞生物が存在する可能性はあまり高くない。
太陽のような恒星は核融合により水素、ヘリウム、炭素、酸素などから原子番号26の鉄の原子核まで生成するが、質量の大きい恒星がその寿命を終えて超新星爆発する時にはもっと重い他の元素が生成し、またこれらの元素が宇宙空間にばらまかれる過程で水蒸気、メタン、二酸化炭素などの分子が生成した、と考えられている。宇宙で一番多い物質は水素でその次に多いヘリウムとあわせると約99%を占め、次に多いのが酸素なので水素と酸素から出来た水の分子は宇宙ではありふれた物質と言える。
水は酸素原子に2つの水素原子が結合しているが、水素原子はお互いが約104度の角度で酸素原子と結合しているため、水分子には電気的にプラスの部分とマイナスの部分があって、プラスの部分が隣の水分子のマイナス部分と電気的に引きつけあう。これは水素結合と呼ばれ、液体の水がいろいろなものをよく溶かす要因となっている。この特殊な性質が生命活動に必要な分子などを運搬する媒体として重要な役割を果すのだ。土星の衛星タイタンにはメタンの湖があることがわかっているが、メタンには水素結合がないために液体の水のような媒体としての機能はなく、また地球上の生物の細胞膜をつくることが出来ない。
太陽系は約46億年前に超新星爆発によって生まれた水素やヘリウムなどの星間ガス、水、二酸化炭素などの分子雲、宇宙のちり(星間塵)などが集まって太陽と太陽系の惑星が生まれたというのが現在の通説である。初めに大きさが1~10Kmの微惑星が生まれ、それらが互いに衝突してできたより大きな原始惑星が更に衝突して生まれた地球は、誕生直後は原始惑星の衝突エネルギーで地表が高温になり、表面は融けたマグマで覆われたマグマオーシャンの状態であったが、衝突がおさまってくると地表の温度が低下して固まり、薄い地殻が形成された。地殻形成後地下のマグマが噴出する火山活動が活発になり、二酸化炭素、水蒸気、メタン、アンモニアなどが放出され高温の大気を形成した。地殻の温度が更に下がると大気温度も低下して水蒸気は凝縮して雨となって地球表面に降り注ぎ、約40億年前に地表の約70%をおおう海が誕生したが、この時代の雨は二酸化炭素、塩素、二酸化硫黄などを溶解した酸性雨のため、初期の海は酸性だったと考えられている。陸地に降った雨は岩石に含まれるカルシウム、ナトリウム、マグネシウムなどの金属を溶かして海に流れ、海水を徐々に中和するとともに海水に溶けていた二酸化炭素を炭酸カルシウムとして海底に固定し、これが堆積して岩石となった。
原始惑星の衝突がおさまった地球の気温は太陽光(恒星放射)によって保たれるが、地表や雲などによる反射や散乱を除いた地球が受取る正味の熱量を惑星放射と呼び、現在の地球では太陽放射の約70%である。二酸化炭素は温室効果ガスとして話題になっているが、水蒸気やメタンは二酸化炭素よりも温室効果が高く、これらを多く含んだ当時の地球大気は地球を温暖に保っていた。約27億年前、中和された海の浅瀬に単細胞のシアノバクテリアが生まれ、二酸化炭素と水を使って光合成を行うことによって炭水化物を合成するとともに、副産物である酸素が地球大気に供給されることとなった。光合成による二酸化炭素の消費と酸素によるメタンの分解により、大気の温室効果は徐々に低下していった。
地球では海の誕生からシアノバクテリアが生まれるまでに13億年かかっているが、このことからもわかるように惑星に生命が誕生するためには長期間にわたり地表に液体の水が存在することが必要である。そのためには惑星の大気が散逸しないことが重要になってくる。大気が散逸すると海水が蒸発して惑星から水が失われ、また大気の温室効果ガスがなくなると地表は冷えて凍結するからだ。大気温度が高いと気体分子の運動エネルギーが高くなり、惑星の重力をふりきって宇宙に散逸しやすくなる。また惑星が小さいほど重力が弱いので大気が散逸しやすく、大気温度によるが火星より小さい惑星では大気を保持し続けることは難しく、大気が散逸して水も水蒸気となって失われる。NASAの探査機キュリオシティが調査を進めている火星では、過去に表面に液体の水が存在した痕跡は見つかっているが、現在は液体の水はないようだ。
惑星の大気温度が高くなる原因のひとつが温室効果ガスである二酸化炭素の増加である。地球では炭素循環と呼ばれるシステムが大気中の二酸化炭素量が過大にならないことに貢献している。炭素循環とは火山活動による地球内部のマグマからの二酸化炭素放出、二酸化炭素が雨に溶けることによる炭酸の生成、地上に降った酸性雨が鉱物を溶解することによる化学風化、雨に含まれた炭酸が地表や地下の岩石を溶かすことによるカルシウムイオンの海への供給、炭酸とカルシウムイオンによって生成した炭酸カルシウムの海底への堆積、海底の炭酸カルシウムのプレート移動に伴う地下のマグマへの供給、というサイクルである。もしも大気中の二酸化炭素が増加すれば温室効果により大気温度が上昇し、その結果海水が蒸発して降雨量が増え化学風化が活発化して二酸化炭素が消費され、温室効果が低下して大気温度が下がるという、一種の大気温度自動調節の役割を担っている。炭素循環で重要な役割を担うのがプレートの移動であるが、太陽系でプレートが移動する惑星は地球だけだと言われている。
