今年の読書(86)『図書館危機』有川浩(角川文庫)
Jul
10
今回も、バラエティーな話題がたくさんつまった一冊でした。
2巻目の 『図書館内乱』 では、主人公の<笠原郁>は、なんとか図書特殊部隊に所属していることを両親に隠し通せましたが、今回は実家のある茨城県への図書館警備の任務があり、母親にばれてしまう事件が起こります。
また、有名人気タレントが自叙伝を出す企画が持ち上がりますが、メディア良化委員会の検閲を避けるために、差別用語として「床屋」ということばが使われず、「理髪店」や「理容師」などの言葉で置き換えなければ発行が難しく、タレントとひと悶着するお話もありました。
(現実に「床屋」というのは、自主規制用語でそうです)
実際著者自らが自主規制させられた体験があり、その時の疑問なりが生かされた内容で、なにをもって差別用語とするのかの問題定義も共感できます。
この<図書館戦争シリーズ>も残り一冊、最後はどのような結末でこの物語が終わるのか、期待が持てる娯楽小説です。