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- 今年の読書(140)『煙とサクランボ』松尾由美(光文社文庫)
何とも不思議な時間軸の流れの中に色々な伏線が埋め込まれているのですが、後半になり一気に花開く感がある一冊でした。
舞台は、東京のとあるビルの地下にある<柳井>がバーテンをしている小さなバーです。
会社に勤めながら漫画家として活躍してる<立石春奈>は毎週火曜日、絵画教室に出向く前にちょっと寄り、56歳で常連の自称早期退職者<炭津(西島)>と飲むのを楽しみにしています。
この<炭津>は実は幽霊で、14年前の交通事故で56歳で亡くなっているのですが、以前から<柳井>は<炭津>が幽霊だと知りながら<春奈>との会話に耳を傾けています。
ある日<春奈>は自分が5歳の頃に起こった札幌の自宅の火事についての推理を、名探偵と推薦する<柳井>の言葉に従い<炭津>に語り始めるのですが・・・。
著者には幽霊のお婆ちゃん探偵が活躍するほのぼのとした 『ハートブレイク・レストランン』 がありますが、本書は学生時代の出来事に端を発し、「復讐」というキーワードが温かく切ない<炭津>の過去が余韻を残すミステリーでした。
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