今年の読書(138)『暴雪圏』佐々木譲(新潮文庫)
Dec
23
札幌の刑事だった<川久保篤>は、道警不祥事のあおりのために、志茂別駐在所に単身赴任しています。
三月末に「彼岸荒れ」と呼ばれる強烈な暴雪が起こり、志茂別近辺の交通網は遮断され、大きな密室状態に町は閉ざされてしまいます。
そんな暴雪のなか、暴力団の組長宅に二人組の強盗がおそい、組長の妻を射殺して現金を強奪する事件が起こります。
事件と並行して、出会い系サイトで不倫関係に陥り、夫に知られる前に自力で解決しようとする主婦や、義父の性的虐待から逃れるために家出した女子高生、病気で死にゆくだけの人生に絶望して会社のお金を持ち逃げした会社員等が、吹雪の中一軒のペンションに偶然に集まり、天気の回復を待つ長い夜が始まります。
逃亡する犯人を縦軸に、それぞれの人生を切り開こうとする市井の人々を横軸として、人間ドラマが紡ぎ出されるサスペンスに仕上がっています。
<川久保篤>の駐在所員としての人間的な側面も良く出ており、警察小説としての魅力も十分です。
Posted at 2012-12-24 02:56
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Posted at 2012-12-24 13:10
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