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神戸:ファルコンの散歩メモ

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今年の読書(12)『筋読み』田村和大(宝島社文庫)

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今年の読書(12)『筋読み』田...
元女性タレントの<宮原千寿>が白骨死体で発見され、<山下貴一>が自首してきます。殺害現場で発見されたDNA型が<山下>と一致、捜査本部は起訴間違いなしとみていましたが、捜査一課の<飯綱和也>警部補は、状況から疑問に感じ異を唱えますが、神田署に飛ばされてしまいます。

神田署に赴任草々、車から飛び出した少年が後続の車に跳ねられる事故が起こり、少年は飛び出した車に乗っていた人物たちに連れ去られてしまいます。
不審に感じた<飯綱>は、サクラ・ウェルネスという遺伝子組み換えを主とする企業にたどり着き、行方不明だった少年を発見、病院に入院させますが、拉致されてしまいます。

驚くべきことに、殺人事件の<山下>と少年のDNA型が一致するということがわかります。

操作の要であるDNA鑑定にクローン人間・デザイナーベイビー問題をからめ、ヨミヅナこと<飯綱>の「筋読み」が冴える一冊でした。
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今年の読書(11)『感染領域』くろきすがや(宝島社文庫)

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今年の読書(11)『感染領域』...
九州でトマトの葉や茎が赤く変色して枯れる病気が発生、帝都大学の植物病理学者<安藤仁>の元へ元恋人であった農林水産省の植物防疫課長の<里中しほり>が原因調査の依頼があり、現地調査に出向きます。

<安藤>は、研究室と関係のある日本最大の種苗ッメーカーの「クワバ」に勤める友人の<倉内>を訪ねますが、<倉内>は研究室で変死で発見され、彼は熟さず鎖もしないトマトの研究を行っていて、その分析を<安藤>は任されてしまいます。

植物の遺伝子レベルの操作を主軸に、種苗業界における産業スパイや学会の裏事情などを横糸ととして、<安藤>の植物学者と素人探偵役が小気味よいタッチで進行していきます。

バイオハっカー<モモちゃん>など、脇役の登場人物も楽しめ、「このミステリーがすごい」大賞の有収賞受賞作として納得できる一冊でした。

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今年の読書(10)『夏の雷音』堂場瞬一(小学館文庫)

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今年の読書(10)『夏の雷音』...
著者<堂場進一>の作品としては、警視庁の刑事<鳴沢了>や<高城賢吾>・<一之瀬拓真>などを主人公に据えた警察シリーズや、新聞社勤務を生かした『虚報』 ・ 『異境』 ・ 『警察周りの夏』 などがお気に入りですが、今回の『夏の雷音』の構成は、今までの作品と一線を引く意外な内容でした。

古書の町として有名な神田神保町は、アウトドアや楽器の町としての側面を持ち、主人公は明王大学法学部准教授<吾妻幹>は、後輩のギター楽器店店長の<安田>から、アメリカのオークションでヴィンテージギター「ギブソン『58』」を1億2千万円で競り落としたのだが、盗まれたという相談を持ちかけられますが、その<安田>が殺されてしまい、先輩刑事<敦賀>に疎まれながらも事件の真相に乗り出します。

生まれ育った神田神保町の細かい街並み描写や、実在店舗と思われるカレー店・喫茶店・鰻屋などや、火事にあった神田「やぶそば」までも登場してきます。そういえば1959(昭和34)年創業の天丼「いもや」さん、この3月で閉店とか。

読み進むにつれ、殺人事件の背景となるヴィンテージギター業界やオークションの裏側、ギターにまつわる世界が浮き彫りにされていきます。
#文庫本 #読書

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今年の読書(9)『十三階の女』吉川英梨(双葉社)

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今年の読書(9)『十三階の女』...
著者の<吉川英梨>は、「女性秘匿捜査官・原麻希」 シリーズなどがあり、本書も女性の視点でなければ書けないような記述が随所に楽しめました。

本書『十三階の女』のヒロイン「黒江律子」は、警視庁公安部公安一課に所属する公安刑事ですが、実際は「十三階」の符丁で呼ばれる警察庁直轄の諜報組織のために活動しています。新左翼組織に潜入させた二重スパイと接触する中で、レイプされかねない状況に陥いります。上司の「古池」は「黒江」耐えろとつぶやくのですが。

