今年の読書(43)『風花』川上弘美(集英社文庫)
Mar
31
芥川賞作品を読んで以来の、川上弘美さんの作品です。
堅い「刑事物」が続きましたので、恋愛小説で気分転換してみました。
恋愛小説ですが、恋焦がれるという若い男女が織りなすたぐいではありません。
結婚7年目を迎えている33歳の<のゆり>は、匿名の電話で主人の卓哉が3年越しの浮気をしていることを知らされます。
普通なら怒り狂い離婚問題となるのでしょうが、怒ることもせず淡々とした生活を続けていく中で、叔父や専門学校で出会う男子大学生、女子大時代のゼミの先輩等の関係を通じて、ゆるやかに心が変化してゆくさまが描かれています。
最後には「別れよう、わたしたち」の台詞を卓哉に向けて言いますが、結論じみた場面で終わることなく、お腹が減ったということで二人でラーメン屋に向かう場面で終わります。
切ないまでも移ろいやすい女心の変化、叔父との東北旅行で旅館から見上げた<風花>が、揺れる女心を見事に表現したタイトルに凝縮されています。
Posted at 2012-04-06 02:37
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Posted at 2012-04-06 12:17
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