惑星の中心にある恒星からの恒星放射が増大すると大気温度が高くなり、やがて大気が散逸してしまう。恒星放射は恒星の誕生直後は小さいが徐々に大きくなる傾向にあり、太陽も10億年後には太陽放射が大きくなりすぎて地球が液体の水を保持できなくなるという研究もある。逆に二酸化炭素が減少しすぎて温室効果が下がり全球凍結に至ることがある。近年、地球が過去に全球凍結した、というスノーボールアース仮説が有力視されているが、この仮説では地球は約23億年前、約7億年前、約6億年前の3回、全球凍結したという。地球の全球凍結の原因については未知のことも多いが二酸化炭素が炭酸カルシウムとして海底に固定され、大気中の二酸化炭素量が減少したこと、シアノバクテリアによる光合成に二酸化炭素が消費されたこと、光合成によって生じた酸素が大気中のメタンを分解したこと、などにより温室効果ガスが激減して地表温度が下がり、極域から水が凍結した、という説が有力だ。地球の一部が凍結すると太陽光の反射が増え、惑星放射は急速に減少して一層凍結が促進されて全球凍結に至ったと考えられる。シミュレーションによれば全球凍結の地球では赤道でも零下40℃で、海水は深さ1000mまで凍結していた。このような過酷な条件でも一部のシアノバクテリアなどは生存出来るところを見つけて生き延び、また全球凍結の状態でも地球では火山活動は続いており、少しづつ二酸化炭素が大気中に蓄積することにより温暖化が進み、ゆっくりと氷が融けていったと考えられている。
全球凍結から脱した地球ではシアノバクテリアが急激に繁殖して光合成を行い、大気中の酸素濃度が急速に上昇した結果、約19億年前に酸素を使って有機物をエネルギーに変える真核生物が生まれたという説がある。約7億年前と6億年前の全球凍結後、大気中の酸素濃度は再び上昇し現在とほぼ同じ21%程度になった。酸素濃度が高くなったことにより生命はエネルギーを効率的に得ることが可能になって生物の進化がおこり、多細胞生物のようなより高等な生命が生まれた。もしも数回の全球凍結が起こらなかったら、地球には哺乳類のような高等動物が生まれなかったかもしれない。
地球は単に地表に液体の水が存在するというだけではなく、大気を保持できるだけの重力があること、地殻が移動することによる炭素循環があること、シアノバクテリアの繁殖により酸素が大気に供給されたこと、真核生物が生まれ進化する環境が存在したことなどにより現在のような進化した高等動物が生存している。更には高等生物の構成元素である水素 酸素 炭素 窒素 カルシウム 硫黄 ナトリウム カリウム 塩素などは海水中に存在するがリンはあまりない。DNAの重要な構成元素であるリンの供給源は大陸の岩石であり、地球がすべて海におおわれることなく大陸が存在したことも高等生物の誕生には重要である。
太陽系には多くの彗星が飛来するが、質量が地球の300倍もある木星の存在により地球は彗星の衝突から守られている。また地球の自転軸の傾斜は月や太陽からの潮汐力により約23.5度に保たれており、気候の変動を和らげている。更に地球内部の鉄やニッケルの流動する金属により磁場が発生し、その結果地球の周りの磁場が高等生物に有害な太陽風や宇宙線を防ぐ役目を担っている。仮に太陽の質量がもっと大きければ現在の地球の公転軌道では暑くなりすぎて水が液体として存在しにくくなる。逆に太陽の質量が小さいと液体の水が存在しうる公転軌道は小さくなり、生物が生きるためには地球は太陽の近くを公転しなければならないが、太陽からの紫外線が強くなって生物に有害となる。またこの場合太陽からの強い潮汐力を受け自転が公転と同期しやすくなり、地球のひとつの面が常に太陽に向くことになって生物には厳しい環境になると思われる。
このように考えてくると太陽系の中の地球は哺乳類のような高等生物が存在するのに必要な条件がすべて整っている。これは宇宙の中の偶然の積み重ねのように思われ、次々とハビタブルゾーンに惑星が発見されても高等生物が存在する可能性は限りなく少ないのだろう。でも宇宙のどこかには地球と同じような偶然の積み重ねで高等生物が存在するかもしれないと思うと、この宇宙は限りなくロマンチックに感じられるのはくまごろうだけだろうか。
今年のシアトルの天候は不順で2月に続き3月も気温が低く、雨量も記録的だったとのこと、ゴルファー泣かせの年明けとなった。例年3月初めには咲きそろうホームコースの9番ホール沿いのチェリーが先週末にようやく咲いた。
わがやのそめいよしのも遅い開花だったが今日満開となった。天候不順のせいで今年はチェリーもそめいよしのも一斉の開花だ。去年は3月15日に満開となったので2週間半も遅い。もっとも2009年は4月11日の満開だったからそれよりは早い。
今週は比較的穏やかとの予報なので、ゆっくりとさくらを楽しむことが出来るだろう。
今年もMercer Island 10 Km Runに参加した。添付図の下に山脈のように示されているのがコースの高低差で、2つの大きなピークといくつもの小さなピークがあって平坦な所はほとんどなく、ランナーにはきつい設定となっている。去年の記録ではElevation Gain(累積高低差、スタートからゴールまですべての登りで獲得した標高差)は134mあり、これはビルの44階まで駆け上がったことに相当するので、かなりきついコースであることが想像出来るであろう。このコースに較べれば隅田川沿いのコースや皇居周回コースはこんな高低差がないのでずっと楽だ。
今年のシアトルは天候不順で雨が多く、おまけに寒さもきつかった。そのため例年正月からこのレースまでに20回以上トレーニングで走っているのに、今年はまだ17回でトレーニング不足の感がする。
今朝は久しぶりの晴天になったがとても寒く、スタート前は震えていた。昨年と違い膝に痛みはなく、一度も歩くことなく10 Kmを完走した。タイムは1時間5分45秒と昨年をやや上回った。くまごろうのエージグループでは1着。
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