その後、北陸新幹線開業日の金沢駅で爆発が起こり、死傷者が多数発生します。二重スパイの情報を入手していれば新幹線テロは防げていたのではないか、と「律子」は悩みます。やがて格差、貧困、劣悪な労働環境の解消などを叫ぶ「名もなき戦士団 スノウ・ホワイト」と名乗る若い女性の犯行声明動画がネットに登場します。

NGO団体の活動家や日本赤軍を連想させる組織の関係者などが捜査対象に浮かぶ中で、イスラム系組織によるトルコ航空機のハイジャック事件が起こり、羽田空港に着陸するという。「律子」たちは惨劇を防ぐことが出来るのか、迫真の攻防が展開してゆきます。

日本の新左翼運動の歴史と「サクラ」「チヨダ」「ゼロ」などと呼ばれた警察庁直轄の諜報組織の系譜を交錯させた意欲作です。任務と愛に揺れる「律子」の造形も新鮮で、続編があり、シリーズ化の予感を感じさせるヒロインの登場です。
#単行本 #読書

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今年の読書(8)『酒は人の上に人を造らず』吉田類(中公新書)

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今年の読書(8)『酒は人の上に...
酒好きとして、居酒屋探訪記事や酒にまつわる紀行文は大好きで、『居酒屋 おくのほそ道』 などの著書がある<太田和彦>氏と本書の著者 <吉田類> 氏の肩の凝らない文章は、楽しめます。

本書は「中央公論」に掲載されたエッセイの集大成版です。

東京の下町の酒場風景はもとより。北海道・福島・京都・愛媛・熊本と日本各地を巡りながら、酒場風情と密度の濃い人間模様が描かれています。

文章のあちらこちらに、<蕪村>の句が登場するのも、息抜きとして楽しめました。

#ブログ #新書 #読書

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今年の読書(7)『オーパーツ 死を招く至宝』蒼井碧(宝島社)

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今年の読書(7)『オーパーツ ...
本書『オーパーツ 死を招く至宝』は、第16回「このミステリーがすごい!」大賞の大賞受賞作です。タイトルの「オーパーツ」とは「Out Of Place ARTifactS」、つまり「場違いな工芸品」のことです。当時の技術や知識では制作不可能なはずの古代の工芸品などを意味し、ナスカの地上絵、イースター島の人面石像などがその例です。

貧乏大学生<鳳水月>の前に、瓜二つな男<古城深夜>が現れます。同級生の<古城>は「オーパーツ鑑定士」だと自称する。水晶の髑髏に囲まれた考古学者の遺体、夫婦の死体と密室から消えた黄金のシャトル......二人のコンビはさまざまな事件現場に立ち会う。さてうまく解決できるのか。

4つの事件から構成されていますが、いずれも物理トリックが用いられている。瓜二つな二人のやりとりは掛け合い漫才のようで、テンポよくストーリーは展開します。<古城>のオーパーツに関するうんちくが楽しめます。

4つの事件の舞台となるオーパーツに関連はなく、独立したお話かと思っていたら、最後に壮大なオチが待っています。二人の主人公が瓜二つと設定されたのは、必然性がありました。 シリーズ化が期待できそうな二人のコンビです。
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今年の読書(6)『クランⅥ』沢村鐡(中公文庫)

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今年の読書(6)『クランⅥ』沢...
第1作の 『クランII 警視庁渋谷南署・岩沢誠次郎の激昂』 でさらなる怒涛の展開を見せます。

警視庁内である警察官が拳銃自殺を図った。現場には公安部の面々が現れ、警察官の死を汚職と事件関係者との不適切な関係に悩んだ末の自殺と断定するが、<晴山>は釈然としない思いを抱きます。一方、渋谷では交番巡査が何者かに銃撃される事件が発生する。渋谷南署生活安全課の<岩沢>巡査部長は銃撃犯を追ううちに、渋谷の中に潜む得体の知れない「何か」の影に気付きはじめます。

クランⅢ 警視庁公安部・区界浩の陰謀』 以降、あれよあれよという間に物語は展開し、読者はいつの間にかスタート地点とは全く異なる展開に引き込まれます。前作では謎に包まれていた<晴山>たちが対峙する「闇」は、実は桁違いのスケールを持った<神>と呼ばれる「裏組織」であることが判明していきます。

<神>とはだれなのか?物語の展開だけでなく、数多く登場する刑事たちの個性も「クラン」シリーズの読みどころ。特に本作では<晴山>と対をなすもうひとりの主人公、<岩沢>巡査部長の活躍ぶりに目が離せません。現在の<岩沢>は生活安全課少年係として未成年たちと接し、若い後輩を見守る一見穏やかな警察官である。

