猛暑日が続いた8月とかわり、気温が少し下がってきた影響でしょうか、今月はいい感じで2枚の葉が大きく成長してくれました。 8月末の報告(上段右側:8)では、赤矢印の葉が少し顔を出していましたが、9月に入り、あとから出てくる葉が長く成長する現象通り、一番長く伸びています(下段:9)。 今月半ば頃よりは黄色の矢印の葉先が、二股に割れた新しい葉が出てきています。 これから気温が落ちつけば、大きく成長するかなと期待しながら、月末の報告を楽しみに観察を続けます。
道端や荒れ地などで、帰化植物として繁殖しています【ヒメムカシヨモギ(姫昔蓬)】です。 キク科イズハハコ属の二年草で、北アメリカが原産地、日本には明治時代初期に渡来しており、明治維新の頃に鉄道沿線に沿って広まったために「テツドウグサ(鉄道草)」、また時代背景として「ゴイッシングサ(御一新草)」や「メイジソウ(明治草)」などの呼び方をされてきました。 茎の上部で多数分枝して、その先に直径3ミリ、長さ5ミリほどの頭状花を多数咲かせます。 頭花は中心付近に黄色い管状花とその周りに白色の糸状の舌状花からなり、結実しますとタンポポに似た種子を付け、植物本体は枯れ死してしまいます。 同じ属の「オオアレチノギク(大荒地野菊)」とよく似た花姿ですが、こちらは頭花の形状が徳利形で白色の舌状花が目立たず、【ヒメムカシノヨモギ】の方が舌状花が目立ちスマートな形です。
とある住宅の駐車場のひび割れた床の隙間から、 【キンギョソウ】 が顔を出していました。 オオバコ科キンギョソウ属の草本で、一般的には一年草扱いですが本来は多年草で、年月が経ちますと茎は木質化していきます。 種子は微細ですが性質は非常に強健で、こぼれ種でどんどん繁殖していきます。 オオバコ科には、 「オオイヌノフグリ」 (クワガタソウ属) や 「ジギタリス」 (ジギタリス属)があるように、繁殖力旺盛な科のイメージです。 自動車の駐車には影響が無い場所ですが、いずれ刈り取られる運命かなと眺めておりました。
夏期に葉の間から30~40センチほどの花茎を伸ばし、こんもりとした半球形状の散形花序で、1センチにも満たない白い小花を多数咲かせる【ニラ(韮)】です。 ユリ科ネギ属の多年草で、原産地は中国西部、葉は緑黄色野菜としても一般的です。 本来の花弁は3枚ですが、<苞>が3枚あり6枚の花弁があるように見え、雄しべは6本、子房は3室からなり熟すと割れて黒い小さな種子を散布します。 「韮」だけですと春の季語ですが、「韮の花」になりますと、花期が8~10月頃ということで、夏の季語になります。
土舗装の貸し駐車場の片隅に、草丈の高い「イノコズチ」の間に、隠れるように【タマスダレ(玉簾)】が群生して咲いていました。 花は短命で、1~3日でしぼんでしまいますが、これだけ群生していますと次々と開花していきますので、存外長い期間目を楽しませてくれます。 ヒガンバナ科ゼフィランサス(タマスダレ)属の多年草で、ペルーが原産、日本には明治時代初めに渡来しています。 同じ属には、桃色の花弁をもった 「サフランモドキ」 があります。 花の咲く時期は品種によって5~10月ですが、日本では夏から初秋にかけて咲く品種が一般的なようです。
排水溝から花茎を伸ばしていた <ヤマユリ> は、心もとない人により切り取られてしまいましたが、その先(電柱の手前)に顔を出していた【フヨウ】が、白色の花を咲かせていました。 常時水が流れている排水溝出はありませんが、元気な姿で輝いていました。 残念ながら<一日花>として、明日にはしぼんで阿しまいますが、草丈もしい歳のですが、蕾がもう一つできています。 草丈も30センチと高くはなく、道路面と同じ高さに咲いていますので、気づく人は少ないかもしれません。
『万葉集』や『源氏物語』に登場する【オミナエシ女郎花)】は、 オミナエシ科オミナエシ属の多年草として、 <秋の七草> のひとつです。 夏までは根出葉だけを伸ばし、葉は硬くてしわがある形状をしています。 花茎を伸ばし、8~10月頃に枝の先端に花径3~4ミリの小さな黄色の花を多数咲かせます。 「おみな」=(美しい女)、「えし」は古語の(へし:圧)の意味で、美女を圧倒する花の美しさからの命名だという説と、小さな黄色の花が女性の食べていた「粟飯」=(おみな飯)に因んでいるとの説があるようです。 【オミナエシ】に対して、同じ属には「オトコエシ(男郎花)」という、白い花を咲かせる仲間があるのも面白い対比です。
近所の空き地、毎年伸びきった雑草を8月頃にはきれいに刈り取られているのですが、今年は猛暑と長雨の影響でしょうか、そのままで放置されています。 刈り取られずに無事に成長したようで、運良く【イタドリ(虎杖)】の雄花が開花していました。 タデ科ソバカズラ属の多年草ですが雌雄異株で、雄花はオシベが花弁の間から長く飛び出しており、雌花はメシベよりも花弁の方が大きい形をしています。 晩夏から秋にかけて、花径3ミリほどの小さな白色か赤味を帯びた花を多数咲かせます。 花後には3枚の翼を付けた種子が熟し、風により散布、路傍や空き地にまた新しい芽を吹き出していきます。 秋に多くの昆虫や蟻(写真にも一匹います)が集まる代表格の花ですので、珍しい昆虫と出会えればいいなと眺めておりました。
多彩な葉の色で目を楽しませてくれる【ハゲイトウ(葉鶏頭)】です。 ヒユ科ヒユ属の一年草で、初めは緑色の葉ですが、夏の終わりごろから色付き始め、上部から見ると中心部より 赤色・黄色・緑色 等の色合いになり、寒さが増すほどに色が鮮やかになっていきます。 「ケイトウ(鶏頭)」が花を観賞するのに対して、葉を観賞するケイトウという意味で、「ハゲイトウ」の名がありますが、属は違います。 属名の「Amaranthus」は、「色が褪せない」という意味があり、園芸店では<アマランサス>で流通しているのを見かけます。
路傍や空き地などでよく見かける、北アメリカ原産の帰化植物【アレチヌスビトハギ(荒地盗人萩)】です。 マメ科ヌスビトハギ属の多年草で、草丈1メートル程の高さに育ち、葉は3小葉からなり、葉の表面には硬くて短い毛が多数生えています。 9月頃から長さ6~9ミリの赤紫色の花を咲かせ、開花後の果実は扁平で3~6個に分かれ、間にはへこんだ節を持つ形状をしています。 果実の鞘の表面には鉤状に曲がった毛が密生しており、熟すと節からちぎれて衣服や動物の毛などに絡みつき、子孫繁栄の生存戦略として働きます。 俗に言う「ひっつき虫」ですが、近頃の子供は空き地で遊ぶこともなくなり、衣服に付けて帰宅することもなく、お母さんに叱られることもなさそうです。