2001年『プラナリア』で第124回直木賞を受賞後、最初に書かれたのが『アカペラ』です。
6年に渡る病床生活の後に書かれた、『ソリチュード』並びに『ネロリ』の3編が、文庫本に収められています。
少女小説出身者を思わせる内容の『アカペラ』で、直木賞というのも納得できますが、そのあとの2編を読む限り、文学的な筆致を感じさせる文体だと感じました。
『アカペラ』では、中学3年生の<たまこ>を中心に、家庭崩壊と中学校を舞台に、揺れ動く少女の心模様が描かれています。
『ソリチュード』では、18歳で家出した<春一>が、親父が亡くなったのを機会に20年振りに実家に戻り、20年間の自分の生き方を見つめ直します。
『ネロリ』では、難病を抱えた弟<ヒデ>の為に、独身を通してきた50歳の姉<志保子>を中心とする縦糸と、<ヒデ>の女友達である<ココア>を横糸に、複雑に絡み合う家族問題を描いています。
どこにでもあるような市井の生活を通して、人生を見つめ直す視線を感じ取らせてくれます。
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Posted at 2012-06-14 07:30
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Posted at 2012-06-15 01:21
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