しかし、かつては組対課(組織犯罪対策部)に所属し暴力団と密接な関係を築きながら、その人脈を活かした捜査で一目置かれていたような人物だったのだ。その<岩沢>の能力が遺憾なく発揮される場面がたのしめます。一人称が「俺」で綴られる<晴山>のパートと、「私」で統一される<岩沢>のパートが、最後まで2人のキャラクターが対比されて描かれているのも面白い構成でした。
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今年の読書(5)『沈黙の詩』鏑木蓮(PHP文芸文庫)

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今年の読書(5)『沈黙の詩』鏑...
『思い出探偵』(2009年) ・ 『ねじれた過去(思い出をなくした男・改題)』(2011年)に続く<思い出探偵>シリーズの第3作目になる『沈黙の詩(うた)』です。
失踪者や浮気現場の尾行という探偵業務ではなく、わずかな手がかりから依頼人の思い出の人や物を見つけ出すのを仕事としています。

所長の<実相浩二郎>は元京都府警の捜査一課の刑事で、妻<三千代>とは7年前に息子を亡くした過去を背負っています。署員たちもそれぞれにトラウマを抱えた人物たちでまとめられています。

今回の依頼は、28年間、戸籍がないために結婚もできずに内縁の妻として暮らしてきましたが、相手の過去を全く知らないうちに認知症状が出てきた85歳の<絹枝>の過去を探ることです。

<絹枝>の書き残していた「詩」の中の言葉を手掛かりに、岡山、倉敷、今治、名古屋、大阪、と所員たちは彼女の過去を追っていきます。

暗い昭和の歴史を背景とする<絹枝>の人生が浮き彫りにされ、せつなく・ほろ苦い探偵ミステリーでした。
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今年の読書(4)『故郷はなきや』佐伯泰英(新潮社文庫)

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今年の読書(4)『故郷はなきや...
<新・古着屋総兵衛>シリーズも、前作の 『にらみ』 に次ぎ15巻目となりました。

大黒屋大番頭の<鳶沢信一郎>を船団長とする大黒丸とイマサカ号は、<総兵衛>の生まれ故郷である越南(ベトナム)に無事に到着します。

新しい越南の初代皇帝との交易の締結も重要な任務でしたが、戦乱で行方不明になった<総兵衛>の母<今坂恭子>の安否を知るのも航海の重要なもくてきでしたが、無事に避難して暮らしていた<今坂恭子>の安否が確かめられ、皇帝との交易締結も無事に済ませることができました。

江戸で待つ<総兵衛>の身の周りでは、古着市の利権がらみで、浪人<筑後平十郎>なるものが、刺客として雇われたという情報を<陰吉>が伝え、小僧の<忠吉>は機転を聞かせ、<平十郎>を味方に取り込み、事なきを得ます。
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今年の読書(3)『銀翼のイカロス』池井戸潤(文春文庫)

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今年の読書(3)『銀翼のイカロ...
<池井戸潤>といえば、テレビドラマにもなった銀行員<半沢直樹>シリーズが浮かびますが、『ロスジェネの逆襲』 に次ぐシリーズ第4弾が『銀翼のイカロス』です。今回、半沢に与えられたミッションは「帝国航空」なる巨大航空会社の再建です。政府主導の再建機関がつきつけてきたのは、500億円もの債権放棄だった。とても飲める条件ではない、この難局に半沢が果敢に立ち向かいます。
 
「帝国航空」のモデルは日本航空であることは言うまでもない。現実には銀行団が4000億円もの債権を放棄し、さらに公的資金が注入され、日本航空は再建されました。こうした再建劇を下敷きとしながら、著者<池井戸潤>さんの筆は縦横に走り、悪役も含めて魅力的な人間関係が描かれていきます。
 
<半沢>が勤める東京中央銀行は、旧東京第一銀行と旧産業中央銀行が合併して誕生したメガバンクです。本シリーズではお約束の銀行内部での不正と隠蔽工作、それにかかわる行内の暗闘もたっぷり描かれています。政治と金の絡みや銀行内のいざこざはすごくリアルです。

本作は<半沢>一人が活躍するというよりもチームプレイの勝利という印象が残ります。政財界がからんだ航空会社再建というスキームの巨大さ、複雑さに応じて、「半沢直樹」シリーズも変化せざるを得ないようです。
#ブログ #文庫本 #読書

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