<ポスター>(362)『ビニールハウス』<イ・ソルヒ>監督
Jan
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<イ・ソルヒ>が監督を務め、「第27回釜山国際映画祭」(2022年)で3冠を獲得した<キム・ソヒョン>主演の韓国映画が、邦題『ビニールハウス』として、2024年3月15日より全国で順次公開されます。貧困、孤独、介護といった現代の社会問題を背景に、一瞬の選択が取り返しのつかない破滅を招き寄せる濃密なサスペンス映画です。
ビニールハウスに暮らす「ムンジョン」の夢は、少年院にいる息子と再び一緒に暮らすことでした。「ムンジョン」は、引っ越し資金を稼ぐために盲目の老人「テガン」と、その妻で重い認知症を患う「ファオク」の訪問介護士として働いています。そんなある日、風呂場で突然暴れ出した「ファオク」が、「ムンジョン」との揉み合いの最中に転倒。床に後頭部を打ちつけ、そのまま息絶えてしまいます。
「ムンジョン」は息子との未来を守るため、認知症の自分の母親を連れて来て、「ファオク」の身代わりに据えます。絶望の中で咄嗟に下したこの決断は、さらなる取り返しのつかない悲劇を招き寄せるのでした。
日本版ポスタービジュアルには、「半地下はまだマシ」というキャッチコピーが添えられ、「ムンジョン」が暮らす、とある農村地帯にたたずむ黒いビニールハウスが切り取られています。『パラサイト 半地下の家族』(2019年)でも注目を浴びた韓国の住居貧困問題。元々は作物栽培のための農業施設であるビニールハウスもまた、不動産価格の高騰や経済の低迷により、正規の住宅を失った低所得者層、移民労働者が転がり込むなど、半地下や屋上部屋よりもさらに「最底辺」住居として社会問題となっています。
主人公の「ムンジョン」に扮する<キム・ソヒョン>は、大ヒットドラマ『SKYキャッスル~上流階級の妻たち~』(2018-2019年)、『Mine』(2021年)などがあり、韓国のアカデミー賞と称される第59回大鐘賞映画祭を始め、第43回韓国映画評論家協会賞、第32回釜日映画賞、第43回黄金撮影賞などで主演女優賞ほか6冠の快挙を成し遂げ、2023年の韓国映画賞に旋風を巻き起こしています。
盲目の老人「テガン」役にはベテラン俳優<ヤン・ジェソン>。さらに本作で第44回青龍映画賞新人女優賞にノミネートされた<アン・ソヨ>らがキャストに名を連ねています。