今年の読書(96-2)『不眠症』(下)スティーヴン・キング(文春文庫)
Aug
15
上巻で不眠症に悩みながら、主人公の<ラルフ>は朦朧とした世界で幻覚を見るようになりますが、不気味な存在の「ハゲでチビの医者」の存在が分かり、自分たちが住む<ショトタイムの世界=人間界>の人々の寿命を自分勝手な楽しみのために操る<アトロポス>に挑戦してゆく<ラルフ>と<ロイス>の壮絶な戦いが、下巻で描かれていきます。
生まれながらにして持っている個人の寿命を、「意図」的にも「偶然」的にも、もてあそぶことは許されず、<ショートタイム>の世界に住む住人としての使命感が、<ラルフ>を突き動かしてゆきます。
「老いと死」の問題、「時間という観念」の問題、「異次元の世界」の問題を緻密に積み上げながら、S・キングならではの筆致力で物語が進んでゆきます。
完成までに3年2カ月を要したこの作品、面白くて途中でやめられず、「不眠症」ではなく、間違いなく「寝不足」にさせられます。
Posted at 2012-08-18 04:17
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Posted at 2012-08-19 01:34
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