エドガー・H・シャイン著「問いかける技術」を読み進めながら(Day7)「人々の行動をためらわせるもの」

こんにちは!「働くあなたを元気にする」コーチ、砂村よしおです。

昨日に引き続いて、エドガー・H・シャイン氏の著書

「問いかける技術」

を読み進めながら、私が重要だと感じる部分を拾って、記述して行きます。

今日のテーマは昨日と少し似通っていますが

「人々に行動をためらわせるもの」

シャイン教授は具体的な例示として、地位・肩書・役割、を挙げています。

章立て
1.地位・肩書
2.役割関係のタイプ


1.地位・肩書

(1)「謙虚に問いかける」を阻むものは何か?を理解するためには、地位や肩書が異なる同士の、行動に見られるルールを考察することが重要。

(2)例えば、上司部下の関係において、部下の視点では「上位者」を立てること。

一方、上司の視点では、部下と接する時は、どうすれば自分の地位に相応しい振る舞いになるか?ということ。つまり、暗黙ではあるが明確なルールがあるように我々は理解している。

(3)しかし、これがいかなる国や文化においても同様かどうかは確かめる必要がある。あるアフリカの部族のしきたりでは、自分より身分が上の人と目を合わせることは不遜な行為とみなされることがある。

(4)様々な環境下で色々な人々と関わっていくことが求められる現代社会では、暗黙の理解を今一度、探ってみる必要がある。その際に「謙虚に問いかける」という姿勢が重要である。

(5)しかし現実的には、上司から部下に助けを求めるような環境に慣れていない上司は、心の中で葛藤を感じるだろう。


2.役割関係のタイプ

(1)課題の遂行を優先するか、個人のつながりを優先するか

関係する人たち同士の関係性に着目する。簡潔に区分すると「課題指向の関係」なのか「人間指向」の関係なのか。

(2)課題指向の関係は、個人的な関わりが排除され、感情的に中立なもの。

(3)人間指向の関係には、もっと感情が入り込んでくる。どちらかが、または両方が、相手に対して興味を持って付き合いを続けて行きたいと思うから。

(4)ますます仕事に複雑さが増し、文化的多様性が広がっている昨今、従来のように地位や立場によって、人と人の境界を定めたり、関係を規定してしまうやり方を維持できるのだろうか?

相互に依存する関係を上手くやっていくためには、何らかの形で個人的な関わりを持つことが鍵になるのではないだろうか?

(5)個人的な繋がりを持つ、というのは、相手を役職だけで判断するのではなく、一人の人間として認めるというプロセスである。

(6)「謙虚に問いかける」は、個人的なつながりを持つことを含んでいる。それはなぜかというと、「謙虚に問いかける」は、相手に対して興味や関心を抱くことを基本としているからである。


ではまた明日!
「働くあなたを元気にする」コーチ、砂村よしお

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エドガー・H・シャイン著「問いかける技術」を読み進めながら(Day6)「『謙虚に問いかける』を阻むもの」

阻むものは?
こんにちは!「働くあなたを元気にする」コーチ、砂村よしおです。

昨日に引き続き、エドガー・H・シャイン氏の著書

「問いかける技術」

を今日も読み進めて参ります。

今日の焦点は、ちょっと「衝撃的」な以下の下りです。

「謙虚に問いかける」を困難にする最大の要因は、実は私たちが育った文化そのものだ!


今日の章立て

1.人間関係の構築よりも、課題の遂行に価値を置く文化

2.自分が話す文化

3.これからの仕事では求められるものが変わる

4.リーダーにとっての特別な挑戦課題


1.人間関係の構築よりも、課題の遂行に価値を置く文化

(1)米国の文化は個人主義に根差していて競争が激しく、実用を重んじる。また起業家的な気質を持っていているので、個人の成し遂げたことを高く評価する。(注:著者は米国人)

(2)従って、人間関係の構築よりも課題の遂行のほうに、私たちは価値を置く傾向がある。

(3)人とうまく付き合うことよりも、個人が競争力を発揮することのほうが大事にされ評価される。勝つために競い合い、話し合いでは相手を論破し、巧みに相手の弱みに付け込もうとする。

(4)米国では、人は課題を遂行することによって地位と名声を獲得し、ひとたび部下を持つようになると指示を与える資格を手にする。

(5)病院などで、医師が看護師や技師に対して、さらには患者に対しても、敬意を持たずに接する様子が散見される。


2.自分が話す文化

(1)相手に訊くよりも自分から話す方が大事だと当たり前のように思っている。人に訊くことは、無知と弱みを見せることになると感じる。

(2)ゲームズマンシップ(勝つための駆け引き)やワン・アップマンシップ(相手を出し抜くこと)とが重視される文化

(3)相手と自分の、どちらも勝利できる双方向の協力関係、という考え方が私たちの視界に入ることは稀である。


3.これからの仕事では求められるものが変わる

(1)世界は今、技術がますます複雑化し、人々が互いに依存するようになり、社会が文化的に多様化している。

(2)このことは、人間関係の構築が仕事を進めるうえで、ますます重要になっていることを意味すると同時に、人間関係を築くこと自体が、以前よりも難しくなっていることも意味する。

(3)円滑なコミュニケーションを行うためには、人間関係が重要な役割を果たす。課題を遂行するためには、コミュニケーションが円滑に行われていることが肝要だ。

(4)良好な人間関係を維持するためには「今ここで必要な謙虚さ」を軸として、相手に「謙虚に問いかける」ことが鍵となる。


4.リーダーにとっての特別な挑戦課題

(1)文化的な習わしとして、地位が高い方の人が会話を主導し、部下がもっぱら聞き手や質問役にまわるほうが適切だろう。だが、これが機能するのは以下の3つの場合である。

①上位の目標を上司も部下も共有している。
②上司は解決策を心得ている。
③部下は指示された内容を理解している。

上司は、これら3つの条件が全て揃っていることを、常に確認しなければならない。

(2)課題が複雑になればなるほど、上司部下などお互いに対する依存度は高くなる。従って、上司は部下の立場や状況を正しく理解していることが前提になる。

(3)そして、部下が心を開いて上司とコミュニケーションを取り、全面的に協力するという覚悟を決めてくれるように、安心安全な環境を作る・維持する必要がある。


ではまた明日!
「働くあなたを元気にする」コーチ、砂村よしお

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