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- 今年の読書(52)『藁にもすがる獣たち』曽根圭介(講談社文庫)
これはなんとも「痛快な」構成で、犯罪ミステリーの範疇なのですが、娯楽小説としての構成も見事で、楽しめました。
登場人物たちはどうしようもない最低の人間たちなのですが、結末が見えない中、最後まで一気に読ませてしまう面白さがありました。
サウナの受付のアルバイトをしている<赤松寛治>は、60歳。5年前に父親の跡を継いだ理髪店を閉店、まだらぼけの母親とパートの奥さんと生活していますが、夜中に来た客の忘れもののザックの中に現金が詰まっているのを見つけてしまいます。
刑事でありながら暴力団から金を借りている<江波戸良介>は、横領した知人の金を盗み取る算段をしなければ、自分の身が危ない状況に追い込みを掛けられています。
金儲けにと手を出した「FX」で大損をし、サラ金から借りた金を返すためにデリヘルで働いている主婦<庄田美奈>は、デリヘルに来た若い男に自分の暴力亭主を殺すように話しを持ちかけます。
人間の弱さと限りない欲望が交差する、秀逸な一冊でした。
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